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ドラッケンミラー氏:中国は将来性を感じない、日本株には強気

@mercurys_assets

引き続き「Bloomberg Invest New York」から、今回はドラッケンミラー氏のインタビューをお送りします。ドラッケンミラー氏は、中国の将来性についての悲観的な見方と、日本株の強さ、AIブームの大きさなどについて語りました。

本noteは「Mercury's」で平日毎朝7:30に更新しているニュースレターの一部を転載したものです。(毎朝メールで受け取る

中国には将来性を感じない


まず、今の中国については魅力を感じないと一刀両断しました。

私は6年〜7年前まで中国が大好きだった。上海のエネルギーは、コカインを吸ったニューヨークのようだった。素晴らしいエネルギーがあり、起業家たちは興奮していた。しかし、習近平が彼の政策をとった。中国の台頭をみると、国内には大きな資本主義があった。ダイナミックな経済の中で、ニューヨーカーのように次々と新しいビジネスを起こす人たちがいた。

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中国は鄧小平が資本主義を取り入れて以降、急速に成長しました。

中国の成長率と一人あたりGDPの推移 / ニッセイ基礎研究所

グラフからは、1980年に底打ちしてから、一人あたりGDPが急速に伸びていったことがわかります。これが中国という広大な土地と膨大な人口を抱える大国が資本主義を取り入れた成果でした。

だが、習近平は彼が資本主義者ではないと証明したし、自分だけが独裁者だと証明した。頭をもたげた者は叩かれる。彼は、中国の成功にとって資本主義が必要不可欠であったことを理解していないか、自分の権力を保つためにはどうでも良いと思っているか、どちらかだろう。これから10年、15年といった期間を見たときに、中国に将来性は感じない。

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ドラッケンミラー氏は、トップが変わらない限り、中国に将来性は感じないと切って捨てました。

日本はついにデフレを克服した


続いて、日本株について聞かれたドラッケンミラー氏は、過去の苦い思い出を語りました。

ソロスファンドに行ったとき、日本は私にロケットスタートを切らせてくれた。なぜなら、(バブルの)頂点で日経平均をショートしたからだ。その後、5年後には日本株を(ロングで)トレードしはじめたが、すべて損を出して終わった。歴史上で最大のバリュートラップだった。

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日本株は、PBR1倍割れの銘柄も多く、明らかに割安に見えるのに、全然上がらないというバリュー投資家泣かせの市場でした。当時、ソロスファンドの運用担当者であったドラッケンミラー氏も、何度もそのバリュートラップに引っかかったようです。

しかし、今年に入って、日本株は強さを見せています。

日経平均(2023年6月9日執筆時点)/ Google

米国は12%上がったといっても、7つほどの銘柄がその上昇を担っており、他の企業の株はさえない。日本は違う。息遣いが違う。日本ではいくつものことが起こっている。彼らはデフレ問題を解決したように見える。だから名目成長が得られる。それから、企業は口先だけではなく、本当に株主に価値を還元しはじめている。

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いま日本では、東証がPBR1倍割れの解消を求めて、日本郵政のような大企業ですら自社株買いを始めています。日本株で起こっていることは、調子のよい数社が伸びているということではなく、あらゆる上場企業が経営のあり方を見直しはじめたという、根本的な変化だということです。

アベノミクス以降、約10年も金融緩和と低金利を続けて、ついに自社株買いで株価をあげるというアメリカ式の経営がはじまった訳です。

その行き着くところは、今のアメリカの状況と同じ、つまりインフレと高金利によるスタグフレーションだと思いますが、アメリカは2010年台を通じて、素晴らしい相場を享受したわけですから、日本株も目先は弱気になるべきではなく、まだしばらくの間は強気相場が続くと考えるべきでしょう。

いつまで強気相場を享受できるのかを決めるのは日銀の態度、つまり金融緩和次第です。少なくとも日銀が金融緩和を続けるうちは、あまり悲観的になる必要はないと思います。

それに、2年前のジェローム・パウエルのような日銀総裁が金融政策を担っている。インフレが始まっているが、まだ目標のインフレ率に達していないと言っている。目標のインフレ率(2%)の2倍にも達しているというのに。だから、それらの動きをすべて考えると、ダイナミックな市場だといえるだろう。

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ドラッケンミラー氏は、自虐で笑いをとるのを忘れませんでしたが、目先のトレードとしては、日本株は乗りやすい相場だと思います。

だが、私の過去15年の日本株トレードの成績を考えると、私のいう逆をすべきだろう(笑)

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僕自身も遅ればせながら、5月の下旬から日本株をロングしています。

AIブームはしばらく続く


さて、日本株について、ブームはしばらく続くと書きましたが、ドラッケンミラー氏が次の大きなブームとしてしばらく続くだろうと予見しているのがAIです。

NVDIAは昨年の10月に100ドル台で底値をつけた。今は380ドルや390ドルまで上がってしまったのはその通りだが、もしもこれが継続的なムーブメントなら、10ヶ月でそれが終わることはない。そういうものではない。

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NVDIAの株価推移(2023年6月9日執筆時点)/ Google

ドラッケンミラー氏は、ドットコムバブルで大きな損失を出したことをたびたび自虐していますが、AIについては、まだまだ相場は若いとしています。

ドットコムバブルですら2年から2年半ほど続いた。シスコやサンマイクロは4年以上も相場になった。NVDIAが短期的に大きく下がりうるかといえば、下がりうるだろう。しかし、AIはすでにエンジニアの生産性を5ヶ月前よりも7〜8倍にもしている。もしも私が思うほどAIが大きな変化であれば、NVDIAは10ヶ月ではなく、少なくとも2年〜3年は保有したい銘柄になるだろう。

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ドラッケンミラー氏のAI関連銘柄のトレードについては、以前にニュースレターでお伝えしています。

他の投資領域については、以下もあわせてご覧ください。

結論:景気後退リスクをヘッジしながらであれば、いくつか投資妙味のある領域もある


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