ガンドラック氏:債券は割安で値上がりも見込める、株式は割高
written by @mercurys_assets
引き続き、ガンドラック氏のインタビューです。
株式のバリュエーションは割高
株式市場について問われたガンドラック氏は、今の株式市場の歪な構造について指摘しています。
S&P7の筆頭格はエヌビディアでしょう。AIブームによって、最先端の半導体を製造しているエヌビディアの株価は年初来で3倍ほどになっています。
以前紹介したように、これをピタリとあてて、ロングショート戦略で利益をあげたドラッケンミラー氏もさすがですが、そうした一部の銘柄による相場の牽引を危険視するガンドラック氏の見方も理解できます。
ガンドラック氏が、今の株式市場が割高であると指摘する背景には2つの要素があります。
1つは逆イールドなどの景気後退の予兆から、近い将来に企業業績が下がるリスクがあること。もう1つは、FEDの利上げが続くなら、株式のマルチプルが剥げ落ちるはずであることです。
株式価格は、業績(ファンダメンタルズ)× マルチプルで決るので、目先その両方に赤信号が灯っている株式市場には強気になれない、ましてやPERが19倍もあるならいわんや、というのがガンドラック氏の主張です。
この点は僕も同じ考えであり、米国債がポートフォリオ全体に占める割合は10%以下と非常に少なくなっています。
ガンドラック氏の薦めるバーベル・ポートフォリオ
では、どこに投資妙味があるかといえば、債券だと答えるのが、債券王ガンドラック氏です。
バーベル・ポートフォリオというのは、長期の債券と短期の債券を組み合わせたポートフォリオで、それが両端の盛り上がったバーベルの形に似ていることから、そのように呼ばれています。
ガンドラック氏の薦めるバーベル・ポートフォリオは、まず長期債には米国債をはじめとした安全な債券を組み込みます。そして、短期債には不動産ローン担保証券や社債など少しリスクが高い代わりに利回りの高い債券を組み込んで、全体の利回りを底上げします。
もしも景気後退で短期債の一部が破綻したとしても、長期の米国債などが景気後退時には上昇するため、そうしたリスクを相殺することができます。
これは、ETFで行うのはやや難しく、幅広い債券に生で投資できる機関投資家ならではの戦略だとは思いますが、ひとつの参考にはなると思います。
もしも、似たような戦略をなんとか個人投資家が組もうと思う場合は、利回りを多少諦めて買える範囲で短期社債を買うか、代わりにAT&Tなどの7%〜8%程度の配当利回りが期待できる安定した大企業の株式を組み込むなどが考えられるかもしれません。
債券市場は割安
ガンドラック氏は、年初から一貫してこの債券投資戦略を薦めていますが、直近では株式の割合を減らして、こうした戦略で運用される債券の割合を増やすべきだとしています。
上手に運用されたアクティブ運用の債券ポートフォリオというのは、上述したようなバーベル・ポートフォリオのことです。
彼が債券に強気なのは、債券が2022年から今年にかけて、あまりに下落してきたため、利回りが魅力的な水準にあり、ダウンサイドのリスクも少ないからです。
そうした中で、株式は大きく上昇してしまったので、ますます債券の投資妙味が増しているといえます。
株式のマルチプルは、先ほども書いたようにPER19倍ですから、PERが高金利で15倍程度まで下がって、将来利益が景気後退で3割程度下がれば、簡単に半分程度まで価格が下落します。しかし、債券は今も低い価格水準にあるため、こうしたリスクは比較的小さいといえます。
以下を読んでも分かるとおり、ガンドラック氏はかなり債券投資に強気です。
結論:債券の投資妙味は大きい、注意点はインフレ第二波
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