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粘り強いインフレを見せる米ケースシラー住宅価格指数

written by @mercurys_assets

2023年4月分のケースシラー住宅価格指数は、前年比-1.70%とデフレでした。しかし、前月比でみるとインフレが再加速しており、米国のインフレとの戦いは長期化しそうです。

本noteは「Mercury's」で平日毎朝7:30に更新しているニュースレターの一部を転載したものです。(毎朝メールで受け取る

前年比ではマイナスがしばらく続く


2023年6月27日に発表された、4月分のケースシラー住宅価格指数(20都市)は前年比-1.70%でした。これは前回の-1.15%よりも減速しましたが、コンセンサスの-2.55%と比べると高い数値でした。

ケースシラー住宅価格指数の前年比(2023年5月分まで)/ FRED

こちらのグラフを見ても分かる通り、2022年のケースシラー住宅価格指数が高い水準にあったため、前年比マイナス、言い換えるとデフレ的な状況はしばらく続くでしょう。

前月比でみると、再び上昇に転じている

一方で、直近の前月比で見ると、再び上昇に転じている点には注意が必要です。

ケースシラー住宅価格指数の前月比・年率換算(2023年5月分まで)/ FRED

前月比を年率換算した数値は+11.4%であり、前回の+5.1%から大幅に加速しました。この調子での価格上昇が続けば、今後の住宅価格はまた年率10%といった水準に戻っていくことになります。

高金利が続く


インフレ率をなんとか9%から4%台まで下げてきたわけですから、FEDとしては、ここでインフレ再燃を許すわけにはいかないでしょう。

ガンドラック氏などは、もう利上げはないと予想していますが、少なくとも今の高金利は維持されるし、利上げの可能性も否定はできないと思います。

一方で、雇用や住宅価格などの一部を除いて、特に製造業や銀行などに深いダメージが与えられているというのは、ガンドラック氏以外にも多くの著名な投資家や学者が予想していることであり、実際に数値においても、確認されていることです。

そのため、目先はますます経済の悪い部分は悪化し、しかし雇用の強さやインフレを意識すると高金利は維持しなければならないという、スタグフレーション的な側面が強くなってくるでしょう。

それは株価にとっては逆風です。また、雇用や住宅価格などの一部の経済が強いといっても、いつまでも強いわけではありません。どこかのタイミングで失業率が急上昇を始めると、株価はさらに下落して、景気後退入りするでしょう。

逆にいうと、FEDはそうした状況が実際に訪れるまで、利下げに転じることは難しいと思います。2018年にも株価の暴落を受けて、FEDは利下げに転じました。経済の先行指標である株価が急落しない限り、FEDはインフレの沈静化を確信できず、利下げができないというわけです。

結論:株式には弱気


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