悩んだまま幸せになる

人がどうして悩むのか、というと、幸せになるために悩んでいるのであって、幸せになろうとなんてするから苦しむんだ、という当たり前の事実について考えてる。

私は、スーパーポジティブな人から「あなたになりたい」と言われたことがあるくらい、周囲の人から幸せそうに見られる。というより、思い悩んだり劣等感を持ったりしないで、淡々と生きているように見えるらしい。

だけど私だって「他人が羨ましい」とか「あの人が目障り」とか「もっと容姿に恵まれていたらいいのに」とか、一度も思わなかったわけじゃない。「もっとお金持ちだったらいいのに」と思うこともある。それ自体は、幸福なことでは全然ない。だけど、そういう悩みや思い煩いがあるから不幸なのか、というと、それは違う。

奇妙な言い方だけど、悩みを抱えたまま人は幸せになれる。悩みを無理矢理どうにかしようとしないで、いくつかの思い煩いを持ったままでも、人間関係に恵まれたり、好きな本に没頭できたりはする。

悩みは人生の全てじゃない。劣等感を持ったら、それを持ったまま幸福になる手段を考える。辛いなと思ったら、辛いなりに生きていく方法に頭を使う。

幸福になりたくて悩んでいるのに、その悩みに足下をすくわれているようでは本末転倒だ。

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。