お仕事あり〼
建築業界に勤めて半年ほどになる。実感するのは、この業界、とりあえず仕事だけはあるってことだ。
たくさんの人が「建築=ブラック」のイメージを持っている。どうだろう。確かに夜勤続きの現場もあるし、そうなると体力勝負になる。またやっていること自体が、すごくホワイトってわけにはいかない。
工事には予定表がつきものだ。納期は動かせない。天候によって予定が狂うこともある。必然的に、過密なスケジュールを強いられる時も出てくるだろう。でも仕事だけはある。絶対にある。
就活生で「どっこも受からない……」と言っている人や「社会人経験がないから正社員は望めない」と言っている人を見ると思う。おいでよ、建築業界。自分みたいに定時で帰る人もいるよ。
たとえば施工管理の求人なんかだと、だいたい未経験OK、社会人経験不問、既卒も可。人手不足の業界だし、もっと言えば男女比率があまりに偏っているので、昨今の改革の波を受けて女性は歓迎されやすい。
「スーツが嫌い」という一部の人にもおすすめだ。弊社のユニフォームは作業服なので、それを着ていてもちゃんとフォーマルと見なしてもらえる。営業の外回りでもない限り、スーツを要求される場面は見たことがない。
服装も髪型も自由で、金髪の人もいれば短パン・サンダルの人もいる。厳しい現場だと茶髪も禁止されるけれど、裏を返せばたいていのところは自由だということ。同業者みんなそうだと思う。
そういえば就活しているとき、ある会社の人事が嘆いていた。業界がブラックだって思われてるからさ、そもそも警戒されてるわけよ。いい会社なのに人が応募してこないの。
「うち給料が本当にいいから『お給料高いです!』って(求人に)書くじゃない?で、怪しまれるじゃない?うちは本当にみんな仲がいいから『アットホームな会社です!』って書くじゃない?で、怪しまれるじゃない?」
マジでいい会社なんだけど、採用活動が大変でさあ……と頭を掻いていた。この人事の人もまた、ラフな私服で説明会に来ていた。
電気通信会社の社長からはこんな話も聞いた。
うちはITと工事と両方にまたがってる会社だから、どっちの事情もわかる。みんなね、横文字の仕事やりたがるの、「クラウドなんとか」とかさ。でもいまITのほうは単価が下がってきてて、工事のほうが単金が大きい。
工事ってのは人件費あるでしょ。人件費下がるってことは今の時代、まずないからね。ITも昔はサーバー立ててやってそれなりにお金になったもんだけど、いまは何千円とかで同じことできちゃう。すごい単金下がっちゃった。工事はそうはならない。
詳細は(どちらの業界にも自分が明るくないので)わからないけれど、確かに工事は人は動く。人が動かないと始まらない。自動化にとって代わられることがない……とは言いきれないし、自動化はむしろ進んで欲しいけど、それはかなり先の話になる。
要は、常に人が必要とされる。そして人に伴うお金が動く。
そういうことで、転職活動中とか就職活動中とか、もしくはそろそろニートやめよっかなという人がいたら参考にしてほしい。「大変そう」「ブラックなんでしょ」のイメージだけで決めるのは、何ごとももったいない。
「業界に不満は?」と言われたら──不満とはちょっと違うけど──アナログとデジタルを同期させる技術が生まれてほしい。誰かがホワイトボードの名前の横に「終日外出」とペンで書いたら、それがPCで見られるデジタルの予定表に反映されてほしい。
いまの技術があればできるんじゃないだろうか。ボードに書かれた文字を読み取って、データとして取り込み、共有している予定表に反映させる。いまの小さな不満は、それくらい。
本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。