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法人向け(BtoB)ビジネスにおける顧客理解のコツ ~ビジネスプロモーターシリーズTips編~

■今回のテーマ

<教授>
今回は顧客探求の応用Tips編ということで、BtoBビジネスにおけるターゲット顧客探究の考え方を議論したいと思います。

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※基礎編はこちら


■法人向けビジネスの顧客とは?

<生徒A>
これまで使ってきたバリュープロポジションキャンバスですが、消費者向けのビジネスでしか活用できないのでしょうか?

これまでの扱ったケースとしてはフィットネスクラブや野菜ジュースメーカーを題材に考えてきましたが、法人向けビジネスを検討する際にはどうすればよいのかと。。。

<生徒B>
実際はBtoBのビジネスを手掛ける企業の方が多いわけだし、うまく法人向けのビジネスでも使えるようにしたいところだよね。

<教授>
はい、よくある質問ですね。
バリュープロポジションキャンバスはもちろん法人向けビジネスにも活用可能です。

但し、そこにはコツがありますので、今回も具体的なケースを想定しながら考えてみましょう。では、社会人なら多くの方が経験したことがあるであろう”研修”というテーマで考えてみましょうか。

研修サービスの顧客は誰になるのでしょう?

<生徒A>
そりゃ研修というくらいですし、受講者がターゲット顧客になりますよね。

<生徒B>
受講者はもちろん顧客だけど、会社で実施する場合、社員の受講者はお金を払わないじゃない。お金を払うという観点では、研修の企画担当者とか事務局がターゲット顧客になるんじゃないかな?

<生徒A>
それを言うなら、どんな人材へ育成すべきかを考える人事部長のような責任者だって顧客と言えると思うよ。

<教授>
いい議論ですね。

2人が考えているように、法人向けに提供するビジネスには関係者が多く存在します。

例えば、
・実際にサービスの価値を享受する人
・予算及び決定権を持つ人
などです。

法人向けビジネスの場合は、それら各関係者のジョブ及びPainを特定して、それらを同時に解決する価値を提案することが必要となります。

<生徒A>
先ほどの研修サービスのケースだと、受講生のジョブと研修企画者のジョブは違いますよね?1つずつ検討してその提供価値を考えるということでしょうか?

<教授>
その通りです。
関係者のジョブとPainを個別に検討しつつ、つなぎ合わせて一連のPainを解決する提案へと落とし込むことが大事なのです。


■法人向けのビジネスの顧客探究方法

<生徒B>
関係者が増えるほど難しいですよね。。。
どのように考えるとよいのでしょうか?

<教授>
大きな考え方として、まずは基本となる以下の4つのレイヤーを意識してみるとよいでしょう。
・経営レイヤー
・部門マネジメントレイヤー
・リード/メイン担当レイヤー
・現場レイヤー

この4レイヤーを基本に、状況に応じてレイヤーを増やしたり減らしたりして検討していくことになります。

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<生徒A>
確かに自分が提案を持ち込むときに、相対している方のお悩みを聞きながら、解決策を考えているつもりでしたが、法人ビジネスだとより構造的に捉える必要があるということですね。

<教授>
そうですね。

一方で、コンシューマービジネスよりもジョブが明確になっているケースも多く、ジョブの探索がやりやすいという傾向もありますよ。

<生徒B>
先ほどの研修サービスだと、”現場レイヤー”は受講者で、「学んだことを実際の担当業務で活用する」というのがジョブの候補でしょうか。

だけど、「眠くなって集中出来ない」、「上司から研修中に連絡がきてしまう」、「実務で使ってみてもフィードバックがもらえない」といったPainが出てきそうですね。

<生徒A>
企画・事務局担当者だと、「受講者が成長する研修を企画/運営する」といったジョブかな?

とはいえ、「全ての研修の現場に行っていたら企画業務が滞る」、「受講したらから成長したという証明ができない」、といったPainがありそうです。

<教授>
はい、そのように、レイヤーごとにジョブやPainを探索/検証することが必要になります。

<生徒A>
それぞれのPainに対して個々に解決策を考えてるとキリが無いような気がするのですが。。。

<教授>
そうですね。
ジョブ、Pain(Gain)、Painの真因は各Customerレイヤーごとに考えます。
ここはこれまでに議論してきた通りです。

Pain RelieverはPainの真因に合わせて検討をします。
この段階からCustomerレイヤーは関係なく真因に対して何ができるか?を考えるのです。その上で、Pain Relieverの要素を組み合わせて具体的なサービスの検討を行うことになります。

<生徒B>
なるほど、各レイヤーのジョブとPain、その真因まではレイヤーごとに突きとめつつ、解決策を考えていく段階でレイヤーを横断してできることを考えて提案に繋げるということですね。

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<教授>
レイヤー視点で検討するあたって、各レイヤーのジョブが繋がっているか?がチェックポイントになります。

経営陣のジョブを受けて部門マネジメントレイヤーのジョブは設定されるはずですし、部門マネジメントレイヤーのジョブを受けて、担当レイヤーのジョブも設定されるはずです。

逆にどこかのレイヤーにおいてジョブが言語化できていない場合は、上下レイヤーのジョブは何か?を踏まえてあぶりだすこともできます。

法人向けビジネスでは考える範囲は広いですが、同時に”つながり”を意識することで特定しやすくなるもなります。この点を意識しながら法人向けビジネスのバリュープロポジションを考えてもらうとよいでしょう。


■今回のサマリ

① 法人向けビジネスでもバリュープロポジションキャンバスは活用可能
② 法人内のレイヤー視点で整理することが重要
③ レイヤーごとのCustomer、Job、Painを整理する
④ 提供する価値は各レイヤーのPainを解決する価値となる必要がある
⑤ レイヤー間のジョブは繋がっている

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