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新規事業のチーミング ~新規事業伴走メンタリングの現場⑧~

メルセネール・大道寺です。
今回は新規事業開発における、「チーミング」がテーマです。

ケース 選抜型プログラムでのチーミング

新規事業のメンタリングは、新規事業開発部門へのご提供に限らず、社内の新規事業プログラムにおいても実施させて頂いております。

今回は中堅層を毎年選抜し、半年程度かけて新規事業を検討するというプログラムでメンタリングをしていた際のお話です。


  • チームに集まったメンバーは5人

  • ちょっと顔見知りだが一緒に仕事した経験は無い

  • 営業、企画、開発など職種はバラバラ

という構成でした。

開始1ヶ月目はほぼ譲り合い状態。

定期的に集まってお互いの宿題を確認し、なんとなく多数決的にアイデアを決めて進めていく。「顧客検証のインタビューは分担しながら行ってこようね!」、という雰囲気。

2~3ヶ月目は、あまり案が前に進んでいる感じが無い状態。

インタビューを始めタスクを進める人と、進めない人に分かれ始める。みんな違和感を感じながらも、敢えて言葉にせず時が流れる・・・。

4ヶ月目になるといよいよ焦りが出てくる。

メンターの私に、「〇〇さんが全く手を動かさない。会議も欠席しがちなんです。どう思いますか?」というグチめいた話をするように。

5ヶ月目、ついに対立し雰囲気が険悪に。。。

分担したタスクを着実にこなしてきた人が、非協力的なメンバーに対して強い指摘をする。指摘をされたメンバーは、

「そもそもこのアイデアでは厳しいと思っていたんだ!」

と回答・・・


空中分解したまま6ヶ月目を過ごし、幹部への報告を行い活動は終了。



新規事業のチーミングをどう行うか?

”チームビジョン”と”チームバリュー”と”行動指針”

上記のような選抜型で作られた急造チームはもちろん、通常業務として新規事業を検討するチームも配属・異動等で集められた関係です。

これはコアとして共有しているモノが何も無い状態なんです。

「既存事業」で、「機能・タスク分担」して、「それをこなしていればよい」、という世界であれば、やるべきことを個人がやればいいので、さほど問題にならなかったりします。

しかし、新規事業は日々やるべきこと・考えるべきことが変わっていくので、チーム全員が動的に役割や担当を調整しながら進んでいくことが重要です。また意思決定も各人が下していくことが求められます。

そんな時に全ての判断・行動の拠り所となるものが必要になります。

そこで私は”チームビジョン””チームバリュー””行動指針”の3つを明確にすることをおススメしています。

”チームビジョン”

チームビジョンとは、『集まってできたチームが特定の期間において何を目指すかを明確にしたもの』です。検討する新規事業案自体のビジョンとは全く別物です。

上記のケースですと、『半年後にどんな状態を目指すのか?』ということです。難しく考える必要は無く、「会社が驚くような新規事業案を発表する」とか「報告会後にうまいビールをみんなで飲む」でもいいんです。

メンバー全員がその状態になることにワクワク感を感じ、その状態を目指して頑張れるものであれば何でもOKです。


”チームバリュー”

チームバリューは、『チームメンバーがチームとして共通的に据える価値観』です。

これはまず個々人の価値観を持ち寄ってお互いを知りながら、メンバーが共通して大事だと思う価値観を探すということが大事です。

例えば、「顧客や仲間に対して誠実である」とか「対話を大事にする」という短いワードでもよいです。全員が心の底から大事であるというモノをいくつか整理すると良いでしょう。

チームで定めた価値観に反したことをすれば、すぐにお互いに指摘ができます。上司・部下、ベテラン・1年目、など関係なく話せますよね。


”行動指針”

これは価値観をベースに、『具体的にこんな行動をする/しないを明確にしたもの』です。

例えば、「考えに対して意見するのであって、人に対して意見しない」「厳しい時はヘルプを求める」「会議は〇時までしかしない」などです。

自分自身の行動を振り返ることができますし、価値観と同じくお互い指摘をしやすくなります。最初にみんなで決めたことなので内省しやすいですよね。


”チームビジョン”、”チームバリュー”、”行動指針”の3つを最初に決めてみてください。過去に苦い経験をしたことがある方は、驚くほど効果を感じて頂けると思います。


タックマンモデルの”混乱期”

あとは、チーミングにあたってのタックマンモデルも参考になります。

タックマンモデルとは、チームビルディングの過程を以下の5つに分けて進めていく考え方です。

  1. 形成期(Forming)

  2. 混乱期(Storming)

  3. 統一期(Norming)

  4. 機能期(Performing)

  5. 解散(Adjourning)

タックマンモデルによるチームビルディングと打ち手

この中で注目すべきは”混乱期”ですね。

敢えて衝突することを良しとし、その中でお互いの理解を進めるべきだという考えです。

上記のケースでも2~3ヶ月目に違和感を感じながらも、対立を避けて流してしまったことが、あとからの「そもそも・・・」発言に繋がっています。

衝突を無理してする必要は無いと思いますが、対立を避けてしまっている雰囲気があるようであれば、ぶつかるような議論・対話があってもよいでしょう。

またチームメンバー全員がタックマンモデルを認識していれば、この段階は「敢えてもめてもいいんじゃないか?雨降って地固まる的な・・・」という感覚でポジティブな衝突をすることもできるようになります。

最初にチームが組成された段階で、チーム内でタックマンモデルを紹介するのがいいと思います。


日本人はこのチームビルディングやチーム経営の要素を普段の業務に取り込まないことが非常に多いですが、最初にじっくり考えておくことで大きな効果を発揮します。

特に新規事業のように曖昧・不明瞭な世界の中で進む活動においては、拠り所を明確しておくことが非常に重要です。


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