[UXリサーチ] なぜ、Z世代はメルカリを使わない?
こんにちは、メルカリのUXリサーチャーの辰田(@Usuke24)です。
私が所属するUXリサーチチームはメルカリのUXデザイン部門の中にあります。普段、UXリサーチチームではお客さまの体験をよりよくするためのUXリサーチを様々なテーマで実施しています。その中から、今日は私が直近担当した「Z世代に関するリサーチ」の紹介を通して、普段メルカリのUXリサーチャーはどんな仕事をしているかイメージや興味を持ってもらえれば嬉しく思います。
1. 注目されるZ世代
はじめにZ世代に関する数字を見ていきたいと思います。
国連統計によると2019年時点で、Z世代は世界の人口の約25億人(世界人口の約32%)と推定されています。ミレニアル世代が約24.5億人(世界人口の約31.5%)と推定されていることから、人口ボリュームと今後の購買力の観点からZ世代に世界の注目が集まっています。
一方で、日本は人口減少フェーズにあるため日本のZ世代は数の面ではミレニアル世代より少ないですが、トレンドを生み出す若い世代であるためその影響力は見逃せないものがあります。
Z世代を仮に13才〜27才とおいた時に、メルカリはこの世代に実際に利用されているのでしょうか?未成年の場合、メルカリを利用いただくには親権者の許可が必要になります。そのような制限の影響もあるとは思うのですが、ミレニアル世代と比較してZ世代の方でメルカリを利用している方は人数の面でも、世代別のアカウント保有率(%)の面でも少ないです。年齢別にメルカリアカウント保有状況を調べてみたところ、中学生や高校生の過半数の方はまだメルカリのアカウントを保有されていませんでした。
2. Z世代がメルカリを使わない理由の仮説出し
Z世代に関する情報はメルカリ社内の中でも限定的だったので、まずはPM(Product manager)やDesignerを交えて、Z世代がメルカリを使わない理由の仮説出しを行っていきました。同時に、メルカリ社内ではChatGPTをベースにしたAIアシスタントが利用できるため、この心強い相棒にも相談しながら仮説のリストアップを行っていきました。これまで人が集まってしかできなかったような仮説出しの壁打ちでAIアシスタントも活用できることは、スピード面でも、クオリティ面でもUXリサーチにとってはプラスだと感じています。
3. 仮説に対するアプローチ
この時点で抽象度の高いレベルの仮説は出てきたのですが、まだまだ粒度が粗い上にどの仮説が有力であるかは分かりません。そこで、デスクリサーチ⇨定量リサーチ⇨定性リサーチのMixed methodsを用いながらアプローチしていくことにしました。
もう少し具体的にアプローチの流れを説明すると、まずは世の中に流通している過去のリサーチがないかをインターネット上で探索し、たまたま有償レポートが見つかったので購入をし、基本的なZ世代のフリマ利用実態についての理解を深めました。
次に、メルカリとして掘り下げるべき仮説の優先順位をつけるために、定量的なアンケート調査を実施しました。定量調査の結果、メルカリを利用しない理由がスコア化され、どの理由がメルカリを利用しない主な理由になっているのか見えてきました。
その上で、定量調査で見えてきたメルカリを利用しない理由を抱えているお客さまに対して、その理由を掘り下げるインタビューと普段のオンラインでの売買行動を観察するユーザビリティテストを組み合わせた定性リサーチを実施しました。
4. Z世代に対するオポチュニティ(機会)
複数のリサーチを組み合わせながらお客さまに向き合った結果、Z世代のメルカリ利用を阻む要因とメルカリ利用を促すオポチュニティに関してわかったことがいくつか出てきました。
そのうち、定量リサーチと定性リサーチを組み合わせたことで見えてきた話をここでは1つご紹介したいと思います。
Z世代の方にメルカリをなぜ利用していないかをアンケートで聴取すると、「トラブルや詐欺に巻き込まれることが心配だから」という項目が利用しない理由の上位に挙がってきます。
この点について、インタビューで深掘りをした結果、次のようなお客さまの背景が見えてきました。
【SNSでバズりたくない】
インタビューをする前までは購入する時に偽物をつかまされるのが心配なのかと想定していました。一方で、インタビューで話をよくよく聞いていくと購入する時の心配に加えて、売却する時にも自分が意図せずして偽物を保有していた場合に、知らず知らず売却してしまうことも心配だったのです。
Z世代の方はSNSで過ごす時間が長いと考えられています。その中でZ世代が目にするバズの1つには、意図的であっても、意図的でなくても偽物を売った人がSNSで晒されバズになっている光景があり、印象に残っていたのです。
【二次販売の境界線】
印象的だったもう1つのエピソードが二次販売の境界線です。インタビューした高校生の方からは「フリマアプリでモノを売ることが転売にあたるかどうか学校でも習わないし分からない。だから私はフリマアプリになかなか積極的になれない。」という発言も強く印象に残りました。
5. UXリサーチを踏まえての施策
メルカリは安心・安全な取引が行えるプラットフォーム環境づくりに力を入れている企業です。
だからこそ、今回のUXリサーチ実施後にUXリサーチから導出したファインディングスを基にPM、Designer、UXリサーチャーで社内ワークショップを数回実施しながら、どのような体験をお客さまに提供していくのがよいかというアイディア出しを行っています。
もしかすると、その中から実際にリリースされるアイディアも出てくるかもしれないので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
6. おわりに
いかがでしょうか?
メルカリのUXリサーチャーに興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、メルカリではUXリサーチャーを募集しているので↓のリンクからご応募ください。
私はUXデザインのほうに興味があるといった方もメルカリではUXデザイナーも募集していますのでぜひ応募ください。
「興味はあるけど、ちょっと話だけ聞いてみたい」といった方はカジュアル面談もどしどし募集中です。