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「月の満ち欠け」
映画「月の満ち欠け」/2022年
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“瑠璃も玻璃も照らせば光る”
仕事も家庭も順調な小山内堅(大泉洋)の愛する妻・小山内梢(柴咲コウ)は夢の中で、生まれてくる赤ちゃんに「瑠璃」という名前にしてと頼まれた。
小山内瑠璃は7歳になると、原因不明の高熱を出す。ところが、満月になるとケロッと治り、月を見上げながらリメンバーラブを口ずさんだり、大人っぽく髪をかきあげたりする。ぬいぐるみに「あきらくん」と名前をつけたのもその頃だ。
その姿を不思議に思い違和感を覚える妻の梢。偶然だろうと間に受けない夫の堅。
ある日、瑠璃は7歳にして一人で電車に乗り、高田馬場にあるレコードショップへと行ってしまう。警察騒ぎになり、父の堅が迎えに行くまでの間、瑠璃はアンナカレーニナの映画を大人しく見ていたという。
「高校を卒業するまでは、一人で勝手にどこかへ行くな」と叱る父に、瑠璃はこう言った。
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「パパに優しくしてもらったことずっと忘れないからね」
高校生になった瑠璃(菊池日菜子)。美術部で「あきらくん」の似顔絵を描いている。「前世の恋人なんだ」と親友の緑坂ゆい(伊藤沙莉)に打ち明け、もし自分が生まれ変わったらゆいにサインを送ることを伝えた。
瑠璃は18歳の誕生日を迎え、小山内夫婦の仲も睦まじく、親友のゆいを招待して娘の誕生日を祝う。
平凡で幸せな日常。
しかし、その日常はある日突然、愛する妻と娘を不慮の交通事故で同時に失ったことで一変する。
深い悲しみを抱えて、故郷の青森県八戸に戻る小山内堅。
そこに、三角哲彦(目黒蓮)と名乗る男が現れる。事故にあった日、面識のないはずの自分に小山内の娘・瑠璃が会いに来ようとしていたこと、高田馬場のレコードショップに訪ねてきたこと、そして娘さんはかつて僕が狂おしいほど愛した「瑠璃」という女性の生まれ変わりではないか、と告げたのだ。
哲彦は昔、謎めいた女性・瑠璃(有村架純)と許されざる恋に落ちる。瑠璃との出会いは高田馬場にあるレコードショップ。
「アンナカレーニナが好きなんですね」と話しかける哲彦。せめて名前を教えてくれませんか?と聞くと、謎めいた女性は「「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の瑠璃」と言った。
何度か瑠璃と会うようになり、瑠璃は哲彦の部屋から月を見上げ、リメンバーラブが好きなんだと、リメンバーラブを口ずさむ。
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しかし、既婚者である瑠璃は「これ以上会うとお互いに辛くなる」と哲彦に別れを告げる。
それからしばらくして、旦那の暴力に耐えきれず家を飛び出した瑠璃は、踏切に引かれて亡くなる。
八戸に暮らす小山内は、お墓参りで娘・瑠璃の親友・ゆいと再会する。ゆいに子どもが生まれたこと、子どもの名前は瑠璃だということ、生まれる前に「瑠璃って名前をつけて」と言われた夢を見たことを告げられ、馬鹿にしているのかと激怒する小山内。ゆいは、瑠璃が高校生の頃に描いた「あきらくん」の絵を見つけてくれないかと頼む。
渋々、思い出の品が詰まった段ボールを開けると、瑠璃が書いた哲彦にそっくりな「あきらくん」の似顔絵が出てきた。
それを持って東京にいるゆいとゆいの子ども・瑠璃とホテルのラウンジで待ち合わせをする。
ゆいの子ども・瑠璃は小山内に言った。
「ここでいつもどら焼き食べてたよね」
実は、ゆいの子どもは瑠璃の生まれ変わりだったのだ。
そんなこと信じられない。この子が自分の娘だなんて、自分の娘が誰かだったなんて、と生まれ変わりを受け入れられない小山内。
瑠璃は言った。
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「パパ、ずっとつらい思いさせてごめんね。パパに優しくしてもらったこと忘れてないよ。」
その言葉を聞いた瞬間、生まれ変わりがあるのではないか、と少しずつ現実を受け入れ始める小山内。
そのあと瑠璃は、会えるかわからないけどずっと待っててくれると言ったから会いに行くんだ、と哲彦の元へ走っていく。
八戸に戻った小山内を出迎えたのは、小山内の母の介護士と、その子ども。子どもは言う。「東京行ったんでしょ?どんなところ?」「キレイなホテルのラウンジだよ」「どら焼きが美味しいところだ!」って。
小山内は気づいた。その子どもが、愛する妻の生まれ変わりだということに。
みんな誰かの生まれ変わり。
過去世で果たせなかった強い想い。
「生まれ変わってもまた逢いたい」という願いが起こした、切ない奇跡。
生まれ変わっても逢いたい人はいますか?
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私がもし今日、不慮の事故で死んでしまったとして、生まれ変わることができたのなら。
瑠璃と同じように、愛する人がいる場所へ走って行くだろうか。探し回るだろうか。誰といるのか、どんな人になっているのか、忘れられてるかもしれなくて、怖くても。
はたまた愛する人が自分のことを覚えていたとしても、生まれ変わって見た目も年齢も変わってしまったのだから、私のしぐさや言葉だけで、私だと、気づいてもらえるか不安でも。
”逢いたい”
もう一度逢いたいという現世での私たちの願いは、亡くなったあともずっと生き続けるのだと思います。
時間も時空も超えて起こる偶然、奇跡、、そういうのってきっとあるのかもしれないと願うけれど、生きているときに何度でも「愛している」ことを伝えたい。「ありがとう」と感謝していることを伝えたい。想いを伝えられる日常は、ある日突然失われてしまうから。
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