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作曲に楽器はいらない~その1

 僕自身、そういった学校に通ったこともレッスンを受けたことはないんですけどね。
 ただ、曲を作るってことには興味があって、80年代に洋楽に出会ってからは、自分でもやってみたいと思い、高校生の時に初めてバンドを組んで浜田省吾のコピーをやりました。

 そのときに初めてかなぁ。バンドスコアってものを見たのは。で、わかっちゃったんですよね。

 ちゃんとしないと曲は作れないって

 小学生から中学生にかけて音楽の授業でおたまじゃくしをみてきましたが、たとえばピアノに向かってどこがC3=基本になるドの音 かなんてまるで分らなかった。

 オタマジャクシが意味する音の高さと長さは理屈では分かってもそれを見て頭の中で音が鳴ることもなかったし、そんなことじゃ、曲なんかつくれないわと、そう思ったのですけれどね。

 僕がドラムから入ったっていうのは、ある意味幸いしていてドラムにもちゃんと譜面あるんですよ。たぶん、譜面とか見たことない人には、ドラムの譜面ってどうなっているのって思うかもしれませんが、こんな感じです


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 いわゆるエイトビートの基本っていうとこんな感じ

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 エイトっていうのは1小節の中にハイファット(チッチッチッ)が8つあって、その頭にバスドラム(ドッ!)、3つめにスネア(タン!)がはいり、これを2回繰り返すと1小節、図では2小節同じものを繰り返していますね。

 ここまで着いてきていますか?

 身体の動きで言えば、右手に持ったスティックで譜面の一番上、ハイファットを8回同じ間隔(音の間)で叩き、1回目に右足でペダルを踏んでバスドラムを踏む、これが譜面の一番下ですね。で、3つ目に左手のスティックでスネア――鼓笛隊で言うところの小太鼓ですね、つまりアクセントといっていいでしょう。これを2回繰り返して

ちちちちちちちち
  た   た
ど   ど 

 となるわけです。これがわかるとですね・・・ギターだろうが、ベースだろうが、まぁ、だいたいどのタイミングでなんの音をどれだけの長さで引くのかが、頭では理解できるんです。

 あとは記号を追加して覚える、強くとか弱くとか、音を伸ばさずに切るとか、音を伸ばして次につなげるとか、まぁ、とりあえずその程度で音は形になります。

 で、何が言いたいのかといえば、ドラムが解れば、音楽は作れる!

 さて、なぜそうなるかというと、それを説明するには音楽の三大要素ってことを知っていただく必要がありますね。
 リズム、メロディ、コード(和音)です。難しく考えることもできますが、ここではより簡単に、リズムはドラムが、メロディーはボーカルが、コードはギターやピアノが弾く伴奏です。

 あれ? じゃあベースって何をするの? ってありますが、これはひとつにはリズムであり、一つには伴奏なんですよね。伴奏の中でもルートと呼ばれる、伴奏の基本になる一番低い音を担当します・・・が、細かいことはここでは置いておいて、つまりこの三つの要素を満たせば、まぁ音楽なわけです。

 で、ドラムの譜面の仕組みが理解でき、次に説明する和音の仕組みを理解できるとですね・・・楽器ができなくても曲が作れます!

 しかしまぁ、和音の理論って、これまた結構奥深いものがあるんですが、ここでは基礎的な概念だけで十分。おもちゃの鍵盤でもパソコンやスマホのアプリでもいいので、鍵盤を弾いてみましょう。これがCです。

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 なっている音は ドミソです。理論的にはド(C)をルートにして3度と5度・・・鍵盤を白鍵だけ数えて、1番目がド、3番目がミ、5番目がソです。黒鍵まで数えると1番5番8番で、この間隔のまま右に左に動かすと、それぞれ1番をルートとした和音になり、これをメジャーコードと言います。

 まぁ、一番すっきりした3つの音の組み合わせといっていいでしょう。これを少しずらしたり、足したり引いたりするとなんちゃらマイナーとかメジャー7(セブン)とか言うのができるんですが、まぁ、いいです。

 ギターが手元にあるのであれば、とりあえず、ネットでコードを探してみましょう。押さえ方が紹介されているので、一番抑えやすい・・・E(ミ)とかA(ラ)とか、じゃらーんってやってみてください。

 さて、和音の構成を説明しましたが、これだけでは伴奏とは言い難く、先ほどのドラムの譜面にあわせて、そのコードを1と3のタイミングで弾いてみるとですね・・・なんか伴奏っぽくなります。

 そしてあら不思議、その伴奏っぽいのに合わせて適当に鼻歌を歌ってみて下さい。自然とですね・・・たぶんなんですけど、使える音と使えない音、気持ちの悪い音っていうのがあって、和音で許される範囲でしか、脳内ではメロディが規制されます。

 なぜならば、この和音に合わない音、たとえば黒鍵のところの音なんかは、わりと気持ち悪いです。気持ち悪いから自然と上げたり下げたりして、気持ちいいところを探すと、自然に聞こえるメロディーってものが浮き上がってきます。

 そして極論を言えば、ここで躓いたらですね。一旦諦めましょう。それは野球のボールを投げるのに右手と左手と腰と足の使い方がわからないのと同じように、身体が音楽を作るための基礎、耳ができていないということになります。

 耳ができるっていうはですね、自然と音楽を聞いていると見に着くものだと僕は考えています。演歌をずっと聞き続けた耳で、ジャズやハードロックを聞いたときに、全部同じに聞こえるっていうアレです。

 演歌のそれぞれの曲の違いがわかるのだから他もわかるかと言えば、そうではなく、耳がその音、その音とリズムと伴奏の組み合わせに慣れていないと、何が気持ちよくて、何が気持ち悪いのか、違和感があるか、調和が取れているのかわからないっていう、それです。

 で、なんとなく行けそうって人は、左手で先ほどのCのコードを弾いて、右手で1音ずつ、好きな音を出してみてください。先ほどの鼻歌がそこで再現できたら、完璧です!

 今度はその出した音を先ほどのドラムの譜面と比較して、どのタイミング、どのくらいの長さで、どの音を出しているのかを記入して下さい。

 はい、できました!

 あなたはワンコードの曲を作ったことになります。たとえそれが、ああ、これはあの曲だと気づいてもお構いなしです。それはあなたの中から出てきた音なのですから、あとはそれを紡いでいくだけです。

 でも紡ぐには、それはそれでまた知らなければならないことがあるので、それはまた後日。まずはあなたが好きな曲の1小節をこのやり方で分析してみて下さい。ドラムの構成とメロディ、そこで使われているコードを調べて行くと、ああ、やっていいことと悪いことがあるんだとか、こんな音を選んでもいいんだとか、発見があります。

 いきなり3分30秒の曲を作る必要はありません。まずは1~2小節の構造解析から初めて、それを倍、倍にしていくと紡いでいくルールというのも、だんだん見えてくるものです。

 まぁ、兎に角、譜面は音のマップと言うことさえ理解できれば、入力するキーボードがたとえパソコンだろうとスマホのアプリだろうがですね。曲は作れてしまうのです。

 しかし、楽器はいらないと言っても、楽器を知らないと曲は作れません。作曲をしたいからとりあえずギターとかピアノを習おうっていう道筋もありますが、人前で演奏しようって気がないのなら、それはまた、あとでもいいのかなぁと僕は思います。

 いらないが知る必要はある

 何事も”何かを習得せずには何も為せない”であります。

 そして必ずアナログなところに帰結すると僕は信じています。知れば知るほど楽器は楽しいし、やってみたくなる。いきなりギターのFが押さえられなくてもいいんです。鍵盤の右手と左手が同時に動かなくてもいいんです。そんなもの、本気でやりたくなれば、鍛えてできないことはないのですから。

 しかし音は空気を伝わり、気だとか魂だとか言われるものも乗っけて人に伝わります。その助けになる相棒――自分の楽器に出会えたら、それはとても素敵なことだと思います。

 ということで、”楽器できないから作曲とかムーリー”とか言ってないで、まぁ、試してみましょうよ。

 音楽は楽しいっす!

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