見出し画像

アンチテーゼ~米騒動なんていらない

「最近お米が高くて」という会話をしていたのは今年の春当たりのこと。僕は料理をする。当然食品の買い物も僕がする。だから食品の値段が天候に左右され、高い時期、安い時期、モノがない時期には敏感だ。

「へぇ、そうなんだ」という返しをしてくる人と「そうなのよ。本当に高くて困っちゃうわ」という人とでの温度差は激しい。米に関しては昨年の天候不良(暑すぎた)の影響で今年の新米が出るまでの間は確実に高騰すると予測されていた。
 我が家はいつも米はなくなる寸前まで買わない。食べ盛りを越えた子供たちは家でご飯を食べる回数も量も減っているし、僕自身が料理をする機会がここ数年は減っていたのでそれで困ることはなかった。

 しかし今年に関してはいろいろと家庭内でも事情が変わり、ご飯を炊く回数と量が格段に増えた。要因としては外食、弁当などの高騰から弁当を作って食べることが増えたこと。息子が会社をやめて家にいること、引っ越しをしてキッチンが新しくなり、僕自身が料理をすることがまた楽しくなったことなどだが、そこに向けて「お米の確保」は最優先でやってきていたのだが……。

 お米の値段が上がることは覚悟していたし、在庫も格安である程度確保していたので油断していたこともあるが、南海トラフ地震の警報が出たのは想定外の出来事であり、それをきっかけに近所のスーパーやネット販売の在庫はあっという間に無くなってしまっていた。
 お米の消費量の見積もりも甘かった。引っ越しをきっかけに買い物をする場所がかわり、いつもと違うメニューを考えるのが愉しくなっていなければ、たぶん新米が出るまで米はぎりぎりもつはずだったのだが、これを嘆いても仕方がない。

 さて、今回の米不足――令和の米騒動はなぜ起きたのだろうか。僕の住んでいる都内では現在米を買うのは難しい。僕の読みでは今週くらいには値段が高くても買えないということはないかと思っていたがどうやらそうはならないようだ。
 僕の読みではさすがに今年3月に5kg1500円くらいだった値段が2500円までなった時点で政府は備蓄米を出すだろうと思っていたのだが、南海トラフ地震警報のおかげで政府も簡単には備蓄米を出すわけにもいかず、局地的な米不足状態は現在も続いている。

 米の流通についてはまるで知識がないのだが、おそらく各地域ごとに流通する量はある程度定められ、決まった量を定期的に市場に出すという仕組みなのだと思う。人口過密地域ほど、個人消費の微妙な変化が及ぼす影響は大きく、昨今の食品価格の値上げから小麦原料の食品の消費量は減り、価格の上り幅が低い米に消費が傾いた。これに災害対策のための備蓄のためにスーパーに買い物に行った人がSNSに「米がない」と投稿したことで多くの人が米の確保に奔走したこともあいまって、都内の人口密集地域では現在、慢性的な米不足状態が続いている。

 ここは白米を買うのを諦めて、ほかの食品でしばらくしのいだ方が得策である。無理に買い求める必要はない。もうすぐ新米が流通するまでの数週間をうまくしのげばいいだけの話である。

 我が家では初めて玄米なるものを購入してみた。

 同じ商品が近所のスーパーで900円台で売っていたのでこれを購入。2合炊くのに2.5号分の水で炊けると裏に書いてあったので試してみたところ見事に失敗した。

 よーく読んでみると、いつもよりもしっかりと米を研ぐ、これは実行した。水につける時間が3時間と書いてあるがまぁ、1時間くらいでなんとかなるだろうと思ったのだがこれが大間違い。老眼のせいもあるが実は8時間水につけてから炊くようにと書いてあった。知らないとは恐ろしい。勝手に8を3と思い込んでしまった。

 我が家は3合炊きの電気炊飯器を使っている。玄米のモードはなく米の説明書にも白米で水多めで大丈夫と書いてあったので、都合のいいところだけを読んで、大事なところを見違えてしまった。
 炊飯ジャーのまだ水がたっぷり残った玄米をそのままフライパンに移し、ふたをしていつもの「鍋で米を炊く要領」でもう一度炊きなおした。それがこれ

やや硬めだったけど問題なく食べられました

 いつもは土鍋を使うのだけれども、ガラス製のふたで中の様子を見ながら火加減を調整。このごはんにオクラ、長芋、納豆を混ぜたねばりの具をのっけて頂きました。ああ、これなら毎日食べても飽きないや。今夜は実際にレシピ通りに8時間以上水につけて炊いてみようと思います。

 さて、1993年の平成の米騒動を覚えているでしょうか?
 あのときタイ米が話題になりましたね。当時親元で暮らしていた僕はあの見慣れない長細いお米を食べたときに日本人に生まれてよかったと改めて日本の白米のありがたさを感じたものですが、それも昔の話。日本人の食文化はエスニックな食文化も吸収し、今ではタイ米がおいしくないという人もかなり少なくなったのではないでしょうか。

 この際、平成の米不足に習ってタイ米をあのとき、どうやって食べていいかわからなかったタイ米をおいしくいただくものいいのではないでしょうか?

ガパオライス

 これは数週間前に娘のリクエストで作ったガパオライスですが、これも本来であればタイ米で作る料理。いろんなアレンジも楽しめるので簡単なレシピを貼っておきます。

 写真は白米ですが、これらもタイ米で作ったらもっとおいしいかも

ズッキーニを使った炊き込みご飯と野菜カレー
ターメリックライスとほうれん草バターチキンカレー

 お米以外となるとやはりパスタがお手軽ですが、そうめんのレシピを増やしてみるのもいいかも。夏に食べようと思って買ってはみたものの思ったほどみんな食べてくれなかったみたいなことあると思います。僕は結構なアレンジでそうめんを愉しみます。

わかめソーメン


納豆そうめん

 或いはちょっと変わった素材でピザを愉しむのもあり

はんぺんにハム、チーズ、明太子をトッピング

餃子の皮でピザをよく作ります。レシピはこちら

小麦粉と水でトリティーアを作るなんていうのもいいですね

具は鶏の胸肉とキャベツにバーベキューソース

 まぁ、食を愉しもうと思えばひと月くらいはあれこれ試すなんて全然簡単です。ないものはない。あるもので何とかすればいいだけです。

 あと究極的にはこれをきっかけにダイエットをするのもありだけど、熱中症、夏バテにはくれぐれもご注意を。

 令和の米騒動なんていらない。っていうか、大臣の認識は僕とはだいぶ違うのだけれども、何がおきているのだか。下の動画はそれを知る参考にはなるのだけれども、つまりは数値と流通のシステムがイレギュラーに対応しきれなかった結果ということになる。
 読みが甘かったとは簡単な言葉だし、想定外とタイミング。悪いことが重なっただけというのも少し違う気がする。
 構造は常に変化していく。生産も消費も例年並みという水準から10年に1度くらいは大きく外れることがある。そのときの対応方法がいささか後手に回っているのではないだろうか。
 低所得者にとってのお米というのは命綱のようなもの。食はデリケートだ。扱いには注意したい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?