月の光

なぜ月にはうさぎがいるのかって、いろいろ調べたら今昔物語にこんな話が

老人が倒れていて、おなかが空いたので何か食べ物がほしいといったら、サルは木に登り果実を、狐は魚をとってきて食料を与えた
でもウサギは何も取ることができなかったので、自らを焼いて差出した
実は老人は神様で、ウサギの献身に心打たれ月に昇らせた・・・って少し残酷な話だったんですよね

それをヒントにいくつか物語を書いたことがあるのですが、これはそのときのメモみたいなものを、ふと思い出して、歌詞のような、詩のようなものに書き直してみました

僕の好きな、胡蝶の夢、かちかち山、浦島太郎、人魚姫など、物語の断片がちりばめられています
そして映画『ジョーカー』を観たことで、なんとなくダークな月を書いてみたくなりました

月の光
悲しみの歌が街に流れて
君の瞳を曇らせる
慰めの言葉を捜しながら
僕はひとり 遠く離れた人を思う

行き交う人の後ろ姿
君の影を見つけては
偽りの言葉を眺めながら
僕はひとり すれ違った人を思う

眠れない夜
見上げれはそこには月が
雲の狭間から僕をのぞいている
人恋しさも煩わしく
狂おしくも優しい光
届かぬ思いが解けていく

思い出の場所を奪われて
記憶のかけら拾っては
塗りつぶされたキャンバスに向かい
僕はひとり 傷つけてしまった人を思う

懐かしい旋律に惑わされ
出口のない闇に落ちては
ささやく声に耳を傾け
僕はひとり 心閉ざしてしまった人を思う

不確かな夜
見上げれはそこには月が
ビルの谷間から僕を哂っている
ぬくもり求めうさぎが歌う
踊りつかれた人魚のように
知りえぬ答えが解けていく

ふしだらな夜
見上げればそこには月が
真理の扉から僕を誘っている
安らぎ求め 身を横たえる
夢見る蝶の儚い命
眠れぬ僕は夢を見ない

うさぎに恋したおろかな狸
身を焦がして海に沈む
亀が哀れみ竜宮に連れ出せば
時を忘れて腹堤
酔いに任せて眠りにつけば
蝶になって人の夢を見る
見上げれば月が
真実の姿をさらけ出し
僕はひとり 目を覚ますのだろう

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