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アンチテーゼ~スイーツはいらない

 30代くらいのころって、知らないことは恥ずかしいとか、無知の罪なんてこともあるなぁって思っていた。
 50代も半ばを過ぎると、知らないことが羨ましく感じるようになる。

 もちろん、なんでも知っているわけでもなく、知らないことはたくさんあるのだけれども、知らなくとも大概のことは予測が可能になる。

 どんなにおいしいものを食べても、食べる前からある程度予測ができるし、何かの延長線にその味はたいていある。

まったく食べたことのない味や触感にはなかなか出会えるものではない。

 過日、知人……知り合ってからはかなり長いけど食事をしたのは初めてだったのだけれども、僕にとってなんでもないことが彼女にとって初めてだったり、意外だったりと、大いにはしゃいでくれたのを見て、本当にそう思った。

 あと、似たようなことで、忘れるってことも実は羨ましいことでもあるのかもしれない。
 うちのカミさんは、一度行った店で何を注文して食べ、味がどうだったかまるで覚えていない。

それって毎回新し(まさか食べ終わることには忘れてるとか?)ってことなんだよね。

 実はそういうのを少し不快というか、意味わからないと思っていたのだけれども(そのわりに、その店にどんな漫画が置いてあったかは覚えているのだから記憶できないはずはないのだが)。

 こうして僕はなんでもない日常を観察している。
誰にも得手不得手があって、できる人にはできない人の気持ちはわからないし、できない人には「こうすればできるようになるよ」と教えても、そもそも「なんでそれができるのかわからない」ってことになることもある。

 ドラムあるあるで、手足がバラバラに動くのすごいって言われるけど、バラバラじゃなくてリンクして連動しているって説明しても、だいたい伝わらない。

 逆に僕には美味しいものを食べた後のスイーツが意味わからない。
 美味しいの余韻をどこまでも楽しみたいので、何かで上書きする意味がわからない。
 それこそ別腹で、なおかつ別財布なんだろうなと思ったり(笑)。

 スイーツ食べるならお茶やコーヒーと一緒がいい。寿司ならお茶、日本酒はちょっとでいい。どんなにおいしい料理でも酒を飲みすぎるとせっかくの味や風味がぼやけてしまう。

 ビールやハイボールのつまみに唐揚げは最強。もちとんレモンをかけて食べるけど、食卓でご飯のおかずにするのならレモンはかけない派。むしろマヨネーズをちょこっとつけて食べる。ごはんすすむ。体重増える。でも食べる。

 例えば数人で居酒屋に行って、唐揚げが出た瞬間に「レモンかけていいですか?」と聞かれたら「いいよ」って答えるけど、おいしそうな唐揚げならその言葉が出る前に一つ自分の皿にとってプレーンな状態を味わう。

 スイーツを食べるにもそういった流儀や作法みたいなものがあるのだろうか。イチゴのショートケーキなるものは、本当にどう食べるのが正解なのかと迷ってしまう。僕の中では「倒さずに食べたら勝ち」みたいなことしか思いつかないので、最初に手を付けるのは乗っかっているイチゴになる。
 クリームのついているところと、ついていないところ。二つの味を確かめて、あー、甘いイチゴだ。その甘さにクリームが……みたいな確認をするくらいかなぁ。

 おそらく食事のあとのスイーツというのは、ご褒美感や食後の整えという側面もあるのだろうけど、子どもの頃にハヤシライスの後にメロンソーダやチョコレートパフェを食べるのは確かに楽しかった。むしろそっちがメインだったかもしれない。

 或いはエンドレスに甘いものを食べ続けられてしまう人にとっては最後にすることで食べ過ぎないということなのかもしれないが、たぶん……。

 そう、たぶんそこまで考えて食べてないよ!

 というのが答えなんだろうね。

 自分が食べるのはとにかく、女子がおいしそうにスイーツを食べている姿は、まぁ、確かにかわいいと思うわけだけど、ある意味それが男性にとってのスイーツってことを言ったら、きっと気持ち悪がられるのだろうけどね。

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