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#2 事業拡大 “一斉に蒔いた種の芽が出始め、相乗効果を生み出し始める”|幕張PLAY株式会社 神長尊士さん

<プロフィール>
幕張PLAY株式会社 神長尊士さん

社会起業家、幕張PLAY株式会社代表取締役。株式会社PROTTY取締役、一般社団法人Co-Design CHIBA理事。
一級建築士として社会のインフラとなる様々な建築設計に携わる一方で、「起業家と共に『ゼロ→1』を創出する」というビジョンを掲げ、次世代の社会インフラを構築できるような社会起業家の育成とコミュニティ創出に取り組む。ベンチャー経営者として局面を打開すべく独自の視点で考察し、バザール型の組織構築、中長期のビジョンや新たな事業構想の創出、 地域創生、持続的な地域社会の成長・発展を目指している。

このセクションでは、ピポット後の再スタートを経て、連続起業家としての肩書、および6つの事業運営に至るまでどのように事業を拡大していったのか、その変遷と秘訣を紐解いていきたいと思います。

神長尊士さん

この記事に書いてあること
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・拡大の変遷     "一斉に蒔いた種の芽が出始め、相乗効果を生み出
             し始める"
・拡大における課題  "アイディア・パートナーシップ・そして実行"
・ターニングポイント "現取締役石井さんとの出会い"
・周囲の変化     "社会的クレジットこそが大事"
・起業を目指す方へのメッセージ

Q. 「0→1」の「1」を実感した後の変遷はどういったものだったのでしょうか?
A. 建築の分野とコミュニティの分野でそれぞれ変遷を遂げていきました。
まず建築分野において。自分が学生の頃の設計分野ではまだ手書きが残っており、卒業の頃に二次元のCADが最先端と言われるような時代でした。それが現在ではBIM(Building Information Modeling)が最先端と言われるようになっています。いち早くその動きを察知し、40歳のタイミングでBIMの技術を取得し、設備投資をしながら大手企業と直接取引ができるステージまで育てあげました。今はその基盤をもとに、技術者を育て、拡張をしていくという次のフェーズに突入しています。
一方コミュニティ運営においては、MAKUHARI NEIGHBORHOOD PODの施設運営が6年前に始まり、これが1→10の事業拡大のきっかけとなっています。いろんなイベントやワークショップをリアルで実施することで、いろんな人が集まり、繋がっていく。そして、そのリアルな拠点をベースに千葉県の様々な場所に出向いていくことで、点と点が結び始まったなという実感もあります。
またクラウドファンディングのアドバイザリーをスタートしたことも、事業拡大のきっかけになっています。クラウドファンディングはお金の収集がメインだと捉えられがちですが、私たちはその視点だけではなく、新規事業に挑戦する種、人や情報がいっぱい集まる場所だと捉えています。いろんな方とつながることで人脈も広がるし、いろんなビジネスモデルも入ってきます。
それに加え、シェアリングエコノミー推進事業、広報・PRのスタート、千葉県行政との連携、など様々なことに同時に取り掛かりました。当初は持ち出しも多く、種を撒き続けているような感覚でしたが、それらの芽が一斉に出始め、相乗効果が生まれ始めたのがここ2、3年のことです。

Q. 変遷を振り返り、今だったらやり方を変えるところはありますか?
A. 事業をアクセラレートさせるため「指向」と「思考」が合っているパートナーに積極的にアプローチし、事業にJOINしてもらうと思います。

Q. 事業拡大において直面した課題トップ3はなんでしょうか。
A. ①アイディアを生み出すこと、また生み出し続けること
②パートナーシップを構築すること
③実行すること、また実行し続けること
この3つだと思います。
まず①について。会社を存続させるためには、常に新しいアイディアを生み出し続け、プロトタイプを作り出し続けることが大事だと考えています。そのためにも、クラウドファンディングをやろうとしている人との出会いを大切にしています。これからクラウドファンディングをやろうとしている起業家は、まだ世界に知られていないビジネスモデルを持っているということです。そういった人や情報との出会いを大切にし、次に繋げていくというアンテナを常に張るようにしています。
②は組織作りにも繋がりますが、ピラミッド型の組織を作って支配するということではなく、いかにバザール型のフラットな関係を築くかが大事だと考えています。それがクリエイティブな環境を生み出すために重要な関係性作りとなります。
そして③は実行することの大切さ。アイデアを持っている人は世の中にたくさんいます。けれど実行する人は少数です。さらには、実行し続ける人は、ほんの一握りです。
上記3つには含みませんでしたが、もう一つ大事な考え方は働き方についてです。会社員をされている方の中には「辛いけど頑張らなきゃ」という考えの方も多いかと思いますが、それは違う。仕事は苦行ではないので、いかに遊ぶように働けるかというのを大切にしています。そして、これがまさに幕張PLAY株式会社の名前の由来でもあります。遊ぶように働ける仕事に積極的に取り組んでいくことこそが、実行をし続けていく動機にもなっています。
楽しめているかいないかで時間の捉え方も異なってくる、そしてアウトプットの質も量も全く異なってきます。

Q. この事業拡大のフェーズにおける相談役はいたのでしょうか?
A. 未だに特定のメンターというような方はいません。ただし起業家交流会や経営者のコミュニティには積極的に参加し、先輩経営者の体験談を聞いて自分の中で咀嚼するようにしています。
また、自分よりも若い人たちから新しい感覚を学ぶため、積極的な交流を心がけています。

Q. 神長さんにとってのロールモデル・メンター・ヒーロー/ヒロインのような存在の方はいらっしゃるのですか?
A. エルトン・トゥルーブラット曰く、『その下に座ることは決してないと分かっていながら、木陰をつくる木を植える時、人は人生の意味を曲がりなりにも理解するようになる。』という考え方を持った生き方をしていきたいと思っています。自分が恩恵を受けずとも、未来のため、周りのために木を植える。そういう生き方をしていきたいと思っています。

Q. 事業拡大におけるターニングポイントはどこだったのでしょうか?
A. MAKUHARI NEIGHBORHOOD POD施設運営が始まったこと、また、現在取締役を務めている石井貴美子さんとの出会いでしょうか。
石井さんは起業家のピッチイベントに来ていたオーディエンスの一人。その際に行った1分プレゼンをきっかけに一緒にイベントをやるようになり、「指向」「思考」ともに合致していたため、役員として一緒に会社経営をやらないかと声をかけたのが始まりです。まさにターニングポイントですね。

Q. 石井さんも本日同席くださっていますが、当時を振り返りいかがでしょうか?
A. 石井さん:『もともとピッチに出るなんて思ってもいなく、当時やっていた金銭教育のワークショップを広めたいなという思いで参加していました。しかし起業家のピッチを聞いていたところ、雰囲気がとてもポジティブでいいなと感じ、1分だけならいいかなという思いで1分プレゼンに手を挙げました。
まさに幕張PLAYの「遊ぶように働く」という指針の通り、空気感やその場にいることでワクワクできる感覚には非常に惹かれるものがありましたが、当時は自分が起業家になろうなんて全く思っていませんでした。今振り返ると私自身にとってのターニングポイントもそこだったのではないかと感じています。』

Q. 同じく振り返っていただいて、今ならやり方を変えるところなどありますか?
A. 創業時同様、メンバーの厳選が重要というのは思いますね。
準備する時間がもったいないからすぐ会社を作っちゃいな、というアドバイスをよくするのですが、改めてそれは重要だと感じています。創業するまでの時間というのは巻き戻せません。10年かけて準備をして会社を立ち上げた場合、会社は創業1年目。でももし今立ち上げて10年かけてブラッシュアップを続けていった場合は創業してすでに10年の会社となります。創業1年目と創業10年目の会社の社会的評価を比較すれば答えは自ずと出てくると思います。
また最近では後継者不足という社会背景を踏まえ、既存企業を事業承継するという新しい選択肢も出てきました。100年分の会社のバトンを受け取る、時間を買う、という感覚です。当時に戻れるのであれば、事業承継、M&Aも含めて検討したかったですね。

Q. 事業拡大を進める中で、何か周囲の変化はありましたか?
A. 「働くように遊ぶ」というのを会社の指針として掲げてきた結果、大学からアプローチを受けてインターン生受け入れに繋がったり、就活の斡旋があり新入社員入社に繋がったりしています。
また大手企業や地元の行政などからも一緒に地域活性化事業をやらないかというオファーや相談を頂けたりしています。企業規模からいうともっと大きな会社はたくさんあるものの、幕張PLAY株式会社にお声がけいただけるようになったのは、自分の会社だけ成長すればいいという考えではなく、関わってくださる人や企業の付加価値を生み出すことという会社方針故だと実感しています。
自分の会社の売り上げに繋がらずとも、地域にとってプラスになることを実践したり、関係者に付加価値を生むような業務を遂行したり、というのを心がけてきたからこその結果だと感じており、社会にとってのいい影響を生み出すことができているのではないかと感じています。

Q. メディアに取り上げられるところはお金の側面が多いですが、そうではない付加価値、社会的クレジットこそが大事ですよね。最後に、これからチャレンジしようとしている方へのメッセージをお願いします。
A. 1点目ですが、時間をかけて準備することはもちろんすごく大事です。ただ、今すぐ始められることを直ちに始めることの方が大事だということです。今持っているスキルを活かしてできることを始めることで、それが何かしらの気づきやフィードバックに繋がり、次のステップに進むことに繋がります。
とりあえずプロトタイプを生み出していくこと、そして小さな失敗を繰り返すことの重要性を伝えたいと思っています。
次に、「起業」「会社経営」というと日本を代表する名だたる企業の代表者の名前が浮かび、大きな会社を作り、大きな雇用を産むことこそが重要、という考え方がありますが、その一方で時代が変わってきており、開発し続ける社会ではなく、今後はどう地球と共生していく社会を作れるかという流れもできました。正解は一つでありませんが、個人としては大きな会社を作ることを目指すより、大きな影響力を持てるる人を目指して欲しい、と伝えたいです。大きな会社というのはあくまで結果論。まずは人としての影響力の大きさを手に入れて欲しいです。
3点目。いまだに会社の起業を一か八かでやる人が多いです。失敗したらぶっ飛んでしまうようなやり方をする人です。よく分からず、メンターのいない状態でやるとそうなってしまいます。
そうならないためにも、まずは「ライスワーク」をしっかり築くこと。そして次に「ライフワーク」を築く、つまり目指す社会を作る活動を広げること。そして実力と実績が伴ってきたら「ライトワーク」、自分ではなく自分以外の人にスポットライトを当ててその人の活躍をサポートすること、を目指して欲しいと思っています。



「遊ぶように働く」という指針の元、地域密着で業務拡大を続ける幕張PLAY株式会社。今後の注力事業を担う、下記メンバーも募集中です。興味のある方は、是非お問い合わせください。

1 事業継承を担っていく若手社長候補、および興味をお持ちの企業の方
大事なインフラが消えかけているという状況は今後加速していきます。例えば南房総で農業を営んでいる農家の方や、漁業の方など、歴史はあるが継ぎ手がいないため廃業に追い込まれるというケースがどんどん表に出ていきます。それを継いでGrowthさせたいという意気込みを持っている若手社長候補の方や、企業の方を募集中です。

2 クラウドファンディングのアドバイザー
地域密着のプロジェクトを推進していくにあたっての地元のアドバイザーを、募集中。千葉を超えて全国展開を目指し、全国から募集中です。

3 幕張PLAY株式会社の事業の中核を担ってくれる方
会社の「指向」「思考」に共感し、会社の中で1→100に育てたい人を募集中です。

HP:https://makuhari-play.jp/



幕張PLAY株式会社と主なサービスの紹介
2013年10月設立。
一級建築士事務所 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリングを)メインに建築企画設計事業を営む。千葉市美浜区若葉の国家戦略特区にて「MAKUHARI NEIGHBORHOOD POD・幕張BASE」を運営、「ヒト、モノ、カネ、情報」といったカタチのないコミュニティの創出し起業家を多数輩出。「ちばクラウドファンディング(CAMPFIRE キュレーションパートナー)」を運営、スタートアップや新規事業創出および企業PRを伴走支援している。シェアで地域課題を解決するため、「ちばシェアリングコミュニティ」の運営、地域活性化事業に取り組む。関連企業に、株式会社PROTTY、一般社団法人Co-Design CHIBAを経営。
HP:https://makuhari-play.jp/















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