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肉の食べ過ぎは危険?MECの落とし穴とたどり着いたプロテイン生活。

私が糖質制限を挫折しないで成功できたのはMECに出会ったおかげだ。ただ糖質をカットしようと思えば食べられるものがなくなっていくので、どんどん疲労感が増していた。エネルギー不足だったのだ。だから肉・卵・チーズ食べ放題でいい!というのは福音で、一気にダイエットが加速した。

とはいえ、MEC生活を始めると極端なほど「肉食生活」に入るので、知っておかなければならない点もある。肉の食べ方をよく考えておかないと、かえって健康を害することにもなりかねない。

「肉の食べ方」が大事

MECを始めた当初、お肉が大好きな私は舞い上がってしまい「お肉だったらなんでも食べてよいんだ~」と勘違いした。これはMECあるあるだろう。しかし、お肉は「食べ方」を誤ると危険だ。参考になる情報として、丸元 淑生氏の「悪い食事とよい食事」の中からH.L.ニューボールド医博の「肉の食べ方」の注意点を紹介しよう。

1:肉は新鮮で古くなっておらず、保存料が加えられていないこと。
2:酸化された肉・脂肪に気を付けること。

「加工肉」を避ける

「肉は新鮮で古くなっておらず、保存料が加えられていないこと」を簡単に言えば「加工肉」を避けるということだ。ハム・ソーセージ・ウインナー・ハンバーグ・ミートボール等、加工されていてスーパーで売られているようなお肉はほとんど保存料・添加物漬けになっている。糖質を避けたとしても加工肉ばかり食べていたら、大腸がんのリスクが大きくなるだろう。

ハム・ソーセージに添加物が必要になる理由は増尾 清氏の本でさらによく理解できた。もともと、ハム・ソーセージは「塩せき」といって塩水に三か月、肉を漬け込むことで作っていた。この作り方で、熟成して色が出て、腐りにくくなる保存食ができたのだ。しかし、大量生産時代に入り工程を急ぐと3か月もかけてられない。結果として多くの添加物が必要となったのだ。

現在では人工的に保存食っぽいハム・ソーセージを速成で作り上げるので、その過程で、加工肉は添加物まみれになるのだ。

「この方法では色が出ません。ですから発色剤を使わなければなりません。腐りやすいから合成保存料のソルビン酸カリウムも使わなければなりません。ところがソルビン酸カリウムを使うだけで腐らないかというと、そうはいかないんです。少し酸っぱくしないとソルビン酸カリウムは効きません。ですから、少し酸っぱくするためにPH調整剤が必要になります。そうするとまずくなりますから化学調味料が必要になります。また、酸化しやすくなるために酸化防止剤が必要になります。」(P48)

引用:これで安全 食べ方上手?食品添加物・農薬に負けない 増尾清

脂肪の摂りすぎに注意

お肉からタンパク質を摂るのはとても大事。でも、脂肪を摂取しすぎないように気を付けなければならない。特に「酸化」された肉や脂肪は危険だ。空気にさらされて古くなった肉はすでに「酸化」されている。それを、さらに油で揚げて時間がたつと、ダブル「酸化」となる。気を付けなければならないのは、から揚げやトンカツなどの「お惣菜」だ。私はお惣菜の半額セールが好きなので注意しなければならない。

MEC生活を始めてすぐの頃は、毎日のようにから揚げを食べていた。近所のスーパーは19時半になると一気に半額シールがついたのだ。それで「お肉だからいいんだ!」と主張して毎日買っていた。今考えると、お肉の脂肪+揚げ油という酸化された油の摂りすぎが盲点だった。

丸元淑生氏は、脂肪の摂りすぎが肝臓に大いに負担をかけると警告している。残念だけど言い返せないわ。

「肉自体に脂肪があるうえに・・植物油が加わるのだから、脂肪の摂り過ぎにならないほうがおかしい。もしもこういう食事を毎日続けている人がいるとしたら大変な負担が肝臓にかかってくるはずである」(P86)

「肉には分離できない形で脂肪が入っているが、これを主要な蛋白源にしているとどうしても脂肪の摂りすぎになる」(P86)

悪い食事とよい食事 (新潮文庫) 文庫 – 1989/11/1 丸元 淑生 (著)

人類はもともと肉食なんだという主張も興味深いが、原始の生活には「揚げ物」は無かった。焼いて食べたかもしれないけど、油を熱して揚げて食べたとは考えられない。油を用いて、お肉(脂)を美味しく調理する方法を人類は開発したが、これは諸刃の剣となった。

結局、肉を食べてよいか悪いかという議論はちょっとズレているわけだ。けっこう過激な本を書く人だけど、この点は内海聡 氏の意見が正しい。

「世の中の食事療法の本を見ていると、半分くらいのものは肉を食べるなと書いており、半分くらいのものは肉を食べたほうがいいと書いてあります。ちょっと勉強すると、どちらが正しいんだ?と思ってしまいますが、正解は両方とも正しくないということになります。・・・私たちが食べている肉や卵は先住民が食べているものとは質も違うし、悪い添加物や遺伝子組み換えのエサや薬や、その他毒物のオンパレードだからです。・・・条件がつくことを忘れないで下さい。先住民が食べていたものに近い肉や卵を食べること、そのためには畜産のものだけではなく獣肉などをうまく活用することが大事です。」

(「トクホを買うのはやめなさい」 内海聡 竹書房新書 P187-189)

「肉」はそんなに食べられない

「エスキモーは肉を食べて健康である」というのは、よく言われる肉食生活の根拠だけど、彼らは揚げた肉を食べているわけではなく生肉を食べているのだ。丸元淑生 氏は「生肉」なら栄養的に問題ないと言う。

焼いたり、揚げたり、保存できるようにしたりして初めて「肉が美味しいと感じ、いくらでも食べたい」と感じるようになる。そもそも「肉」は美味しいか。糖質たっぷりの「衣」がなかったら、例えば、トンカツ・から揚げ等に「衣」が無ければ。糖質たっぷりの甘いタレ・ソースなどが無ければ。お肉をたくさん食べることは不可能なのだ。

それを考えると、純然たるMEC生活だけでは健康を維持できないのも分かる。丸元淑生 氏のひとつの結論は、穀類と豆類を食べ合わせることで必須のアミノ酸がとれるということ。つまり、ご飯(玄米や五穀)+味噌汁・豆腐・納豆・魚という和食が一つの「解答」だとしている。

*ちなみに丸元淑生 氏は「食道がん」で亡くなっているので、これだけ、健康に気を付けた方ががんで亡くなるのはつらい。アツアツの味噌汁が大好きだったからとか、それまでの生活の不摂生のつけとか、いろいろな説があるが、食養生だけですべての病気が解決できるわけではない。

結局、プロテイン生活

「高タンパク質」を食生活の軸に取り入れようと思えば、肉・卵・チーズだけで、これを行なうのは無理だ。「グルコサミンはひざに効かない 元気に老いる食の法則 」の中に、タンパク質を食品から得るのがどれほど大変かの記載があって、面白いので引用したい。

「牛肉の赤身の部分は筋肉で、大量のタンパク質を含んではいるものの、その約八〇パーセントが水分で、実際のタンパク質の重量は全体の二〇パーセントぐらいです。二〇〇グラムのステーキ肉を食べたとして、そのうち二〇パーセントは脂肪ですから、赤身肉の部分は、約一六〇グラム。しかもその八〇パーセントは水なので、タンパク質としては三〇グラムくらいにしかならないのです。」

グルコサミンはひざに効かない 元気に老いる食の法則 (PHP新書) Kindle版
山本 啓一 (著) 

牛肉を一人200g食べたとしても、30gのタンパク質しか得られないとは衝撃だ。MECでガンガン肉を食べることを勧める理由もわかる。相当食べても、必要量のタンパク質を得るところまでいかないのが現状。そして、そんなに肉は食べられない。では、植物性のタンパク質でその分を補うことはできるかというと、これもまた、衝撃的な情報が載せられている。

「プロテインスコア(表1)を見てわかるように、肉や卵のタンパク質は、ほぼ八〇点から一〇〇点ですが、大豆に含まれるタンパク質のスコアは、五六点にしかなりません。つまり、大豆のタンパク質なら肉の約二倍食べないと、身体に必要なタンパク質をつくれないということになります。表2を見ていただくと、豆腐二分の一丁には九・九グラムのタンパク質が含まれますが、大豆のプロテインスコアが五六なので、私たちの身体をつくるタンパク質を一〇グラムつくるためには豆腐約一丁分食べなくてはいけないことがわかります。豆腐だけでタンパク質の必要量を摂るとすれば、五十代の男性は六丁以上食べないといけません。

ご飯のプロテインスコアはあまり悪くないのですが、そもそもタンパク質含量が低いので、一日の必要量を満たすためには三三杯食べないといけないことになります。このように、植物からタンパク質を摂るというのはとても効率が悪いので、肉から摂るのが一番なのです。 一〇〇点の卵にしても、中玉で一個あたりの重量は六〇~七〇グラムです。黄身の部分にはタンパク質はほとんどありませんし、白身も八〇パーセント以上が水分ですから、実質のタンパク質量は重量の一二~一三パーセントです。ということは、五十代男性の必要量は七、八個ということになりますからたいへんです」

グルコサミンはひざに効かない 元気に老いる食の法則 (PHP新書) Kindle版
山本 啓一 (著) 

豆腐なら一日六丁(無理)・ご飯なら33杯(糖質過剰で死)・卵なら7,8個(アレルギーが怖い!)が必要なのだ。食品から高タンパク質健康法をやろ~ってのは、かなり無理があるわけだ。そうなりゃ、やはりプロテインが必要というのも頷ける話だ。

我が家では、もう何年もボディウィング社のホエイプロテインを飲んでいる。最安値ではないけれど、安定している品質が好きであまり浮気していない。いつも3キロずつ買う。

私は、糖質制限→MEC→三石巌(ヒトフード)→プロテイン→藤川メソッドという道をたどってきた。これからも変わるかどうか分からないけれど、普段の食生活にプロテインを加えるのは、タンパク質を摂取するうえでは最も良い方法だと考えている。プロテインの飲み方で言えば、この本が一番具体的だった。MECに行き詰まりつつある人はぜひ試してほしい。

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現在は、主に朝食にプロテインをしっかり摂ることを食事法の核にしている。5年間の記録をまとめてみた。


大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq