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目標に向かって努力する人だけが見える景色「受験のシンデレラ」(原作:和田秀樹)

大きすぎる夢を見て、挫折するくらいなら、夢なんか見ないほうがマシだ。受験のシンデレラのW主人公の一人、真紀(川口春奈)の気持ちだ。高校2年の真紀は、小さい時から親の離婚や、男性・お金にだらしなさすぎるシングルマザーとの生活で、すっかり心が擦り切れていて、目標も夢も持てなくなっていたのだ。しかし、伝説的な東大進学塾の講師、五十嵐(小泉孝太郎)と出会うところから、真紀の人生は変わっていく。

和田秀樹氏が、映画を撮るために医師になったというエピソード(参考:天職・ライフワークの追及の仕方はそれぞれ【書評】それでも仕事は「好き!」で選べ 田中和彦)を聞いてから、気になっていた「受験のシンデレラ」を見終わった。私が見たのは、NHKの連続ドラマ(全8回)バージョンなので、和田秀樹氏が監督をした映画ではなかったけど、原作者だから、エッセンスはちゃんと伝わったし、しっかり感動を味わった。

目標に向かって努力すること

貧困家庭にあり、十分な教育も受けられず、将来の夢も持てなかった真紀だが、東大受験を目指して勉強するうちに、自分の将来は自分で拓くことができることに気づいていく。高校(夜間)の追試を受けて、落第寸前の真紀が、1年で東大受験(合格)をするというのは、まるで夢物語だった。

塾講師だった五十嵐の指導は強引で、褒めて育てるタイプではない。しかし、自分自身も田舎育ちで、独学で東大合格を勝ち取ってきた五十嵐は、真紀に闘う前から人生を諦めてほしくないと願っている。五十嵐は脳腫瘍で余命1年を宣告されている。最初は自分のため、自分の人生が間違っていなかったことを証明するために、真紀を教えていた五十嵐。しかし、やがて真紀の合格を自分の人生における最後の目標とするようになる。

その熱い思いが、やがて真紀にも伝わる。自分の境遇を他人や環境のせいにして、あきらめきっていた真紀が、だんだん素直になり、東大合格を「自分の目標」にしていく姿はさわやかだ。五十嵐のことを「せんせい!」と呼ぶようになるあたりから、川口春奈の魅力にすっかりやられていた^^ 

何度も何度も、形を変えて障害になるものが真紀の進路をふさぐけれど、その都度、真紀は目標をしっかり見据えて勉強をし続ける。最後は五十嵐の症状の進行さえ、真紀の目標の障害になりかける。勉強をやめ、病床で五十嵐につきそう真紀に、五十嵐は渾身の力を振り絞り「俺とお前の戦いだ!こんなとこで負けていいのか。最後まで戦え!」と叱咤され、泣きながら勉強に戻る。自分自身の目標じゃなければ、とっくに挫折していただろう。

ドラマの中では東京タワーが印象的なシンボルとして何度も使われる。「東大を受験したから」・「東大に合格したから」ではなく、目標に向かって全力で走り切ったからこそ、真紀が見る世界・光景は、いつの間にか、すっかり変わっていた。まるで、決して解けない魔法がかけられたかのように。そして、ゴールはスタートとなる。

自分の目標にコミットする

「どうせダメになるくらいだったら、下手に希望を持たせないでほしい!」。隠していた五十嵐の病気が明らかになった時、劇中で、真紀は一時期目標を投げ出しそうになる。五十嵐に依存していたのだ。先生が東大に連れて行ってやるって言うから頑張っていた。自分自身でしっかり目標にコミットしていなかったのだ。

この真紀の気持ちは私の心中を言い当てているようで、ちょっと痛かった。

高い目標を持てば挫折するかもしれない。私は、ある時期から目標を持たないで生きていた。というのも、一生懸命やって、それでダメだった時に味わう痛みを考えると、最初から努力しない道を選んでいたのだ。あまり、意識していなかったけど、そのほうが痛みを少しでも少なくできる。自分で確実に手が届くと思ったものにしかチャレンジしなくなっていた。

でも、守りに入ると、動きはどんどん小さくなるよね。人生が運動不足だ。

自分の目標を決めて、それに打ち込んだ時だけ見える世界がある。傷つくことを怖がっていたら、何一つなしえない。そんなことを「受験のシンデレラ」から学んだ。一心不乱の真紀の勉強、最後の生命の火を燃やして真紀を応援する五十嵐、だんだん二人に巻き込まれて応援団になる周りの仲間たち。その姿は魅力的だった。あれだけ一生懸命やったからこそ、最後のシーンでは泣けるわけだ。

中途半端の努力では、受かっても落ちてもいいよねというくらいのコミットでは、最後の感動はない。

じゃあ、自分の人生のラストシーンはどうなるだろうか。本気で打ち込んできた人だけが味わえる景色を見ることができているだろうか。こんな腰が引けたコミットでは、とても目標をなし得ないよな・・・とか、いろいろ、自分の状況と照らし合わせてみると、受験生ではなくても、心に響くものがある。ところどころで語られる「受験の極意」は「人生の極意」でもあった。

映画版の「受験のシンデレラ」にも興味を持った。こちらは和田秀樹氏が直接メガホンを取った作品だ。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq