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ADHDのような新種の障害?ADT(注意欠陥特性)に要注意。

ADHDは、ある意味、個性の塊だ。注意欠陥障害は、逆から見れば、あらゆるものに注意を集中できるというメリットにもなる。新規探求傾向は、時代を切り開いていく特性にもなり、偉人の中にもADHD傾向があると言われる人は多い。そんなことを考えると、ADHDだとしても、自分の長所を活かせばいいじゃない?と思えないこともない。

しかし、症状はADHDにそっくりだが、実はADTだという人が多くなっているという。しかも、ADTには、ADHDの個性が持つメリットは全くないのだ。ただ、ただ、気が散っているだけという救いようのない状態なのだ。私は、近年のADHD診断バブルの背景には、実はADTも相当数含まれているのではないかと疑っている。

ADT(注意欠陥特性)という悲しさ

ADTは、精神科医に診断される病名ではない。しかし、あり得る。これを言い始めているのは、多くのADHD患者を診ている精神科医のエドワード・ハロウェルだ。2005年に「ハーバード・ビジネスレビュー」に掲載した記事の中で、ADTに触れている。

「注意欠陥特性(ADT)と呼ばれるものだ。 ADDやADHDは背後に遺伝的要因があり、頻繁に注意力を欠くという特徴の一方、クリエイティブで洞察力に優れた才能を秘めていることが多い。ところが、それとは異なり、ADTにはそういった才能は何ひとつない。 ADTというのは、今の「多動な」世界での暮らしや仕事の結果生じるもので、注意を向ける対象となるデータポイントがあまりにも多いことにより脳への負荷が過剰となり、シャットダウンし始める状態だ」

現代社会は情報が過剰に多く、特に視覚情報で脳内のワーキングメモリーはいっぱいになっていることが多い。それなのに、ちょっとしたスキマでも現代人は、スマホをチェックしたり、タブレットを見たりして、完全に目(脳)を酷使している。

情報過多ゆえに、脳内の作業場であるワーキングメモリーから、ボロボロと情報がこぼれ落ち、結果として表れる症状が集中力欠如、忘れやすい、うっかりミス、ぼーっとしがち、、、というADHDのようなものになるのだ。しかし、原因は全然違う。悲しいことに、ADHDが持つ障害の背後にあるきらめくような個性は存在しないのだ。

特に「大人のADHD」は要注意だ。本物のADHDは幼少期に、はっきりとその傾向がみられる。大人になってから、ちょっとぼんやりする・・くらいだったら、ただ単純に情報過多で気が散りまくっているADTかもしれない。

インターネット依存の問題

ネットやゲームなどに依存するようになると(そもそも、ADHDは依存しやすいので見極めが難しいけど)無気力・無関心になり、不注意や衝動性が悪化することが複数の研究で指摘されるようになっている。2012年に中国科学院のレイ・ハオ教授が行った調査は興味深い。

「インターネット依存の被験者には、眼窩前頭野、前部帯状回、脳梁などの大脳白質で、神経繊維の走行の乱れの増加や密度の低下がみられた。こうした変化は麻薬や覚せい剤中毒の患者に特徴的なものであり、麻薬中毒と同様の変化が脳内に起きていると報告したのである。

この結果は、重度のインターネット依存が神経の発達自体に影響し、その構造自体を変成させてしまう危険を示唆するものである。麻薬や覚せい剤依存と同じように脳自体を壊してしまい、衝動性や注意力の低下、意欲や気分の問題、社会性の発達の問題といったさまざまな症状を引き起こしえるということだ。」(P237)

これは、発達障害がどんどんと増えている一因として注目されているものだ。もともとのADHD特性との見極めが難しいとはいえ、ネット依存を深める人々の傾向が、いっそう注意欠陥状態を招いているのは間違いないようだ。

ADTを改善する

ADTを改善するには、少しでも目を閉じ、少しでも電子機器から離れ、ゆとりを持つ時間をとらなければならない。8割の情報は視覚から入ってくる。視覚情報をシャットアウトするだけで、ワーキングメモリーを整理する効果があるのだ。アイマスクをして10分~15分昼寝をするだけでもいい。3分目を閉じるだけでも違う。(参考:劇的に注意散漫!コロナ禍で何事にも集中できない理由と対策。

ネットから離れ、絶え間ない刺激から離れる時間を強制的に取らなければならない。私は、これを「小島」を作ると呼んでいる。朝・夜に、誰にも邪魔されないルーティーンを作ることで、強制的に自分の中に騒音が入ってこない環境を作るのだ。絶えず気が散らされた環境を改善するだけでも集中力は回復していく。

発達障害への知識が深い医師ほど、ADHDやASDは、薬物治療だけでは改善しないことを知っている。生活習慣を整えることや、環境に働きかけること、自律スキル・ソーシャルスキルを磨くこと、認知の歪みを変えることなど、多面的な援助が必要であることに気づいている。

発達障害を判断する際に「遺伝的問題」とみなした瞬間に、その他の要素を変える努力をしなくなることが心配だ。だからこそ、ADHDの原因も一つに絞り切らずに、様々な観点から見ていく意識が必要だと感じる。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq