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格安広告の葬儀社に注意!葬儀社の見積もりの読み方。

インターネットで流行しているのは、葬儀屋比較サイトや格安の葬儀会社だ。いざ見積もりをとろうとすると、キャッチーな値段を載せたサイトがあり、大いに悩むことになる。私は「5万円でお葬式!」という広告も見かけたことがある。高額な葬式批判に集中するあまり、逆の極端に振れてはいけない。今日は、そんな話。

格安の葬儀広告を見るときは、注意しなければならないポイントがいくつかある。「ザ・葬儀のコツ」から紹介してみたい。

格安広告は釣り

「昔ながらと言ってはなんですが「格安葬儀」でお客さんを釣り、実際には通常程度か、相場より高い金額で葬儀を施工する業者がいまだにいます。たとえば、人数の少ない葬儀と一般の葬儀(100人規模の会葬者)の金額を比較して安さを印象づける広告を打っています。しかし、それは軽自動車と普通乗用車を比べて軽自動車が安いと主張しているようなもので、比較でもないし、実際はお買い得でもありません。

たとえば、インターネットでよく見られるのは「葬儀平均費用は○○円、当社ではなんと□□円!」というやつです。葬儀の平均費用は、60~100人程度の会葬人数、比べるプランは親族10人だけのお葬式。実際には比較でも何でもないものです。」(P41)

ザ・葬儀のコツ まちの葬儀屋三代目が書いたそのとき失敗しない方法  合同フォレスト (2011/9/20) 佐藤 信顕 (著)

比べる対象が違うのに値段を比較して、格安に見せかけている。葬式の値段は、会葬者次第だ。それ次第で桁が一桁変わる。会葬者の数が違えば、見積もり自体できないはず。通夜や告別式も行う普通の葬儀を考える場合に、最初から、大々的に格安の金額を謳うというのはそれ自体怪しい証拠かもしれない。「直葬」のみなら、話は別なんだけど。

パッケージになっている商品・サービスを見る際には特に注意が必要だ。安く見せるために、何らかの仕掛けがある。本当は欠かせないサービスを抜いて、オプションにし後から請求するということもある。素人目には、なかなか真偽が見抜けないのが怖いところだ。

葬儀社の見積もりを読む

葬儀社の見積もりをとるのは「鉄板」なんだけど、見積を読むのも簡単ではない。プロの目からみても、他社の葬儀見積もりを見ると、難しくて読めないことがあるのだという。見たこともない明細項目があったり、普通はとらない項目に金額がついていたり、素人には何が正当なのか分からなくなっているのだ。まあ、普段見るものじゃないしね。

私も叔父の葬式の際に、大手葬儀社の見積書を見たが、どれをカットし、どこを必要なものとするか、指示しようと思ったのだけど難しかった。見積もりの読み方のコツは「総額表示」を確かめることです。

「葬儀の見積もりの比較はとても簡単です。「どこでやるか(場所)と人数規模(親族と一般会葬者)」の条件を決めたら、「お布施と名札のついた籠入りの生花以外は全部入れた」見積もりを作ってもらうことです。」(P42)

「・・・お客様の名前で互助会の担当者に電話をして「結局全部でいくらですか?」と確認しています。私たち専門業者でもこの「総額表示」という方法で実際の金額を確かめています。簡単な方法ですが、みなさんにもプロがやるのと同じ方法をお勧めします。総額表示というのは、お布施とお供え物以外でかかる金額全部ということです。」(P44)

ザ・葬儀のコツ まちの葬儀屋三代目が書いたそのとき失敗しない方法  合同フォレスト (2011/9/20) 佐藤 信顕 (著)

全部というのは、お布施と供え物以外の金額(総額表示)のこと。これを覚えておけば、交渉の際に、頭がごちゃごちゃになってしまうことが無い。ちなみに大原則として、儀式(セレモニー)が無ければ見積は簡単だということも覚えておこう。

私は基本的にシンプルな直葬を考えている。セレモニー部分(通夜・告別式)が無ければ、見積書も非常に簡易なものになるはずだ。お葬式は、儀式があるからこそ、複雑だし、高くなる。葬儀社の儲けもそこにある。最初から、儀式部分はやらないよ!て決めてしまうと葬式は絶対安くなる。

「家族葬」が意味するもの

もっとも、大仰なお葬式を上げたいという人は少なくなっている。それで多くの人が考える選択肢は「家族葬」だ。実際に町を歩いてみても「家族葬」という看板を、あらゆるところの葬儀屋さん、斎場で見かける。しかし、「家族葬」の定義は、実は曖昧だということに注意しなければならない。

家族葬とは、キャッチーな「商品名」に過ぎず、多くの場合は、葬儀の規模を小さくしたものだ。通夜があり、告別式があり、ただ会葬者が少ない(10名~20名程度)というのが特徴だ。

例えば、ある会社(ネット上の格安葬儀会社)が提案する家族葬は、会葬者10~20名程度で、39万8000円のプランがある(グレードにより43万8000円まで値上がりする)。生花祭壇(かなり小規模なもの)や、葬儀場利用料金、遺影、受付、司会進行、式中初七日(繰り上げ法要)などが含まれる。通常の葬儀で行われるものが含まれて、会葬者だけが少ない(親族のみ)と考えるとよくわかる。

家族葬の場合は、会葬者が少ないために香典や弔慰金などが無く、実際には一般の葬式よりも葬家が支払う葬儀費用が高くなってしまうこともあるそうだ。ちまたで喧伝される「家族葬」は、あくまでも、規模を落とした小さな葬儀とみなすのが良いようだ。

しかし、考え方を変えれば、家族だけで葬式を行うわけだから、従来の葬儀のカタチに縛られる必要は全く無い。檀家であり、仏式で葬儀をあげなければならないなどの縛りが無いのであれば、あえて、家族だけで仏式葬儀にこだわる必要はない。家族だけで行うメリットを充分に活かし、ゆっくりと故人を見送れるようにすれば良い。そこに、格安のプランで派遣されたスタッフやお坊さんが同席する必要も無いし、小さくて貧相な祭壇を据える必要もない。

遺体をどう処理するかという現実的な側面に関しては「直葬」で対応すればいい。その後、親族だけで故人の思い出を語り合ったりするイベントを自身で企画すればいいではないか。あえて葬儀社を介入させずに、何らかの儀式を持ち込まずに、行えるからこそ本当の「家族の葬」になる。ただ、規模が小さいけれど、一般的な葬儀のカタチを模したものを行うのは、単に葬儀社のパッケージに乗せられているだけだと思える。

直葬基本主義

島田 裕巳氏は著書の中で、直葬を上手に使うことで、家族をゆっくり見送る機会を作れるという主旨のことを述べている。それは、しきたりや儀礼的なものに縛られないからで、その分、自由に家族が通夜の代わりに、故人の思い出を語り合う時間をもったり、一緒に食事をしたりしながら、本当の意味での「葬儀」を行うことができる。

そこまでシンプルにするなら、単に葬儀会社が決めた「安い葬儀」のパッケージとしての家族葬に翻弄されることは無い。葬儀社も家族葬をグレードを下げたお葬式としかみなしていないんだから。ただ貧相な、お葬式になってしまうくらいなら、全部、自分でプロデュースしたらよかろう。遺族として、何を本当にしたいのかをよく考えて選択すれば、きっと思い出に残る、そして悔いが残らない葬儀を行うことができるはず。

もちろん、家族に事前に自分の意思を伝えておくのは不可欠だ。早い段階から、こういうことを自由に話し合えるような家族は良い家族だろう。葬儀の話や終活の話題は、切り出すのに勇気がいるけど、一度話してみるとお互いにスッキリする。実は、それぞれがモヤモヤと考えていることだからだ。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq