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嘘を見破る方法はあるか【感想】BS世界のドキュメンタリー「ウソについての本当の話」

世界はウソだらけだ。米ワシントンポストによると、アメリカのトランプ大統領は就任2年間で8000を超えるウソをついたと言われている。(参考:トランプ氏「ウソ」就任して8千回超?1日16回報道)現職の大統領が、こんなに嘘つきだと言われるとは、いやはや。しかし、私たちも人のことは言えない。一般的な人は、一日二回はウソをついているのだという。

そのウソの中には、いわゆる「嘘も方便」のように人間関係を滑らかにする言葉も含まれる。もし、この種のウソがなければ人間関係は非常に緊張したものになるだろう。番組の最後で、もし、人がウソをつけないとしたらというミニドラマがあったけど、まさに、これが「アスペルガー」の人の日常だと思った。ウソをつけないというのは、この世界では「障害」と見なされる。ウソと上手に付き合う方法を科学的に考えよう。

原題:Die Wahrheit uber die Luge (ドイツ 2019年)

ウソを見破る方法

ボディランゲージの専門家は高い確率でウソを見破ることができる。例えば、ウソをついている人の顔は「非対称」に歪む。本物の笑顔と、作り笑いは違う。私たちの感情は、意識する前に一瞬必ず表情筋に表れる。これを「微表情」と呼ぶ。一瞬で表れるので、意識的に制御することは不可能だ。これを隠そうとすると、不自然な表情になり、その一瞬の不自然さがウソの証拠となる(・・場合がある。絶対確実とは言えない。)

サーモグラフィーを使い、ウソをついている時の顔の温度を測る実験も面白い。ウソをついている時は、指先や鼻先の温度が下がり、逆に額や頬の温度が上がるのだという。ウソをついている時、人は「認知的緊張」という状態に陥る。ウソは思考力をフル回転させるために、額の温度が上がる。また、相手が、そのウソをどのように考えたかを推測するのに、ミュラーニューロンがフル活動するようだ。この結果、特定の部位の温度上昇がみられる。

他にも、ポリグラフ(ウソ発見器)や眼球の動きを計測する器機で、ウソをついた時の身体的緊張や特徴を計測する実験も行われている。もし、このような技術が完成すると、警察や裁判所で使用することも可能になる。しかし、現実的には、科学技術が人間のウソを完全に見分けることは不可能だろう。

以前、顔認証の番組で「ロボットは感情を見分けられない。なぜなら、人間が入力したデータしか反映できないから。人間が相手の感情を見分けるというのは不可能だ。これがAIの限界。」と専門家が述べていた。(参考:コロナ禍で需要爆増【感想】クローズアップ現代+「顔認証システム」)この表情をしている時はウソだ!という正確なデータが用意できれば、AIも発展を遂げるのだろうけれど、結局はデータをもとに人間が直感を働かせるしか方法はなさそう。

ちょうど、いま、読んでいたこの本は、人の真の気持ちは、顔の表情ではなく「脚・足」に表れるという興味深い指摘が書かれている。熟練のFBI捜査官にかかれば、ウソも簡単に暴かれてしまう。

ウソは身を守る

ウソをつけない人は自分の身を守れない。子供が他者の心を読めるようになるのは、いつ頃かを確かめる有名な実験がある。「心の理論」だ。(参考:子どもの「心の理論」~広島大学)この実験によれば、3歳前後の子どもは他者の気持ちを予測できない。しかし、5歳程度になれば、子供も他者の行動を予測できるようになる。そして、このあたりから、ウソもつけるようになるのだ。

ザルツブルク大学で行われた実験では、子供にシールを握らせて、「どちらに入っているか」を尋ねる。もし、子供が正直に答えてしまえば、シールは没収されてしまう。3歳未満の子どもは、シールが取られてしまうのに、ウソをつけない。しかし、5歳以上になると、あっさりとウソをつけるようになる。6歳の子は、相手の出方を読んでウソのウソ、二重トラップを仕掛けることさえした。

この実験は貴重なことを教えている。確かにウソのつけない子供は「無邪気」でかわいらしいが、他者の心を予測できないと簡単に搾取されてしまったり、だまされてしまうということだ。しかし、ある程度、成熟してきた子供はウソをつけるようになるので、相手のウソも見抜けるようになる。ウソにだまされないためには、ウソをつける能力が必要ということだ。

フェイクニュースとの戦い方

無邪気なウソとは違い、社会に混乱を引き起こすウソがある。危機の時代になると、対立する陣営同士がフェイクニュースを流し合う。コロナ危機のさなか、私たちの身の回りでも何を信じて良いか分からない情報が飛び交う。しかし、これは世の常だ。

ウソから身を守る術は、ウソを見分け、ウソを信じないことしかない。そして大人はそれができるはずだ。自分もウソをつけるからだ。流れてくる情報を何でも信じないようにしよう。だいたい、ウソかもしれないと疑ってかかるくらいでちょうどよいのだ。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq