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発達障害(ADHD)の診断とWAIS(ウィクスラー知能検査)。

発達障害の診断が非常に安売りされていることは心配なことだ。生きづらさを感じる人は少なくないけれど、誰でも彼でも「発達障害」と呼ばれてしまうような時代になると大変だ。今のところ、精神科の判断次第で、簡単に診断が下される。(確たる根拠がなくても)

発達障害を知って受け入れるのも大事だが、安易に発達障害というラベルを貼り付けないことも大事なことだ。特に診断後のフォローがしっかり受けられないのであれば、ラベルを貼っただけの弊害の方が大きくなる。

そこで、発達障害の診断に役立つ一つのツールであるWAIS(ウィクスラー知能検査)について考えてみたい。

WAISのメリット・デメリット

WAISは知能検査というより、その人の持つ能力の「バランス」を見る検査と考えたほうがよい。一口に発達障害といっても、相当に症状は異なる。ADHDと診断されても、実はASDも混ざっていたり、ASDの方が強かったりもする。

メリット:
WAISは、いわゆるIQ、全般的な知的能力だけではなく、どの部分が強くて、どの部分が弱いのかを客観的に把握することができるツールだ。

言語性IQ:音声処理能力、言語を操る能力
動作性IQ:視覚や、運動処理の能力
言語理解:言葉で自分の考えを表現したり、言葉で他の人の考えを受け取ったりする能力
知覚統合:目で見たことを理解し、図形や空間を把握する能力
作動記憶:ワーキングメモリー系の機能。注意を集中させたり、同時に物事を行う能力。
処理速度:素早く正確な作業を行う能力。事務処理能力など。

数値で判断することで、特にどんな作業が苦手で「障害」になっているかを理解する助けになる。一般的にADHDは特に作動記憶が弱みになるだろう。

デメリット:
WAISのデメリットはなかなか受けるのが容易ではないこと。臨床心理士がいるところでしか受けられないし、一人あたり2時間~3時間と双方に負荷が大きいテストだ。しかも「発達障害」人気で、希望者は多いが、受けられるところは少ない。

SPA!で記者がWAISを受けてみたレポが載っていた。

「このテストは当日予約のみで、朝から電話をかけまくらなければならなかった。希望者が殺到してなかなか予約がとれないからだ。苦労の末に受けたテストは2時間ほど口頭質問に答えるIQテストのようなもの。長丁場で集中力が続かず、終盤はボロボロ。」

そもそも、受けにくいのがやはり問題だし、設問に答えていく検査なので、数字や記号に強い人は得点が高くなったり、日常での困りごとを正確に反映するものではないことも覚えておかなければならない。今のところ、気軽な検査法ではないのが惜しい。

自分の強み・弱みを客観的に知る

発達障害は、自分の強み・弱み(主に弱み)を理解しているけれど、いざ客観的に、どの部分が一番困っているかを説明するのは難しいかもしれない。そんな時に、WAISに基づいた診断を得ていた場合、よりいっそうターゲットを絞った対処・改善ができるのではないだろうか。

私は、行動・環境改善と共に、サポートを得ることによって、ADHDでの障害を最小限に抑えることができ、楽しく生きることができているので、もちろんWAISも受けてはいない。しかし、いざ、診断を受けることになれば、精神科の主観よりもWAISを受けてみたい。(診断に限らず、自分を知るために一度受けてみたい。そういう人が殺到して受けにくくなっているんだろう)

今までいろいろな発達障害本を読んだけど、WAISのメリット・デメリットに関しては、下記の本が非常に詳しかった。この記事の参考文献でもある。

綿樽剛の著書一覧

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq