大津高校サッカー部の秘密：50人以上のプロ選手を生む「人づくりの流儀」

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年9月11日 13:14

平岡和徳総監督が、大津高校での指導を通じて形成されてきた「人づくりの流儀」とは、名将から受け継がれた哲学を中心としています。

特に、平岡先生が提唱する「指導者としての五者」は、数多くの人々に影響を与えています。この五者とは、以下のようなものです。

教育者であること：子供たちにとっての役割モデルとして、尊敬される存在であること。
学者であること：常に新しい知識を求め、学び続けること。
易者であること：先を見越した視点を持ち、子供たちの未来への関与を重視すること。
医者であること：子供たちの細かな動きや状態から、その個性やコンディションを理解すること。
役者であること：これらの要素を組み合わせて、子供たちを魅了し、夢中にさせる能力。

平岡先生は、子供たちを魅了するための言葉の力をとても大切にしています。

その背景には、彼自身が帝京高校で学んだ古沼先生の影響があり、古沼先生は言葉の使い方に優れていたと述べています。

彼は、指導者としての大きなテーマは「人を惹きつけ、夢中にさせる」ことだと強調します。

また、平岡先生は昭和の時代の名将たちの共通点として、選手を夢中にさせる教育的な指導の素晴らしさを挙げています。

特に、「義理」「人情」「夢」「ロマン」という4つの要素を、昭和の名将たちから学び取り、自らの指導哲学に取り入れています。

さらに、彼は日本のサッカー文化に対しても言及しており、試合中に「頑張れ」「集中しろ」という指示を選手に与える文化を問題視しています。

彼は、そのような指示は海外では見られないと指摘し、サッカーの本質を理解するための文化の力が日本にはまだ足りていないと感じています。

笠原彰心理学的分析：
平岡先生の「人づくりの流儀」は、心理学的に見れば、人間の内面を理解し、それに対応する方法を模索するものと言えます。五者の要素は、個人の成長や動機付け、理解という心理学の基本的な要素に基づいています。また、言葉の力や文化の違いに触れることで、コミュニケーションの重要性や文化的背景の影響を深く理解していることが伺えます。これにより、選手たちが最大限のパフォーマンスを発揮できるような環境を整えることができるのです。

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