練習の心理学：アスリートのためのマスタリーガイド

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年11月3日 15:11

来週中にスポーツのパフォーマンスを212％上げたいですか？この簡単で、あまり知られていないテクニックを使って、最も難しいプレイでもミスをなくしましょう。

タイトルに惹かれましたか？そうですよね？ええ、私もリンクをクリックしたでしょう。ちょっとした策略を使ってしまって申し訳ありません！

私が言いたいのは、私たちは即効性と短期的な成果に固執する文化の中で生きているということです。インターネットを少し見て回るだけで、そこら中にその兆候が見られます。

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このような「今すぐ手に入れる」文化が私たちの社会に浸透していることに、あなたも気づいていることでしょう。私は効率性と生産性の最大化の大賛成者ですが、すぐに結果を出したい、一晩で成功したいという欲求が、役に立たない2つの誤解を生んでいることも心配しています。

２つの誤解

一夜にして成功を収めたという体験談や、一見苦労せずに達成したかのような体験談が後を絶たないため、もしそのような結果が得られていないなら、何か間違ったことをしているか、その戦略自体がうまくいっていないかのどちらかだと思い込んでしまうことです。だから私たちは、次の奇跡的なトレーニング方法／サプリメント／エクササイズ・ツール／自宅でお金を稼ぐ戦略を探し続けます。結局のところ、このように次から次へと手を変え品を変えしていても、私たちが目指す場所に近づくことはできません。
「一夜にして」成功するためには、血と汗と涙の何年分の努力が必要なのかを忘れてしまうか、気づかないことです。そして、障害にぶつかっても、前進し続ける必要があると結論づける代わりに、自分自身を疑い始め、自分には目標を達成する能力や才能がないのかもしれないという結論に達してしまいます。悲しいことに、このようなことが原因で、ゴールが見えていたかもしれないのに、諦めてしまう人が多いのです。

現実は、真の熟練と卓越に近道はないということです。

練習場で喜びを見つける

子供の頃から、私は練習が嫌いでした。挫折し、満足できず、無意味に思えることもありました。今にして思えば、これは（a）効果的かつ効率的な練習方法を知らなかったからであり、（b）卓越性の追求とはどのようなものなのかについて誤解していたからです。

当時、努力と結果の関係をグラフにしろと言われたら、私は斜め右上がりの直線を描いただろう。何かに打ち込めば打ち込むほど、進歩が期待できました。理にかなっているでしょう？もちろん、そんなことはめったになかったし、埒が明かないとその日はやめてしまうこともよくありました。

マスタリーの真の道を理解し始めたとき、すべてが変わりました。ジョージ・レナードはその著書『マスタリー』の中で、マスタリーは規則的で予測可能な方法では起こらないと説明しています。むしろ、成長は突然、しばしば予測不可能な急成長で起こります。私たちの多くは、このような停滞期を、何か間違ったことをしている、あるいは能力の限界に達していると解釈します。

しかし、これは間違っています。何も起こっていないように見えるからといって、何も起こっていないということにはなりません。古典的なジャック・イン・ザ・ボックスのおもちゃを覚えていますか？私の子供たちは、ピエロが突然箱から飛び出してくるとパニックになったものです。これがとても気味が悪いのは（子供によっては愉快なのですが）、箱の中に仕掛けがあり、クランクを回すたびに、ピエロを出現させるキャッチが外れる一歩手前まで進んでいることを、子供たちがまだ認識していないからです。それと同じように、意図的かつ思慮深く練習している限り、変化は起こり、学習は行われているのです。

期待されるパフォーマンスと実際のパフォーマンス

自動モードと手動モード

熟練した動きをコントロールする2つのシステム、自動システムと手動システムがあると想像してください。よく学習され、自動システムにうまくプログラムされた技能があれば、それを実行するために意識的に考える必要はあまりありません。例えば、私があなたにどんな古いプレイも実行するように頼んだとしましょう。

しかし、スキルの複雑さや難易度が上がると（例えば、特定の種類のテクニック、戦略、フォームでプレイしなければならない）、私たちは一時的に自動モードから手動モードに移行し、新しいスキルを実行する方法の詳細をすべて考えなければならなくなります。一旦、その方法を理解し、その詳細を自動システムにうまくプログラムすることができれば、手動モードのスイッチを切り、あまり意識することなく、自動システムがこの新しく習得したスキルを実行してくれることに頼ることができます。

停滞期を受け入れる

今度、練習場で上達しているのかいないのかわからず、行き詰まりを感じたり、落胆したりしたら、習得曲線を思い出してください。集中し、正しい方法で練習を続けている限り、次の小さな進歩にたどり着くことができるのです。

実際、プラトーはあなたの友達（あるいは、競争相手を狙う殺し屋）です。どういう意味かって？さて、マスタリー・カーブについて、そして挫折するプラトー体験が実際に何を意味するのかを知ったあなたは、このレンガの壁にぶつかっても、すぐにあきらめることはないでしょう。一方、あまり知識のない同僚やライバルは、このプラトーに到達して挫折し、辞めてしまう可能性が高くなります。有利なのは、あなたです。

笠原彰心理学的分析

即効性を求める文化の中で、長期的なスキル習得の重要性を強調しています。
自動モードと手動モードの概念は、習熟度が高まるにつれて、意識的な努力から無意識の技能へと移行するプロセスを示しています。
停滞期の正しい理解は、選手が挫折せずに継続するための精神的な支えとなります。
スポーツ心理学における練習の質、継続性、そして成長の非線形性に光を当てています。
それは、目標達成に向けた粘り強い取り組みと、自己疑念を乗り越えるための精神的な準備の重要性を教えてくれます。

笠原彰プロフィール：

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
健康運動指導士
メンタルヘルスファーストエイダー
メンタルヘルス運動指導員

アスリート、コーチ、指導者、ビジネスマン、音楽家など、人生をより豊かにしたい全ての方の挑戦をサポートします。

専門的な知識を習得したプロメンタルコーチとメンタルアスリートを養成しています。完全個別指導でプロメンタルコーチとアスリートを養成します。

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