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アルコール依存性最初の壁-否認の病

アルコール依存性の状態から脱却するために、先ず一番最初に乗り越えなければ行けない壁があります。「否認の病」です。

今回は「否認の病」について私の経験を踏まえて整理してみます。

◼️否認の病とは何か

アルコール依存性はよく、否認の病と言われています。

否認の病とは何か。厚生労働相のホームページによると以下のように記載されています。

アルコール依存症は否認の病といわれます。否認とは、自分が依存症になっていると認めないことを言います。
否認は、自分が深刻な状況にあるということから身を守るための心理的な防衛機制の一種と考えられ、依存症の人は誰でも多かれ少なかれ否認があるものです。

要は現実を認めたく無いということです。これが、普通の風邪だったらどうでしょう。38度の熱があり、明らかに倦怠感がある。

その場合、自分は風邪だなと素直に認め、病院に行くなり、会社や学校を休んで寝ると思います。

アルコール依存性の方はこの認めるという行為が中々出来ません。これが否認の病なのです。

◼️否認の病に至るまで

もう一度「否認」という言葉を見てみます。認めないということです。

すなわち、自分では薄々気付いています。自分の異常さに、そしてアルコール依存性では無いかということにです。

私の場合はっきり依存性かもしれないと気付いたのは、毎晩寝酒をした辺りからです。

仕事で精神的に追い込まれてしまった時期があり、睡眠薬を飲んでも全く寝れなくなりました。

禁忌ですが、アルコールと睡眠薬をある日一緒に飲んで寝酒したら寝れるようになりました。今考えれば、ブラックアウトしていただけかもしれません。

しかし、脳内で睡眠薬+アルコールは寝れると染みついてしまい、その内休肝日も作らず毎晩寝酒をしました。寝酒の酒量もビール2缶だったのが、ストロング缶になり、更に度数の高い焼酎になり、、歯止めが聞かなくなりました。

ある土曜日の朝、コンビニでビールを買って飲もうと、現金を払う時にはっきり手が震えていることに気付きました。これが自分がアルコール依存性かもしれないと認識した初めての事です。

◼️否認の病の恐ろしさ

私のこの時の状況を客観的にまとめると

毎晩睡眠薬と一緒に寝酒して、休肝日を作っていない。土日は朝から飲んでいて、遂に手が震えてきた

となります。あなたは他人からこのような相談を受けたらどう思いますか?はっきりと「いや、それアルコール依存性でしょ。もう飲まない方が良いよ」と言うと思います。

しかし、私はそれを認めませんでした。自分が明らかに飲み方がおかしくなっていて、体調も悪くなっているにも関わらずです。

何故か。この時の精神状態を羅列すると、

アルコール依存性と診断されてしまえば、一生お酒が飲めなくなる。それは絶対に嫌だ。
アルコール依存性ってよく分からないけど、公園で昼間にカップの日本酒飲みながら寝ている人のことでしょ。自分はそこまでいっていない
第一アルコール依存性なんてことを周囲に恥ずかしくて誰にも言えない。自分はまだ休肝日も作れる、仕事にも行けている。ただの酒好きなだけ。最近飲み過ぎたから少し控えようかな。

という状態でした。所謂、正常性バイアスが働いてしまって、自分だけはそうじゃないと思い込みたいが挙げ句、言い訳を脳が探しだすのです。自分はアルコール依存性じゃないと。

周囲から見た自分と自分が考える自分がどんどん乖離していく、これが否認の病の恐ろしさです。

◼️否認の病とは自分にも他人にも嘘をつくこと

否認するということは、嘘をつくということです。分かっているんです、私の飲み方がおかしいことも、アルコール依存性かもしれないということも。

でも、それを認めてしまったらお酒は飲めなくなる、自分の人生は崩壊してしまうかもしれない、という妙な不安感から嘘をつかざるを得なくなります。

だから、隠れてお酒を飲みます。帰る前にさっと飲んでガムを噛んでごまかしたりします。周囲に注意されたら逆ギレします。

自分の嘘を指摘されるのが怖いから、アルコール依存性だとばれてしまうのが怖いからです。

否認の病の状態である以上、アルコール依存性は確実に改善しません。嘘をついて飲んで、更に怖くなって飲んで、また嘘をつく。こうして連続飲酒状態になるのです。

この壁はどう突破すれば良かったのか。は、長くなってきたので、また別の会で投稿します。

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