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うちのヤバイ婆

人の話を途中でぶった斬り、まんまと自分がしたい話に持って行くのが得意なうちの母。

今日もドラマの話をしていて、原作が韓国ドラマの梨泰院クラス、日本では六本木クラスって名前で始まるんよ、と話し始めた私。
母が興味津々な様子で、どんなんどんなん?って聞いてくるから、

「復讐劇で、香川照之が悪役でこれは楽しみで、竹内涼真が主人公で…」
と説明をし始めた矢先


そうそう!!!!
ドラマと言えば、この間、僕のヤバイ妻、最終回見ておもしろかったわよ~。

母のぶった斬りが始まった。




おっと。
今、あんたが私に質問してきたから、ドラマ「六本木クラス」の話をしてんだけども?
ヤバ妻の感想なんて聞いてないんだけども?
それにしてもヤバ妻、久しぶりだな、再放送でもしてたんだなと思いながら、私は半ばうんざりし、自分の話をするのを諦めた。

母と喋るといつも私は自分が言いたいこと、言い出したこと、最後まで喋ることはできなくて、不完全燃焼になる。
子供の頃からずっとこれだ。
私が喋ったことを母は母独自の解釈で言葉変換してかっさらっていき、母の言いたいことだけで完結してしまう。
だからあまり母と話をしたくないのだが、そうも言ってられない。
あと何年生きるのかは神のみぞ知ることだろうが、母が死んでしまった後でもっと話をしておけばと後悔はしたくないしな。
それに、長年これに付き合ってるし、諦めてる。
ええねん。
もうこの母親の悪癖、これ、治らへんから(笑)



そして、今の私にとってはどうでもいいと思っている、母から語られるヤバ妻の感想をひたすら聞くことに徹する。



母の感想に相槌を打ちながら、間の手を入れる私。

うん、あのアホな旦那役は伊藤英明だったよな、はまり役よな。

そうそう、刑事役は佐藤隆太だったよな。

ご近所役のキムラ緑子さんもいい味出してたよねえ。

若い恋人役は高橋一生でねえ、怖かったよなぁ。

やっぱり、奥さん役の木村佳乃、演技凄いよなぁ。



随分と、話し込んだところで

「へええ、あの女優さん木村佳乃だったんやなぁ。」

と、母が言う。


そうやで、あのドラマ、結構前のやつだろ?
木村佳乃の狂乱シーンとかすっきやわ~。



「そうか、あの人、韓国のドラマに出てたってことか。」






木村佳乃が韓国のドラマに?って何言ってんだろうか、このボケ婆は。

話が噛み合わない。











母が言っていたのはこのドラマだった(笑)
ついこの間までやってたらしい。
佳乃じゃないわ|ω・)


私が言っていたのはこのドラマ。2016年放送。


つい何か月か前にネットフリックスで日本の「僕のヤバイ妻」再放送を見たばかりだったから、てっきり木村佳乃の方だと思った(笑)






私は母との会話の中で、随分と日本人の俳優名を出したぞ。
なのに、母は何も違和感を感じず、躊躇せず感想を語りまくっていたけど、結局、私の話してることなんて聞いちゃいないってことがよくわかったわw

ひたすら自分が言いたいことを、言いたいだけ思う存分、喋るだけなのだ。
相手の間の手もろくに聞いてない。

主演女優が木村佳乃じゃないってところで、やっと違和感を感じたのだな。


会話泥棒。



こんな調子だから、母と喋ると疲れるん。
うちのやばいばあ。