世界史の学び直しに Obsidian を使用してマインドマップを作ってみた
最近、世界史を学び直したいと思い、効果的な学習法を模索していました。
高校生の頃、暗記が必要な科目では「マインドマップ」を使用する学習方法が、私にとって最も効果が高くなることに気づきました。
そのため、今回の学び直しにおいても、学んだ内容をまとめるのにマインドマップを使用したいと思っていました。
また、単にマインドマップを作るだけではなく、マインドマップから詳細なメモや資料、他のマインドマップにリンクを張ってすぐに参照できることが必要でした。
これらの目的のために、いくつかのアプリを調べて比較したところ、メモ用アプリの「Obsidian」が最適なのではないかと思いました。
箇条書きでまとめると以下の通りです。
目的
世界史の効果的な学び直し手段
自分に適した「マインドマップ」を用いた記憶に残る学習法必要なこと
1つのマインドマップから資料や他のマインドマップへリンクを張ってすぐに参照できるようにする使用するツール
メモ用アプリ「Obsidian」
上記の通りに本記事は、世界史の学習の際に「Obsidian」というメモ用アプリを使用して、「マインドマップ」を作ってみた感想について書いています。
やり方だけ参考にしたいという方は、「世界史の学習での使用例」以降を読んでいただければ大丈夫だと思います。
マインドマップとは「連想ゲームで枝を伸ばすノート」
マインドマップの概要と効果
マインドマップについては、色々と定義や歴史があるみたいなんですがこの記事では「キーワードを連想してつないでいくノート」という扱いをします。
例えば「果物」についてのマインドマップなら、まず中央に果物を(ノードとして)置き、その周辺にキーワード「りんご、バナナ、ぶどう、…」を配置します。
そして、各々のキーワードに対して、思いつく事柄を枝で繋いでいきます。
例えば、「りんご」なら「赤い、丸い、ニュートン、…」といった感じのワードを周辺に配置して線で結びます。
要は各キーワードを見出しにして、それに対して思いつくことを箇条書きして、それらの間の関係を線で繋いだだけなんですが、比較的記憶に残りやすい学習方法だとされています。
(根拠や要因についての研究はありそうですが今回は…)
あと、こういうのってAIは得意そうだよなと思って調べたら、やはり文章からマインドマップを自動生成するアプリが作られているようです。
マインドマップの作り方
「ドラゴン桜」で紹介されているメモリーツリー(=マインドマップ)の作り方が参考になると思います。
個人的な所感
私が初めてマインドマップに出会ったのは、高校生の頃に読んだ「ドラゴン桜」でした。
塾に行っていなかった私にとって、ドラゴン桜は学習法についての貴重な情報源でした。
作中ですごい暗記法だと紹介されていたので、「なんてすげー情報なんだ!受験の必勝法だ!」と思って化学や歴史の暗記用にノートを作ったところ、相性が良かったのか以前よりも憶えられるようになっていました。
(一例を具体的に言うと、有機化学や無機化学の問題が大抵のテストで正答率9割以上で安定するぐらいです。)
一方で、「ごちゃごちゃしていて暗記には適さない」、「表や文章よりも書ける情報の量が少ない」といった意見もあると思います。
しかし、私は空間的に何となくどこにあったかをぼんやりと憶えられ、また余白を自然と残しておけるこのやり方が気に入っています。
以前(下記の記事)に書きましたが、私は「(時間的・空間的に)一方向かつ一様に並べるだけの収納」がとても苦手なので、私は調べた情報などを整理するために、マインドマップを目次として使用することも度々ありました。
私がマインドマップに欲しかったもの
ツリーの人物名や単語から、それとは別に作った個別の詳細な内容のページにリンクを張って、いつでもすぐに参照できるようにしたいと思っていました。
また、次の図みたいな感じで、メインのツリーからより詳細な内容のツリーへリンクを張って、階層的なマインドマップを作成することができればよりいいです。
そのようなことを思いながら色々なメモアプリを調べて見つけたのが次の「Obsidian」です。
メモ用アプリ Obsidian
Obsidian について
割と最近リリースされた、ローカル環境で使用可能なメモ&発想用のかなり自由で色々できるアプリです。
(なんというか、一言で言うとどうしてもありきたりな表現になってしまいますね…)
長所は、Markdown形式というよく使われているファイル形式なので、保存や取り扱いがしやすいことでしょうか。
(独自のファイル形式やクラウドサービスだと、サービス終了した時にデータにアクセスできなくなってしまいますしね…)
他のサービスを使用してきた私が今回Obsidianを選んだ理由
はじめは以前から使っていた下記のアプリ等で世界史の学習記録を付ける予定でした。
しかし、それぞれ以下の理由で各方法での記録が難しいと感じていました。
Excel
整理がしづらく、関係がつかみづらい。
フォーマットによる制約が学習時の頭の使い方と合わない。Scrapbox
ずっと主に使用しているアプリ。リンクやタグ機能など、Obsidian と共通する機能も多く、基本的にこれで事足りる。
今回はマインドマップを作りたかったので使用せず。(ちゃんと調べられてないだけで方法はあるかもしれないです。)HackMD
Scrapbox 以前に使用していたアプリ。Scrapbox よりもやや固い印象。紙のノートや GoodNotes などのメモアプリ
学習といえば結局は手で書くのが一番自由度が高くてやりやすい。
ただ、マインドマップを途中ですぐに作り直せない点と、マインドマップから自分の書いた別の資料やメモにすぐ飛べない点が不便。マインドマップ作成用のアプリ
マインドマップを作ることには当然適しているが、詳細なメモとそこへのリンクを作れない。
外部サイトへのリンクを張れるアプリは多い(Xmindなど)が、自分のノートにリンクを作るという目的とは合わない。
Scrapboxの各メモへリンクを張るというのも考えたが、できることなら1つのアプリで完結させたい。
上記の理由から、私は「操作の自由度が高いこと」と「マインドマップをある程度編集できること」と「マインドマップから自分のメモへのリンクが作れること」を満たすアプリを必要としていました。
現状では、 Obsidian はこれら全ての条件をある程度満たしているように思います。
ただ、マインドマップの編集機能に関しては、他のマインドマップ専用のアプリの方が充実しています。
これに関しては Obsidian というサービスの主な目的とは違うので当然ですし、私は公式や有志の方が作っているプラグインの拡張機能をありがたく使わせていただいているだけの身なので、何も言えないです。
ありがとうございます。
世界史の学習での使用例
今回私が読んだ本
こちらの本を読んだ時の記録です。
今回作ったマインドマップは、この本の第II~III部が対象です。
こちらの書籍は以下の点で学び直しのために使いやすいと感じました。
4つの時代区分の要点に絞ってシンプルに話を進めている
文章が読みやすく読者が興味を持てるように書かれている(時々質問を投げかけてくれる)
単なる事実の羅列ではなく構造を掴むことを目的としている
考え方や視点が参考になるので自分の今後の学びに応用できる
また、私は「伏線回収」が大好きなので、次の「はじめに」の文章を見て購入を決めました。
詳しくは筆者の方の note などをご覧ください。
なお、今回こちらの書籍の第II~III部を先に読んだ理由は、それが筆者の方のおすすめの読み方だったためです。
実際、この読み方のおかげである程度は全体の構造を掴むことができたと思うので、引き続き第I部の各事柄や他の世界史の文献などを読んで、自分の中で整理しつつ学んでいこうと思います。
マインドマップの作成例
さて、実際に私がこちらの本の第II~III部(p. 117~292)を読みながら作成したマインドマップは、次図のようなものです。
・読むのにかかった時間(=作成時間):1日あたり3時間 × 5日=15時間
・対象のページ:第II~III部(p. 117~292)
本当はあまり枝を長く伸ばさない方がいいのですが、初めて読んだ本だというのもあって、いきなり満足いくマインドマップを作るのは難しかったです。(マインドマップの完成度を高めること自体は私の目的ではないですが、枝を長くしすぎるとごちゃごちゃして却って把握できなくなります。)
ただ、私が使用したプラグインの場合、枝を途中で折りたたんで隠すことができるので、憶えたことや比較的些末な内容は隠して、新たな内容を追加していくことも容易です。
個人的な学習効果についての感想です。
このやり方で一度本を読んだ後、再度内容を整理するために自分の言葉で文章にまとめたり、人に喋ったりしたのですが、各事柄のつながりを連想して思い出すことができました。
やはり、このやり方は私にとって、文献を読みながら文章の構造を理解したり、効率的に記憶に残すことに適した方法だと改めて感じました。
2つのプラグイン「Canvas」と「Obsidian Markmind」を使ってみた感想
比較すると以下のような感じです。
どちらを使ってもいいと思いますが、私は Obsidian Markmind の方が整理される感じがあって相性が良かったです。
Canvas の個人的印象
操作は比較的簡単だが、できることはあまり多くない
(通常のファイル作成と基本的に同じコマンドを使うので、たとえば文字を大きくするには見出し `#` を使用する)ノード(カード)を毎回作ってつなげていくイメージ(均一的?)
ノードの位置調整や矢印の長さの変更がしやすい
カードをダブルクリックすると文字の長さに合わせて幅が自動で調節される
画面内の移動はホイールボタンでドラッグして行う
コアプラグインなのでインストールする必要はなく、有効化するだけ
Obsidian Markmind の個人的印象
できることは多いが、普段のファイル作成とは異なる独自の操作が必要
(文字サイズや線の種類の指定、矢印の曲げ変形、カラーの種類、フキダシなど)各ノードの下にツリーを伸ばしていくイメージ(階層的?)
伸ばしたツリーの枝を折りたたんで隠すことができる(枝についてる丸マークを押す)
ノードの位置調整や矢印の長さや形状の変更があまりできない、融通がきかない
フォントが限定されている?漢字のフォントがやや崩れている
画面内の移動はドラッグかホイールボタンをクリックしてスクロールして行う
コミュニティプラグインなのでインストールする必要がある
まとめ
以上が、私が今回やってみたことの感想です。
歴史などの学習をする際にマインドマップを作成する方は、こういったメモアプリを利用してみるのもありではないでしょうか。
何かのご参考になれば幸いです。
(おまけ)本記事で使用した Obsidian の初期設定とコマンド
よく使うコマンド
マインドマップを作るには基本的に以下のコマンドで事足ります。
Markdown記法とかで検索すれば色々出てくるので、詳しく知りたい場合はそちらをどうぞ。
` [[ファイル名1]] ` で自分の作成したファイルとリンクできる。
指定したページが存在しない場合は、括弧内のテキストの名前で「ファイル名1」というファイルが作られる。
更に、例えばリンク先のファイルの名前を「ファイル名2」に書き換えると、リンク先を指定する括弧内のテキストも「[[ファイル名2]]」に自動的に書きかわる。作成したリンクの文字列に` Ctrl ` を押しながらマウスのポインターを重ねると、リンク先のページが小さいウィンドウでポップアップ表示される。クリックすれば当然リンク先のファイルを開く。
(人物名のリンクから顔写真を表示するなどの使い方もできる。)` - ` の後に半角スペースで箇条書き。
` # ` で大見出し。` ## `、` ### ` など数を増やすと一段ずつ小さい見出しになる。
必要なプラグイン
Obsidian Markmind(または Canvas)
マインドマップの作成に使用。
あると便利なプラグイン
Simple Embed
Youtube動画などをサムネありで埋め込むのに使用。Auto Card Link
サイトのリンクをカード形式でするのに使用。Another Quick Switcher
ファイルやタグを検索するのに使用。
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