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めにはさやかに見えねども

秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

古今集にある歌。
私の名前の由来になった歌。
大好きな歌です。

昔、高校で少し仕事をしていたときに、この歌を教えることになって、ほかの先生に「こんなの現代人に感覚が分かるはずがない」と言われたことがあって、すごく悲しくなりました。

秋が来たとも思えないほどの日差しのなかで、はっと昨日までとは違う風が吹いてくる。

そういうタイミングって、絶対にあると思うのです。

それを、当時の人は「風の音」と表現したけれど、たぶんそれは音だけではなくて、空気の流れや感覚や、陽ざしの色や、すべてを合わせた、「物質として見えない世界だけれど確かに感じる部分」を指した言葉だったんだろうなぁと思います。

世の中では見えない世界がブームになってますけれど、日本の人は古くから、この「視えない世界」を大切にし続けた人々でした。

だからこそ、私は日本が好きだなぁって感じるのです。

めにはさやかに。

はっきりと見えないかもしれないけれど、確かにそこにあるもの。
それを大切にすると、きっと見えない世界も楽しくなってきます。
そして何より、見える世界が何倍も深みを増して楽しめると思うのです。

見えない世界と見える世界。
その両方を味わい尽くす。
なんて贅沢なことでしょう。

見えない世界の代表の神さまのお話や、日本の古いもののお話や、視えない世界のお話などを、ちらほらと書いていけたらと思っています。

どうぞよしなに。
よろしくお願いいたします。


さやか


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