アジアを嫌いにならないで

私が寮で夜ご飯を作っていたとき。

スペイン人の女の子も料理の準備をしようとキッチンに入ってきて、

「聞いて!私この半年のスウェーデン留学が終わったら今度はアジアにも半年行きたくて、ソウル大学、台湾の大学、上海の大学にさっき申し込んだの!」

って私に言った。(もうここにきて1ヶ月経つのに、日本人じゃなくて中国人だと勘違いされていたことは伏せておく)


その時ふと思ったのは、この子は果たしてアジアをどう感じるんだろうか、ってことでした。



アジアや特に日本に興味を持つヨーロッパ人って、大抵ポップカルチャーや、少なくともアニメは好きな人が多い。


でもその子の場合は、スペインで通っている大学で仲良い友達が中華系で、それで初めてアジアに興味を持ったらしい。


だから、いわゆる「ざ・ヨーロッパ人」って子なのね。

おそらくどっぷりアジアについて知るのは留学が初めてで、アジアに関する本格的な興味の原体験もその留学で得られるんだろうな、っていう感じで。



例えばその子が中国の大学に行くことになって、中国語も話せず、英語で話しかけても中国語で返されるとか。
例えば、文脈を読むコミュニケーションがわからなくて、恥ずかしい思いをするとか。


どちらも私が経験したことだけど、アジア人、日本人だから理解、許容できた部分はあって。

まじで誰目線?って感じだけど、そんな場面に出会った時に、その子はどう行動しどう感じるんだろうか、それでもアジアのことを好きだって思ってもらえるかな、って、純粋に気になった。



だってアジアにはヨーロッパのように綺麗な街並みばかりが広がっているわけじゃないし。
だってアジアでは誰もが英語を喋れるわけじゃないし。
だってアジアではみんな直球で思いをぶつけて会話するわけじゃないし。
だってアジアにはヨーロッパみたいにクールなナイトライフはないし。


私はアジアが大好きだけど、それは生まれた場所だからなのかもしれない。



アジア、ヨーロッパ、って一概には言えないけれど、それでも本当に大きな違いはあって。この二つを対比したからこそ、私の中に見えてきたものもあった。



だから、
「アジア好き!って思うかはわからないけど、必ずや、世界に対する見方、当たり前が変わると思うよ。それが、ヨーロッパを知った時、私にも起こったことだから。」

って言っておいた。


その子は、
「そうだよね。本当にアジアについて知りたい。コミュニケーション方法が違うっていうのは大変かもしれないけど、経験してみたい。ナイトライフが充実してないってのは悲しいけど、私は一生生きるわけだし。少しの間我慢するわ。」
って言ってた。


東アジアに興味を持ってくれるヨーロッパの子がいることがいることはもちろんのこと、そう語るその子の目がキラキラしてたのが嬉しかった。

そして、それが続いてくれるといいなって思った。