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もしも蝶が舞ったなら

ああ!もし今10億円もっていたら!と本気で嘆くことはそうそうないと思いますが、もっと小さな "もしも" に一喜一憂することは、生きていると多くあるように思います。

そんな "もしも" に関しての雑談。もしも、お暇でしたらお付き合いを。


バタフライ・エフェクト

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塵も積もれば山となり、冬の山では蹴り出した雪玉が雪崩になります。それらと同じように、北京の蝶の羽ばたきは、ニューヨークで竜巻を起こすのか?なんてことを指して  "バタフライ・エフェクト" と呼ばれています。

これは何も、竜巻の原因は蝶だ!なんてことを言っているのではなく、気象予測の分野のお話で、ほんの些細な空気の動きでも、遠方の気象に影響を与えてしまうのであれば、気象の予測を行うなんて無理じゃないか?ということを、ちょっと小洒落た言い回しをしているわけですね。

それは "初期値鋭敏性" とか "長期予測不能性" という性質を表しているのだそうですが、平たくいうと、ごくごく小さな事象の違いが、やがて大きな結果の違いを生むのであれば、未来を予想することなんてできない、というようなことでしょうか。

創作の世界だと "初期値鋭敏性" の方をよく見かける気がします。主人公達のほんの些細な行動や、ごく小さな集団のイザコザが、世界の行く末を決める、的なお話。近年セカイ系とか呼ばれているものもそうですし、ヒーローものとかにも、そんな物語が多い気がします。

"長期予測不能性" の方は身近なところだと、紙飛行機とかそうでしょうか。人と同じ折り紙で同じように折ったはずなのに、僕の飛行機はよく、あらぬところへ飛んでいったものです。

物事があらぬ方向へというと、もっと有名なやつがありました。

桶屋はいかにして儲かるのか

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"風が吹けば桶屋が儲かる" なんて言葉があります。それが改めてどういうことかといえば

・風が吹いて土埃が舞う
・土埃は人々の目を傷つけ、世の中に盲人が増える
・当時の盲人の主な職業である、三味線弾きが増える
・三味線の需要が増え、材料であった猫の皮の需要が増える
・猫が乱獲され、ネズミが町に蔓延る
・ネズミは物をしまっておくための木製の箱などをかじってしまう
・人々は新しい箱を買い求め、結果、桶屋(箱屋)が儲かる

とのこと。古のピタゴラスイッチですね。

ネズミがかじるのは家屋の大黒柱で、飛ぶように売れる桶とはじつは......という俗説もありますが、元は桶屋ではなく箱屋だったみたいですので、こちらは派生したブラックジョークの様子。

ではどんな流れでこんなことが語られたかといえば、お金に困った男が "今日は随分と風が強いから、ここで箱屋を始めたならきっと儲かるに違いないのに、箱屋を始めるにも資金が必要でどうにもならん" とぼやいているというもの。とらぬ狸の皮算用とはこのことですね。トンデモ理論にも程がある。

トンデモ理論といえば、桶屋でも狸でもなく、猿に関してのこんな話もあります。

猿に十分な時間を

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サイコロを 5 回振って全て1が出る。これはなかなか起こらないことですが、何度も挑戦すればいつかは起こるだろうな、というのも想像できます。

その延長上に "無限の猿の定理" という話があり、それは "タイプライターの前に座らせた猿は、いつかはシェイクスピアのハムレットを書き上げるだろう" というものです。デタラメに文字を打ち込んでも、特定の文章がいつかは出来上がる、ということですね。

確かに文章とは、人間が文字の並びに意味を持たせているだけとも言えます。サイコロを 5 回振って 1, 4, 6, 4, 2 と並んだらそれがハムレット、だとしたら、それはサイコロを振っているうちに起こりそうですし、そう考えるとタイプライターの前の猿も、いつかはハムレットを書き上げるのでしょう。

しかし、いくら理論上可能であるとはいえ、 100 ページちょっとのハムレット全文を書くとなると、途方もなく膨大な時間がかかり、それは宇宙の寿命を遥かに超えてしまうのだとか。ですのでこの話は、無限の数の猿に無限の時間を与えてやっとそうなるかな、という程度のもの。だから "無限の" 猿なのですね。

ここまでくると、理論上は正しいことの例というより "俺も本気出せば" の仲間のようにすら思えてきます。

ちなみに、猿にタイプライターを叩かせ、文芸作品を作る実験が実際に行われたらしいのですが、猿は "S" ばっかり叩いたり、そもそもタイプライターを人間が思ったようには使おうとしなかったようです。

人間ごときの考えに従うつもりはない。これが猿の本気だ。

おわりに

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自分がもう一人いればー!もっと時間があればー!と、無限の猿を羨んでも、我々は残念ながら有限の人類。限られた持ち物で歩ける道を、ただただ歩いていくほかありません。

ひとつ、またひとつ、今日を積み上げていくだけ!
いざ進めよ、茨の道を!



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