マガジンのカバー画像

どついたるねん。

100
きっと仕事のためにはならないでしょうが、暇つぶしにはなるかと思います。そんな、エッセイです。(2019/10/1〜2021/5/23)
運営しているクリエイター

#恋愛

同じであることばかりを志向することについて

恋愛において――恋愛に限らず人間関係というのは常にそういうものなのだが――同じであることを最大価値として志向することは破滅への道のりである。 人は誰しも、ずっと同じままではありえない。 だから、同じだったものも、いずれ同じではなくなってしまう。 また同じことを志向すればこそ、違いもまた目につくようになる。 そのことを、私も頭では理解しているつもりである。 なのに私は、いつもその人と自分の間にある類似性を確認しようとする。 読書の趣味とか。 音楽の趣味とか。 両

好みの異性のタイプを答えよ

「芸能人だと誰が好き?」 数ヶ月前、会社の飲み会で先輩の女性社員からそう訊かれた。 どう答えたものかに迷い、私はただ口ごもってしまった。 恋ならば、誰もがしたことがあるだろう。 ラブソングは100万人のために唄われるのだから。 恋バナが「鉄板」になるのも、どうやらそういう理由らしい。 「芸能人だと誰が好き?」 この質問も、カルチャーの話としての質問ではなかった。 「芸能人で言うと誰がタイプ?」「芸能人だと、誰と付き合いたい?」と同様に、すなわち好きな異性のタイ

彼女が可愛らしい後輩だからって

ある日、会社で私がトイレから自席に戻ろうと廊下を歩いていると、目の前を別部署所属で1年目の後輩が歩いているのが見えた。 正面のドアが開いて、同期の石森が出てきた。後輩は、その開いたドアからオフィスの中に入っていった。 私もそれに続いて中に入ろうとしたところ、石森に呼び止められた。 「なに?」と言うと、彼女は「今の娘めっちゃ可愛くない? 名前なに?」と訊ねてきた。 「知らない」と答えると、彼女は「知っとけよ」と不満げに言った。 後で知ったのだが、先述の後輩は、名を小川

やれないだろう脳内会議

『やれたかも委員会』という漫画がある。 男性が面接会場のような場所を訪れ、あのとき女性とセックスできた(やれた)かもしれないという思い出を語る。それを、男性2人女性1人計3人の委員会メンバーが「やれた」「やれたとは言えない」と判定する。 おおむねそんなフォーマットの漫画だ。 ラノベ主人公という言葉がある。 ヒロインたちから好かれ、しかしその好意に対して極めて鈍感な、ラノベにありがちな主人公を指す言葉だ。 その鈍感さはしばしば揶揄の対象になる。 しかし私は、最近ラノ