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【フリーガイ】あるがままの生の為に君よ抗え!!!

・いやー滅茶苦茶清々しい気持ち。良い映画を観たって正にこういう気分なんだろうなって思っちゃう。小さい頃に金曜ロードショーとかでワクワクしながら映画を観た記憶を想起させるみたいな、それが何のタイトルだったか何てのは別にどうでもいい、ただ幼心をくすぐられる様な懐かしくも童心に帰る何かに再開する映画体験が出来ました。今回内容について深くネタバレは致しませんので、をば。

・本作で取り扱われているテーマは「マトリックス」「13F」「アンドリューNDR114」「ブレードランナー」等々のSF映画の金字塔を彷彿とさせる"現実が現実じゃない事への気付き"や"AIの自我への芽生え"だ。

・その様な命題を現代的なゲームに転換させて描かれたのがこの【フリーガイ】なる映画。舞台はフリーシティなるオンラインゲーム、そんな世界でモブとして繰り返しのルーティンを送っていたガイ(ライアン・レイノルズ)、彼は突然不意にあるきっかけにより自我に目覚め恋に落ちる。そこに隠された真実とはこれ如何に…。

・まず大前提として現実世界とゲームの世界でのやり取りが超面白い。ゲームの中に存在するNPCは当たり前みたいに狂った世界で生きている、例えるならGTAの世界のモブだ。辺り周辺ではプレイヤーはやりたい放題で暴れ回り、NPCの主人公達は与えられた役割をただこなすだけのプログラムに過ぎない。そんな中での自我の芽生え、アイデアとして超面白いーーーってなっちゃうよねぇー。そしてゲームの運営会社とゲームのモブであったガイが小競り合いを始めるのでこれまた面白い。そしてただ偶発的に自我を持った訳ではなく、しっかりとした理由が存在していてそれが物語の鍵になっているのが良い。アイデアだけで一発勝負を仕掛けて来る作品ではなく、どうすれば効果的に明るく楽しくハラハラドキドキシリアスもある娯楽映画たり得るのかと十分に練られた作品であるのがひしひしと伝わって来て純粋に良かった。メタ的なジョークキャラを演じさせたら右に出るものが居ないライアン・レイノルズやユニークな悪役演じるタイカ・ワイティティも役柄にピッタリで見てるだけですげぇ面白い。

・ちなみに自分は吹き替え版で鑑賞しました。何故かって?まあ私が吹き替え好きだというのもありますが、なんと言ってもライアン・レイノルズ、彼の声がデッドプール同様に加瀬康之なんですよ!!!この人本当にハマり役です、マジ。マジな話ね?分かる?うん。

・あと改めて感じられたのはFOXもディズニーの傘下になってしまったのだなぁという部分です。それはもう冒頭のファンファーレを観た時からそんな気分でありました。正直な所、ディズニーの何でもかんでも吸収してしまう所は余り良く思っていなく。ディズニーにも好きな作品は沢山あるし、これがオタクの勝手な僻みだとも理解はしているのですが何とも形容し難い気持ちを抱えていました。それでも本作のネタの取り入れようは流石に笑ってしまいました。えぇ、完全に笑わされましたよ。こいつもあいつも今やディズニーの傘下なんだなって、自虐的なんだけどディズニーの一味じゃないと出来ない高度なパロディ。やられたーーーーって感じよ。

・ まあ詰まるところデカルトは言った「我思う故に我あり」と 。ウィトゲンシュタインは言った「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」と。これは現実か?現実じゃないのか?彼はプログラムなのか?結論、そんな事どうだって良いじゃないか、だって今現に彼はこの場所で生きているんだ。そして自由と幸福を追求する権利が彼にもある、当然だろ?
                終

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