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【ハウス・オブ・グッチ】富と名声と欲望に駆られ

・「最後の決闘裁判」という傑作を産み出してから日もまだ浅い御大リドリー・スコット監督最新作「ハウス・オブ・グッチ」を鑑賞して参りました。

・2000年に発売された著書を元に映画化された本作は、事実を捻じ曲げて表現されているとグッチ家がお怒りの作品でもありますが…。筆者はグッチの歴史や事実について詳しくありませんので、その点の整合生がどうという話は避けて単純に映画としての感想を述べようと思います。

・端的に言うと非常に面白い映画でした。物語、役者、映像、演出、どれをとっても一級品でありリドリー・スコットの才が冴え渡る素晴らしい内容となっておりました。

・グッチを巡る富と欲望をドラマチックに描き、物語のトーンがどんどんと暗く落ち込んでいく様子が滅茶苦茶面白い。レディ・ガガやアダム・ドライバー、メインを張る役者人の演技がどれもこれも魅力的であり、話の運びもテンポ良く飽きる事なく最後まで見届ける名作だ。

・富と名声に溺れ、欲を求めるあまりに少しずつ糸がボロボロに解けてどうしようもない泥沼状態へと変貌していく。そういう状況のどうしようない雰囲気を最初から最後まで余す事なく堪能出来る素晴らしい作品であった。

・特にグッと来たショットはラストのあるシーンだ。事を終え豪邸を取り戻した…もとい奪ったパトリツィア(レディ・ガガ)が一室の扉を開け放ち、彼女の後ろが映し出される。その時、パトリツィアの表情は伺えないのだが微かに見える頬から彼女が笑っているのだと分かる。この映像が非常に良い。

・大衆受けする作品かと言われると好き嫌い分かれる作品だろうなとも思いますが、ヒューマンドラマが大好きだ!という人は退屈せずに時間を忘れて世界観に没入出来る筈だとも思います。

・未だ尚、映画監督として暴れ続けるリドリー・スコットの今後も是非注目していきたい所である。

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