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娘、金賞取ったってよ

パソコンが普及して、めっきり字を書くことが少なくなってきた。鉛筆なんて、どのくらい手に取ってないだろう。

そんな中、娘が「県学校書写書道展」の硬筆で「金賞」を受賞。しかし、この受賞までの道のりは、簡単ではなかった。(なんか映画みたい)

冬休み初日に、硬筆の白紙用紙を手に帰ってきた。聞くと、県学校書写書道展に提出したい人は、冬休み明けに100円で提出できるらしい。

「金賞取りたいから出す!」と意気込んでいた。

冬休み最終日。書写を書く気配がなくその日を迎えた。

「書かんの?」私は一言催促。なぜかふてくされて書き始める。

(いや、自分で書くって言ったんやないんかい‥)

と思いながら見守っていたけど、雲行きが怪しい。練習用の紙を、書いては消し、書いては消し。ついに泣き始めた。泣きながら書く姿を見て、娘が幼稚園の頃を思い出した。

幼稚園年中の頃、なぜか「絵を描くこと」を極端に嫌がる時期があった。カリキュラムの中に絵画の時間があったのだけど、絵を描く時間と分かった途端に、泣き出して進まなかったらしい。

担任から相談され、家でも絵を描いてみたり試行錯誤したけど改善されなかったのだが、年長になったら自然に泣かずに絵を描けるようになっていた。

年中時に泣きながら書いた「パイナップルの絵」。その年のジュニアデザイン展で「佳作」を受賞。

そんなことを思い出しながら、娘を見ていた。

半ば投げやりに泣きながら書いた書写。

「もうこれでいい」そう言うので、私もあまり確認もせず100円持たせて提出した。

冬休みも終わり、提出したことすら忘れかけていた頃。ママ友からのLINEで受賞を知った。出した事すら忘れていたので、新聞の一面が送られてきたとき、何のことだか分からなかった。よく見ると、1年生金賞の欄に娘の名前。驚きと感動。

娘に伝えたけど、「えーそうなんや!」の塩対応。まあ子供ってそんなもん。

翌週に、県立美術館に行き、本当に受賞したことを確認した。

というお話。

娘が賞を取ったときに共通することは

泣きながら書いた

ということ。なぜ泣くのか。真意は娘にしか分からないけど、親の私が思うに

書けると思って自信満々に書いたら、思うように書けなくて悔しい。

だと思う。幼稚園の頃も、自分では絵が上手いと思ってよく書いていた。でもお友達に、もっと上手い子がいて、その子の絵を見るたびに自信を無くしたんだと思う。その頃よく「私、絵が下手だから」と呟いていた。それもいつにまにか克服してたようだけど。佳作を取って、自信になったのかもしれない。

今回の書写も、自分では普段書く字を上手いと思っていた。だから書写展に出したいと思ったけど、いざお手本通りに紙に書いてみたら、全然上手くない。またそこで自信を無くして涙したのだろう。

私は、そういう時は詳しく泣いてる理由を聞かない。泣きながらでも、自分がやると言ったことに責任を持って欲しいから。なんとなく泣いてる理由も分かるから。

悔しさと自信のなさから書き上げた書写。審査基準は明確にあると思うけど、娘のその気持ちが、表れていたのかもしれない。文字に気持ちが乗っていたのか。

書写を習っていない娘が、今回賞を受賞できたのはたまたまかもしれない。来年以降は、やはり習っている子と差はひらくだろうし、また出したいと思うかも分からない。

でも、初めての書写展に「出して金賞を取りたい」と思った気持ちを。挑戦する意欲を。ずっと持ち続けて欲しいと思う。その時もまた、泣きながら書くかもしれないけど。

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