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【読書】【公認心理師】不登校の認知行動療法 セラピストマニュアルを読んで

今日は読み終わった本の感想です。「不登校の認知行動療法 セラピストマニュアル」という本を読み終わりました。
認知行動療法を用いた不登校の子供やその家族に対する支援のマニュアルなので、完全に専門書になります。
保護者の方向けには、「不登校の認知行動療法 保護者向けワークブック」が発売されているので、気になる方はそちらも見ていただけたらいいのかなと思います。

本書の内容は、書いてある通りセラピストへのマニュアル本になります。不登校支援というと、CRAFTが有名ではありますが、このマニュアルは認知行動療法の技法を使って、登校を促していくものになります(CRAFTも認知行動療法の技法を使います)。
どこをゴールにするかは、不登校支援の文脈ではたびたび議論になるところです。本当に学校に登校できるようになることが、最終的なゴールになるのか、別の形のゴールがあるのではないか、どういったゴールがその子供や家族にとって望ましいのか、ゴール設定はよく考える必要があります。

ただ、この本での対象は基本的に学校に登校することを目標にしており、そのためにどのような取り組みをしていけばいいのか、どのようにカウンセリングを進めていけばいいのかを、かなり細かく書いてくれています。
不登校を4つに分類し、その分類ごとのカウンセリングの仕方、つまずきや問題が起こった時の対処方法、家族支援の方法など、セラピストとしてどのようにセッションを進めていくかを1つずつのセッションで詳しく書かれています。

気になる点としては、報酬と同時に罰の提示も行われているところでしょうか。よい行動をしたときには報酬を提示しその行動をさらに増やすような仕組みを作っていますが、してほしくない行動をしたときには罰を提示しその行動を減らすような仕組みを作っています。原理としてはわかるのですが、実際に取り組むとなったときに、罰を用いた行動の減少は思わぬトラブルが起こったり、子供や家族との間でのやりとりがうまくいかなかったり、デメリットの方が大きく感じてしまいます。ですので、実際にこのマニュアルに沿って取り組む際にも、良い行動ができないときにも罰を用いず、報酬がない状態を維持していく方向で考えていったほうがいいのではないかなと思いました。

マニュアルとして基本的な進行で書かれているので、実際のケースの中ではこれらの技法を組み合わせたり、個々に応じた取り組みや対処をする必要はとても多いと思いますが、それでもこれらのパターンの流れを知っておくというのはとても意味があり、じっくりと読んでおきたい、ケースで対応するときには読み返しておきたいと思える本でした。

書籍
Christopher A Kearney, Anne Marie Albano (2007). Therapsit Guide When Children Refuse School : A Cognitive - Behavioral Therapy Approach. Oxford University Press. (佐藤容子, 佐藤寛(監訳)(2014). 不登校の認知行動療法 セラピストマニュアル 岩崎学術出版社)

自分にできることが何かを模索しながら、とりあえずできること、発信できることから始めようと思います。少しでもリアクション頂ければ励みになりますので、よろしくお願いいたします。