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退団との向き合い方と日記みたいなものを

もう季節は一周しましたが、今なお鮮明に記憶に残る一大行事に向き合い駆け抜けた日々の記録を、日をめくるようにしてまとめようと思います。
いちおうお断りを入れておきますが、当然全て主観なので、みえた景色についてはすべて(…という気がした)という言葉が隠れてますので。。。読み進めてみようと思った方はどうぞ寛大な心でお願いします。。

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『夢介千両みやげ』『Sensational!』
2022年3月19日(金)~4月18日(月) 宝塚大劇場
2022年5月7日(土)~6月12日(日) 東京宝塚劇場 ※5月7~10日は公演中止

退団が発表となってから、全てがその日へ駆け足で向かうような感じだった。贔屓の退団は世界の終わりって誰かが言ってたけど。その通りだったと思います。
失うものへの執着なのか、毎日、毎分のように頭の中は贔屓贔屓贔屓贔屓。。仕事に没頭しているときだけ忘れられた。
未知の境地へ追い立てられるようなその心理状況は、多分黄色信号だったように思います。
何もかもをその日をより良い形で迎えるために、残された時間を幸せに過ごすために慌てて整えなければならないのです。
退団後は二度と会えないかもしれない。
でも、贔屓は自由になれるのだ。
全てが終わりに向かう。終わった後に自分になにが残るのか。どんな感情がうまれるのか。

Decision tree を頭の中で描いて、何においても自分の中に後悔だけは残らないよう、自分なりの卒業をすることを最終目標としました。
とにかくすべてが終わってしまう前に、身の回りを綺麗に片付けたいという衝動に駆られました。特段部屋中になにかを飾ったりだとかはしていなかったのですが、思うままに整理整頓を始め懐かしいグッズや写真をファイルや箱にしまい、公演チラシやグラフ・歌劇も大量に棄てました。そうして大劇場公演が始まる頃には最後のカレンダー以外は全て片付けてしまいました。
それらを通してこれまでの自分と向き合い、これからを見据え、そして全てが昇華されていく。本当に尊い時間だったと今振り返っても思います。


【2022年2月1日】
15時過ぎ、退団発表があった。
退団のお知らせの文字とそこにたった一行の見慣れた名前。
昔からのファンも新しいファンも、
近くに住んでるファンも遠くに住んでるファンも、
頻繁に会いに行くファンもなかなか会いに行けないファンも
みんな平等に同じ瞬間に告知される。
こんなところまで本当にご本人らしいなぁ、と思った。
その日帰宅して一番にしたこと。
それはお手紙を書く、ではなく、白い服を買うこと。
自分の性格上、探し回る気力がこの先わかないだろうことも、買いに行く時間がないこともわかっていたので、その晩のうちに、よく着るブランドの新作の真っ白なワンピースをオンラインで一着購入しました。
悲しさと悔しさを鎮めて、とにかく冷静になりたくて、買い物をして…そして予定の定まらない自分のスケジュールと公演スケジュールとを照らし合わせながら、わけがわからなくなりそうなくらいホテルを押さえた。
そうこうして、ようやく手紙を書き始めたもののなかば自分の決意表明みたいにもなってしまった。。
このタイミングがベストだったんだと確信して卒業の日を迎えていただけるようファンとして誠心誠意応援します、としたためた。

公演が始まる前には東西別の白の装い;ワンピース、靴、バッグ、、、自分の身支度を全て揃えた。まるでおばあさんになったみたいに、一人の人を舞台で見つけた日からの一つ一つを懐古して、いただいた想い出を取り出しては慈しむように眺め、そっとひとつずつ大切にしまっていく日々。。
そうしているうちにエンターテイメントとして楽しむだけではなく、その時々に感じていた以上に、自分自身が不安な時、つらい時、必ず霧を晴らしてくれ、元気と勇気を出す力を持たせてくれていたことに気付き、このままではいけないと前を向く気力がわいてきて、またいつもと同じように公演を楽しみにする気持ち、新しい姿に出会える期待感に包まれた日々を過ごすことができました。

この時になって当時より好きになった台詞がある。

「願いは未来だ。理想は思い出と共にある」
ひかりふる路~革命家マクシミリアンロベスピエール~ より

ご贔屓さまによって淋しさを感じ、ご贔屓さまによってまた幸せに包まれ強くなる。
願いと希望を持って瞬く間に駆け抜けた4ヶ月半。

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『夢介千両みやげ』
原作/山手 樹一郎「夢介千両みやげ」
脚本・演出/石田 昌也

ショー・スプレンディッド
『Sensational!』
作・演出/中村 一徳
(※以下本文に記述のある部分のみ抜粋)

第1章 プロローグA Sensational!揺さぶれ心を
音楽:竹内一宏
振付:KAZUMI-BOY
第1~3場 Sensational男A

第3章 Sensational Music洗練 ニューヨーク
音楽:甲斐正人
振付:大野幸人
 アメリカンビート男A

第5章 Sensational Wind!風神
音楽:竹内聡
振付:平澤智
第14場 風神男A

第6章 Sensational Plasma Aurora
音楽:青木朝子
振付:西川卓
第16場A・B オーロラ男

第18場 フィナーレD・E
音楽:青木朝子
振付:御織ゆみ乃
紳士
♪シバの女王

第20場 フィナーレF(紳士・淑女)
音楽:竹内一宏
振付:御織ゆみ乃
紳士(歌手)
♪Dark eyes(黒い瞳)

第21場 フィナーレG(デュエット)
音楽:竹内一宏
振付:御織ゆみ乃

第8章 パレード
音楽:竹内一宏
振付:御織ゆみ乃
パレードの紳士A
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【2022年3月19日 宝塚大劇場初日】
Odysseyフォーラム初日のことを思い出して、宝塚の地についてもまだ初日おめでとうございますと手紙を書いていいかわからずにそわそわしている。
最後のスチール。前乗りしてた妹に買ってもらい、泣く事も容易に想像出来たのでソリオのひとけのない場所で袋から取り出した。大好きな紫色のダブルラインをひいたその化粧顔があまりにも綺麗で、優しい表情をしていて、案の定涙が。「綺麗だね、、」ってまるで遺影を見た時みたいな台詞しか出てこなかった。
『Sensational!』
本当にソロだった。銀橋でひとりスポットを浴びてた。あぁこれが綾さんの書いた歌詞なんだってすごく感慨深くて、もう終わりかな?と思ったところでまた少し歌が続いて…。歌詞をひとつひとつ大切に受け取り心の中にしまった。
自分で書いた詞を歌い、黒燕尾姿でトップスターさんの歌で銀橋に舞い、自分に当ててもらった歌詞をスポットを浴びて歌う。。ひとりのタカラジェンヌで、ひとりの男役で、紛れもなくひとりのスターなんだと心から感じた。まさかこんな素敵なはなむけを用意して貰えているだなんて、ファンとして本当に幸せで、中村先生にも、きっとこれらを許可してくれたのであろう彩風さんにも感謝しかない。
黒燕尾後半銀橋に居並んだ男役さんたちの中、片膝ついた型で目を伏せてるあの数秒間が漆黒のツヤを纏った美しさと儚い輝きとで発光していた。
幕が上がってから降りるまでの全てをみて、何もかも、全て、昇華出来たんだって感じられた。
この瞬間も永遠に忘れないよ、と心に刻んだ。
ショー付き作品での退団で本当に良かった。。


【2022年3月21日】
『夢介―』
最後の桜の花びらは2枚キャッチ🌸1枚目が七五郎さんの後頭部に乗った瞬間に、お滝ともかちゃん(希良々うみ さん)が気付いてニコってしていたのが可愛かった。
♪La Reine de Saba(シバの女王) も ♪Dark eyes(黒い瞳) も ♪SINNO ME MORO(死ぬほど愛して) も凄く良い曲だけど、退団者ファンとして聴くとこの世の終わり感が増す歌詞というか……沢山泣かせてもらえてありがたいのだけど 鬱になりそう。。
「君だけを見つめて」——ずるいんだよ、歌詞も、何もかも


【2022年3月22日】
“応援してるみんなで観る日”でした。あやなちゃん、中詰めのソロでは2階は見れなかったようで。精一杯だったと思う。
Caravanのフリがすごく素敵で似合ってて、最上級のかっこいいを体現してる姿に綾凰華は完成したんだなぁと思った。


【2022年3月24日】
オルゴールver.の黒い瞳をDLした。それを聴いては、螺鈿細工の小さな箱に黒燕尾の綾さんを閉じ込めておきたいという気持ちが湧き上がる。
でも、同時にもっと勝手に自分の為、自分の大切な人の為に生きてほしいとも思う。
ファンって一方的に思いをぶつけて泣いて、笑って、、勝手だ。
あやなちゃんの瞳。黒い瞳そのもの。


【2022年3月25日】
『夢介―』
だんなー!お滝ー!夢さーん!火事だー!
大好きな声が聞こえるだけで幸せだなと感じるお芝居。ほんわかしていいなぁ。
『Sensational』
プロローグで上手に移動してすぐに「パッ」って歌ってた。今楽しいんだな、のってるんだな、と高揚した。まるで客席が見えてるみたいに、笑ったり、きめたり、すごく楽しそうで。
Caravanではゆきのちゃん(妃華ゆきの さん)の右頬を包むように左手を添えて。すごくうっとりしたゆきのちゃんの顔が可愛くて、優しいあやなちゃんの顔が見えてこの表情をお互い引き出してるのだと思うとやっぱりペアダンスっていいなと思った。
黒燕尾は大階段を降りてきてからいつにも増して目が潤んでみえて…。後ろに下がった時、振りの途中で鼻を擦ってて。こらえてる姿にまたこちらは涙でした。
「この瞳濡れたまま君だけを見つめて」——やっぱりずるいよ、この歌詞。


【2022年3月28日】
Caravanではかっこつけてるのに、そらさん(和希そら さん)にキュンされて破顔しちゃうの可愛い。
ソロでの「過ごした日々を忘れはしない」——そう歌う表情が柔らかかった。
黒燕尾では鼻擦ってたけど、こないだと違ってカッコつけててなんだかほっこりして笑っちゃった。かっこいい男役の自分をきちんと焼き付けておいてね、っていう余裕と優しさを纏ったような今日の綾さんでした。


【2022年3月29日】
小田原屋でシケを直してくれるお滝ともかちゃん。いい姉さん女房感が可愛い。最後に花びらキャッチしようとして両手でパンってしてた七五郎さんも可愛い。
トップさんに合わせて変わる綾さんの眉毛。今までで一番細いけど、ピリッとした黒燕尾にピッタリで好き。
「過ごした日々を忘れはしない」って歌って微笑むの、ほんとにね…。
どうか太陽よ沈まないでくださいな。


【2022年4月2日】
『夢介―』
芝居中のふとした仕草に懐かしさでいっぱいになる。
幕がおりるとき、お滝に「花見でもするかー」と言ったあと、ふたりでクスクス笑ってて楽しそうだった。
『Sensational』
Caravanそらさんに内ポケットから出したキュンをプレゼントして破顔するそらさん。
「過ごした日々を忘れはしない 思いを胸に俺は旅立つ」と、じっとまっすぐ瞬きもせず歌っていて。ほんとにこのひと思い出だけ残して消えちゃうのかなぁって思った。
黒燕尾がまた一段とキレがよくなって芯が太くなったなと。本当に素敵な黒燕尾を踊るようになった。
貸切公演、一桁列真ん中だったのだけど目の前2席×2列がぽっかり空いてしまってた。緑のブラウスを着た私は雪組ファンでしかなかった。
プロローグからごちそうさまだった。さきさん(彩風咲奈 さん)、あーささん(朝美絢 さん)、そらさん、あやちゃん(夢白あや ちゃん)…。銀橋の綾さん投げキス指差しもちゃんとごちそうさました。
雪組最高だなって噛み締めながら全体を俯瞰で観ようとつとめたショー。
『♪シバの女王』を歌う咲さんを目の前にしたらほんとにファンなんて愛の奴隷だなと思った。
大階段の上に綾さんの姿が現れると涙がこぼれてとまらなくなってしまって、みんな銀橋へ出てきた時にはもう号泣状態で涙を拭い肩震わせる姿は、どうしようもなく退団者ファンだった。
咲さんも真ん中付近の方々もふわっと微笑んでくれて本当に優しいまなざしで包まれたようだった。
最後に「君だけを見つめて」と歌い微笑む綾さんが一番あったかくて。温かい温かい黒燕尾と温かい温かい拍手に包まれた空間・時間だった。
気のせいかな。パレードでお辞儀してにっこり微笑んでくれる綾さんはいつも以上に天使みたいだった。


【2022年4月9日】
大劇場最後の数日間のための荷造り。3年前にいつか来る日のために…とオーダーして大切に大切に保管していた白に銀刺繍のハンカチーフ。あの楽しかった夏にオーダーしてよかった。手に取って眺めると色んな思い出が、景色が広がった。もっと先でもよかったんだよ、と思いながらそっと白い服たちと一緒に詰めた。今は、心のままに飛び立ってほしいと願っている。


【2022年4月10日】
『夢介―』
お手を拝借後、幕がおりるとき、まっすぐ前をみてるその目が優しく、きらきらとするのを見つめられて幸せで涙が出そうになった。大劇場はあと一週間。今までにこにこ見てきたその場面が、急速に、桜が舞い散る淋しさで心がせめたてられるようになっていた。
大劇場の周りは葉桜の鮮やかな色がまぶしくなってきてる。


【2022年4月14日】
『夢介―』
お芝居、最後の蕎麦屋の騒動のところで、左のシケが口元についてしまったのをすっと取る仕草がかっこ可愛かった。綾さんの「なおった!」で高校生の団体さんたちが笑ってた。綾さんの間が好きだー。
『Sensational』
日ごとに透明感が増している。
Caravanではいつになく踊りながら何度も何度も目を細めて、横長の一帯を眺めてて。楽しそうな綾さん。最後の屈んでの投げキス指差しはこれまたいつになく優しくゆっくり投げてくれてた。
中詰めソロでは「愛するお前」と歌いながらゆっくり横長の一帯を見てた。
黒燕尾は少しふわっと、でも幾分か凛々しくて。最高の男役さん。表情が柔らかくて、優しくて、幸せそうで、、、きらきらしてた。
やっぱりまだ観てたいよ。


【2022年4月16日】
下級生さんを観てるとなんだか「これからが楽しみだな、がんばってほしいな」という気持ちとともに、『あの子』を舞台で見つけたばかりの頃のことを思いだしたりする。「パッ」と言いながら踊る下級生男役さんを見たり、りくくん(瞳月りく さん)のキラキラとした目や少しはにかんだ笑顔、ブカブカのお衣装をみて懐かしさでいっぱいになるんだ。。


【2022年4月17日】
涙ぐんでるところに、綾さんへの大きな拍手で、号泣、って言うのを繰り返した…。
黒燕尾はもう毎回泣いてるし、我慢することもないかなって思って…いつも我慢できてないけど明日も絶対泣いちゃうんだろうな。ちゃんとみて、焼き付けたいのにな。
夜、どうにも落ち着かなくて、宝塚ホテルの周りを散歩。劇場前の八重桜がとても綺麗だった。傾いた幹に大きな牡丹のような桜花が零れ落ちそうなくらいたくさんぶら下がってた。桜の時期に宝塚に来ること、もうないのかなぁ。


【2022年4月18日 宝塚大劇場千秋楽】
雨予報だったけど、晴れた。
晴天が嬉しいのに、今日のはじまりを信じたくない気持ちで。
何もかも真白。自分も白、友人も白、、、大劇場入口横の真白な大きな看板。
お滝ちゃんの手のひらにのった桜の花びらをつかんで微笑んで客席に見せてくれた。
ショープロローグはどの日より楽しそうに生き生きと踊ってた。やっぱり今日も楽しくて「っパッ」って言ってた。
歌いながらプロローグの銀橋歌い継ぎですれ違うところ、縣くんが両肩をがしっと掴んで抱きついてた。ほんとに綾さんのこと大好きだったんだな。
綾さんに継いだときの拍手がすごかったこと、
投げキスがまっすぐ飛んできたこと、
指で回す帽子の回転がとてもはやくなっていたこと、
よくよく覚えてる。
Caravanのキレは顕在で、はおりんに投げキスしてたのは覚えてるけど
そらくんにはオーソドックスな投げキスだったかな、記憶が曖昧。。
中詰めでてきて客席を見つめてる顔が柔らかくて、何を考えているのかなとぼんやりと思った。
とにかく楽しそうに、朝美さんに♡を贈ったり、諏訪君と指を差し合い、またあやちゃんにパッてお顔して、あやちゃんもいつもの笑顔を返してくれてたり。あやちゃんの大きな口を横いっぱいに広げて笑うあの笑顔は本当に唯一無二だなぁと思う。
銀橋入るとき朝美さんとふたりで♡し合って、銀橋でも朝美さんと顔みあわせるとこで膝折してにっこにこの笑顔で顔合わせてて。
ソロが始まってスポットがあたると歌声が聞こえないくらい大きな大きな拍手が綾さんに。
ぶれることなく、きちんと、しっかり、届けてた。
「愛するお前が教えてくれた 変わらぬ絆をこの胸に抱いて」
「過ごした日々を忘れはしない 思いを胸に俺は旅立つ」
「忘れはしない」
最後はゆっくり左腕を突き出して、ぎゅっと握りしめて、優しく微笑んだ。
オーロラはもう輝きがとまらなくて
綺麗でつやつやで、きらきらしてて、捌けていくその後ろにはキラキラの粉が撒かれていくようで。
縣くん(縣千 さん)の歌声で、「んーっパッ」て踊るその姿がどこまでもあやなちゃんだった。
咲さんの歌う歌詞「幻想の夢♪」で胸の前に腕をもって静止する姿、その指先はどこまでも美しくて儚さもあって。
渦をつくって袖にはけていくその身体の薄さに、どこまでも削った美しさ尊さを感じた。
黒燕尾。大階段の上に姿が見えると縣くんと向き合って少し微笑んでた。
そして白い胡蝶蘭が左胸についてた。
いつもより清廉とした顔つきで、とてもとても綺麗だった。
朝美さんと顔を合わせてにこっと笑って、そしてまたスッとした顔で踊る。
素敵な男役さんになった。本当に。
銀橋に入ってきたときのしっかりとした眼差し、顔の角度、添えた指先、
脚の広げ方…全てが美しかった。
咲さんが♪Dark eyesを歌いだすと、優しい表情で踊りだす。
咲さんと背中を合わせたときの表情、向き合った時の笑顔
一人歌いだすときの柔らかい顔。
永遠に閉じ込めておきたいと思ってしまうほどに美しくて儚くて。
歌い終わりの拍手が地鳴りのようで、あやなちゃんのふわっとしたあの笑顔が最後までスポットで輝いて。
輝いてる綾さんがまぶしいくらいだった。愛を捧げるのはこちらだ。
パレ―ドで、にこにこきらきらの笑顔で大階段を降りてきた綾さん
胸には薄緑のバラの花のコサージュ。
まっすぐ正面をみてお辞儀とにこにこ笑顔。
幸せにしてもらった。
大階段から降りてくる咲さんがあやなちゃんの方を見てくれる時にはいつもぱぁっと笑顔になってた。大好きなんだなぁ。

にわさん(奏乃はると 組長)が紹介してくれたその言葉が嬉しかった。
「周りを和ませてくれる笑顔」
「抜群のスタイルとキレキレのダンス」
ご挨拶はしっかりと まっすぐに
「雪組の皆様」「お客様」と感謝して、続けて発した「ファンの皆様」という語気がはつらつとしてて。
端的ですっきりと、でも気持ちはこもっていて、全方位に同じくらいの思いやりをもっているひと。すっきりさっぱりとした本当に良い挨拶だった。
咲さんがご挨拶で綾さんの退団に触れてくれて嬉しかった。
『♪すみれの花咲くころ』でお別れ。きっとこの潔さがご本人が綾凰華として残したい姿なのだと思った。
でも、カーテンコールの幕が上がると、頬に涙の筋があって、泣き虫さんがちゃんと泣けてて正直なんだかほっとしたし嬉しかった。
「あやな二人きりだね」と咲さんがかけてくれるその言葉に「はい♡」ってぱふぱふするあやなちゃん。
咲さんの相手役さんだったかな?というくらい時間も割いてくれて。
黒燕尾にふれてくれた瞬間に、きゅっと眉毛が下がって泣き顔になりながらも、「でも黒燕尾だし曲もかっこいいし、クールに決めたいんですけど、背中を合わせると、感謝や幸せの気持ちが溢れてきて、毎回とんでもなく満面の笑顔で咲さんを見てしまってて、たぶん東京もそうなっちゃうかも」と照れて話すあやなちゃんに「私もです、でもその笑顔をお届けしようね」と言ってくれて。ほんとにありがとう咲さん。
皆を呼んでからも客席をみつめて「綺麗な景色だべぇ。ね、あやな」と咲さんに呼びかけられて、客席を眺めて「きれいな景色だべ」って言って、ちょっと恥ずかしくなっちゃってお花で顔を隠して埋もれるあやなちゃんがほんとに可愛くて。
お花を右手に抱えて、左手だけで「どっせんせーしょなる!」して、にこにこ左手を振って。
いい千穐楽だった。
まだ東京があるから、そう思いながらも去りがたくて
帰れるのにもう一泊した。翌朝も良く晴れた、気持ちのいい空だった。ばいばい、宝塚。


【2022年5月9日】
東京公演初日の幕は然るべき日に上がらなかった。
やる、やらないの発表が遅くて、飛行機も変更不可の便を抑えてたので、どうあっても10日に現地入りしようと決心してた。
午後、公式HPで5/11からの公演実施が発表された。
嬉しくて、一気に感情の蓋が開いて……泣いた
あやなちゃん、本当に良かった。雪組のみんな、公演関係者の方々、みんなほんとうに良かったって。


【2022年5月11日】
最後の初日。日比谷は晴れ。
すごく緊張していて、こんなに緊張したのはファントムの新公振りだったかもしれない。
『夢介—』
七五郎さんの涙で泣いた。
なんだか眉毛も太くなって、声も男らしくなってた。
最後に花びらキャッチして喜ぶ七五郎さん。そのうちにもう1枚降ってきた。
『Sensational』
プロローグ、帽子があらら、となって。
こちらもそれでなんか吹っ切れたというか、楽しく観られた。
上垣先生の指揮と演奏が凄く歌いやすそうで良かった。
眉毛の角度が少し緩やかになっていて、
リップは口角長め、目元は白ラメがきいて、そして地がとてもとても綺麗だった。
特に黒燕尾でその化粧の綺麗さまでもが際立ってた。
いつもそうだったのかもしれないけど、泣かずに見たのが初めてだったもので。。
今日はなんだかとても星組ぽさみたいなものを感じた。爽やか軽やか煌めきとは真逆で、強くてギラっとしたり、自在な重力を感じた。なんか、ちえさん思い出したの。語彙力無いんだけど。シンプルにいうと、強くてかっこよかったです。大劇場千秋楽とこの数日間、それからきっと公演が出来なかった数年の全てと、それを乗り越え思いを抱えた綾さんがとても力強くて。凄く強い光線を放っているようで眩しく感じた。
最後のカーテンコールでスタンディングオベーションの拍手が鳴り止まなくて、ついに堪えきれなくて、ぽろぽろ、ぽろぽろ、次から次へと大粒の涙がこぼれてた。両隣のそらくんとにわさんがそんな綾さんの様子を優しく見守ってくれてて少し照れる綾さん。
最後の感極まった幸せそうな涙や照れる姿も全て美しく輝いてて。今日という日の綾さんの全ての瞬間を、心に大切に持ち続けたい。


【2022年5月12日】
CSの「必見ガイド」で「Memories of 綾凰華」や、過去の出演番組を紹介しているのを見て…いよいよだな、と実感。
公演はとにかく晴れやかで、幸せそうで。本当に幸せに溢れた時間を過ごしているんだな、と胸が熱くなった。
この夜公演は特別だから、銀橋渡りの100期さんたち。上手側から出てきた3人が身体いっぱいに【AYA】と作ってくれてた。はいちゃん(眞ノ宮るい さん)は、3種類でローテしてたイヤーカフをこの回に合わせて綾さんにもらった雪の飾りのものを付けてくれてて、そして、見上げながら「あや~」と言ってくれてた。本当にありがとうございました。
2階席から観る黒燕尾は本当に綺麗だった。群舞ってこういうことだ。
まだ東京3公演目なのに毎回こんなに幸せな気持ちになっていて、このあとどうなっちゃうんだろう?


【2022年5月13日】
『夢介―』
熊さんあすくん(久城あす さん)がハンマーで猿くんはいちゃん殴っちゃうとこ、七五郎さんは右手でサムズアップして左胸に当てていて、熊さんも釣られて同じ動作してた(笑)物語では悪役ポジションだけど、足抜けしても情があるのはほんわかしてていいな。
『Sensational』
プロローグで後ろを向く瞬間、にわさんに突然いたずらっぽく投げキスしてて、にわさんびっくりしてめっちゃ笑ってて、やや暫く引きずったままだたのが可愛かった。
プロローグの一旦上手へ捌けるところでアイコンタクトとってるあやねちゃん(愛羽あやね さん)が、たこみたいに口をとがらせてて可愛かった。
Caravanで一瞬ぐらついたゆきのちゃんに耳元で「大丈夫?」って囁いて、ゆきのちゃん微笑んでた。あやなちゃん役得(笑)
みんなにキラキラ笑顔振りまいてるのに、中詰めのあやちゃんには変顔して笑わせちゃうの、これもまた好きな関係性だな、と。
CS:「Memories of 綾凰華」ファーストラン
コロナ禍退団というのは公演以外にもファンには色んな弊害があって。
かつては目の前にいたはずの、そして、“いつかまた会える日まで”そう思っていた人が、テレビ画面の中の人になっていて…そしてもうすぐこの画面からも消えていくんだなと、そこはかとない切なさみたいなものを感じた。
辛くて耐えられないとかじゃなくて。あぁ、旅立つんだなぁってぼんやりと思った。


【2022年5月17日】
『夢介―』
夢さんから50両巻き上げて下がるセリの中、お滝ともかちゃんに50両じゃなくて煙草入れを手に置かれて、ニッコニコでのったくせに、即真顔に切り替えて乗り突っ込みする七五郎さんの一部始終が可愛かった。
花道から登場して改心したことをお滝さんに弄られた時は、ためて、からの「…はいっ」がとても好きだった。
幕がおりるとき、ともかちゃんに「ありがとっ」という笑顔と、それを言われてはにかむともかちゃんが可愛かった。
『Sensational』
ショーではゆきのちゃんに「らぶゆー」、はおりん(羽織夕夏 さん)に「ばーい」って言ってた。組んだ相手にかける言葉と表情がいつも優しくて、そして楽しそうでみていて心があったかくなる。
幕が下りる時「ばいばい」って笑顔で手をぶんぶん振ってくれるあやなちゃんが、あまりにもいつものあやなちゃんで、ちょっとほっこりして。そしてなんだか安心した。


【2022年5月19日】
『夢介—』
お鶴ちゃん(花束ゆめ さん)に声掛けて、三太そらくんに因縁つけられてた。三太くんいいお兄ちゃんです笑。
『Sensational』
オーロラ1回目のはけていくときのあやなちゃん。客席を眺めながら捌けて行って、その姿が懐かしくてなんだか泣けてしまった。
今日は新公。中詰め前半で縣くんと組んでるひまりん(野々花ひまり さん)が、顔寄せる振りの時に「頑張ってね」って言うと一転、子供みたいにニコニコ笑って、次に顔近づける振りの時に「ありがとう」って返してた。可愛い。
あやなちゃんはパレードの大階段の一番上に着いて向かい合った瞬間に、縣君に「お め で とーっ!」てゆっくりはっきりと口をぱくつかせて伝えてた。嬉しそうに破顔する縣くん。
研7最後の新公で主演だからこそ、頑張って!じゃなくて、新公卒業「おめでとう」って掛けたのがなんかいいなぁと。今日も心臓跳ね上がって、くるしくなるくらい幸せ沢山いただいた。
黒燕尾、大階段上で慈愛に満ちた表情で縣くんに微笑むあやなちゃんと、それを受けて笑ったあと、正面を向いてそっと目を閉じる縣くんの二人をみられるのもあと少しなんだな。。


【2022年5月22日】
友の会貸切公演で人生初の立ち見をした。
2階の一番後ろのど真ん中。高い場所は苦手だけれど絶景だった。
スポットの強さや本数、自分のすぐ背後から伸びるそのまっすぐの光線に操られるかのようにぴったりとその円におさまるスターさんたち。
かと思えば、ソロで綾さんを追う2本のスポットの光線が銀橋へ伸びているのか、綾さんの光がこちらまで届いているのかわからなくなるような不思議な感覚。
そして、こんなに後ろなのに、こんなに強くて目がつぶれてしまいそうな光線なのに咲さんは隈なく目線を配っていて。。合うわけのない目が合っている気がしてしまう。本当にトップスターさんってすごい。。デュエットダンスが想像の遥か上をいく美しさだった。すごくすごく綺麗。
足は棒のようだけれど、この景色が観れてよかったと心から思った観劇だった。


【2022年5月26日】
プロローグでりーしゃさん(透真かずき さん)が奥から出てくる時、ひまりんからもらった“指ハート”をジャケットの内ポケットにしまう仕草してて、ひまりんが喜ぶ様子も優しさで包み込んでしまうりーしゃさんもすごく素敵だった。
日増しに燕尾へのそれぞれの集中が個から組織へと広がっているのを感じる。ひとつの群なんだ、かたまりなんだっていう集中力と結束力の伝播を感じる。
ここへきて自分の涙の種類が変わったな、と感じる。
幸せが溢れて涙になって次から次へとこぼれてくるの、こんな事ってあるんだな。


【2022年5月28日】
今更ながら、ようやく全体を観られるようになってきた。みんな素敵だな~って。これからの雪組も、そうやって観られそうだなって思った。
あんこちゃんの中詰めイヤリングが可愛くって、あれはあんこちゃん(杏野このみ さん)じゃなきゃ似合わないなぁっていつも凝視。シンプルなんだけど、細い首の縦ラインが強調されてすっごく素敵。


【2022年5月29日】
今まで以上に削って輝いてるからさすがに疲れてきてるなぁと思った。でも黒燕尾すごく素敵だったな。
退団公演が始まってから自分も全てが駆け足だったけど、最近、今の事よりも、あやなちゃんが卒業した後の自分の人生を考えることが多くって。ぼんやりとしてたものが、急に輪郭をもっていたことに気づいたというか。


【2022年6月2日】
最後の最後に反則だった。
今日もありがとうの笑顔は丁寧に届けられて思わぬ所で泣いてしまった。コロナ禍でも、客席と舞台の間には垣根なんてなかったんだな。。迫り来る別れへの覚悟と悟りを抱きながら、素敵な男役さんになったなと俯瞰で観ていたのに、立場や環境が変化しても、変わらない優しさに触れ、最後まで全力で愛を届けるって決めたのに、悟りだなんだと先々の事ばかりを考える自分がいたと気付いた。
カッコよくて、美しくて、あったかくて。綾凰華には敵わないな。
もうすぐ綾凰華を応援させてもらえる世界が終わる。さみしさよりも幸せで涙が溢れてばかりいる。最後まで全力でついていかなきゃ。


【2022年6月5日】
カフェブレイクを見て、最後の番組、最後の公の言葉なんだって実感。。
『夢介―』
熊さんあすくんの肩にかけてるモフモフのペット(笑)を、なでなでする七五郎さん。
「俺を切れ!」と座り込む七五郎さんところ、猿くんはいちゃんがすっごく戸惑って悲しそうな顔するの知らなかった。
最後幕が下りる時、お滝さんに「やめてくれ😆頼むっ😆頼むからっ」って嘆願してた(笑)
ほんわかしたお芝居で本当に良かった。大団円で三本締めで終われるのも本当に良かった。
『Sensational』
黒燕尾銀橋、焼き付けようと歯を食いしばって観たのに結局パレードの弾けるような、そして優しい笑顔に、私の記憶が全て弾け飛んでしまうところだった。心から感謝してるし、幸せだし、そして多分ずっと泣いてた。公演が終わって友人が優しく声をかけてくれてその場で恥ずかしいくらい号泣してしまった。
情緒不安定すぎる。。
午後の公演は予期せずみんなで観られて本当に楽しかったし、楽しそうな綾さんがみられて本当に嬉しかった。幕がおりるとき、ぽーっと一帯を見つめて手を振るあやなちゃんを観られたことも本当に幸せだった。
「本当の最後だったね」と交わしたその言葉を噛みしめた。
もうあと1週間なのだと頭の中を過ぎると再び寂しさで潰れそうになる。寂しくて泣き、そしていただくものが大きすぎてとってもとっても幸せで、そしてそれゆえまた涙が溢れる。
あの笑顔がこの先もずっとあやなさんのものでありますように。
日も落ちた頃、ケーキが食べたくなって部屋を出たらホテル前の横断歩道であすくんとすれ違った。目が合うなり「あ…!」と言われた……なんだか急に冷静になって、泣いてばかりいる自分が恥ずかしいような気持ちになった。。。


【2022年6月6日】
買ったブルーレイ、思い切ってセンセーショナルだけ再生した。まだ自分の目で焼き付けられるうちに確認しておこうと思って。
…初めて見る景色が沢山。今は、映っていないあやなちゃんを脳で補完することは出来るけど、上書きされてしまったらと思うと怖くて…もうみれないかもしれない。千秋楽公演をCSで流す頃になったら、この映像も見れるようになるのかなぁ。


【2022年6月7日】
『Sensational』
毎日本当に幸せだ。前半の熱さ、集中力と、後半の柔らかさ。
オーロラのスポットライトを見つめる表情や黒燕尾にすっごく寂しくなっちゃった。黒燕尾、俯いても分かるくらいに零れるギリギリのところで涙を留めていて。振りがいつもなら弾んでるところ、振り切れてるところ、冴えてるところ…所々がゆったりと柔らかくなっていて、今零さないように、噛み締めて記憶に、身体に刻み付けてるんだなと思ったら寂しくて。何とも言えない表情をしてて。ちゃんと焼き付けてるよ、忘れないよ、って思いながらみた。
ソワレは感謝のお辞儀、親しみの目尻、振りまく笑顔、全ての表現を使って客席のみんなに御礼参りしてるみたいな回だった。
黒燕尾ソロ部分を歌う上手花道。歌い終わり小さく「うん」ってうなづいた。思わず隣の子と顔を見合わせて涙顔で頷き合った。
一旦はけて戻ってきたあやなちゃんの右目が涙で滲んでた。
ありのままで居て欲しいなと思えてる今。
あやなちゃんが、東京宝塚劇場の舞台と舞台から見る雪組のみんなのことを1回1回焼き付けられますように。


【2022年6月8日】
最後の夜公演。昼公演のあやなちゃんは太陽みたいに優しくって時折ふにゃっとしててたまに陰るのが堪らなくかっこよくて大好きで、夜公演のあやなさんはかっこよくて凛としてて時折柔らかくも色気纏っててお月様みたいでやっぱり大好き。
天寿さんのMPでくらっち(有沙瞳さん)が「時間は命」と言っていたという話を耳にしてすぐに、咲さんがフィナーレ冒頭で歌う「命も真心もあげていたいの」という歌詞が頭の中で流れた。
今思うのは、宝塚歌劇団が100余年に渡り続いてきたのは、創る側だけじゃなく、応援する側も大なり小なり命(時間)と真心を捧げて来たからなんじゃないかなと思う。
ご贔屓様が退団したあとも観続けるかどうか、このことを色んな方に聞かれるのでぼんやりと考えるのだけど。命(時間)も真心も捧げたいと思える相手なんてそうそう出会えないはずだから、私はこの経験は一度きりだと思う。
でも宝塚の舞台は好きだから、、たまに享受する、、かなと思ってます。


【2022年6月9日】
楽しかった。楽しそうだった。幸せそうだった。
それだけで幸せで、胸がいっぱいだ。
別席で観ていた知人に、綾凰華ちゃんは本当に王子様ね。それも清潔感溢れる品の良い王子様、と言っていただいた。
あやなちゃん、王子様かぁ。。
長らく宝塚を近くで見ていらした方に改めて言われると、そんな風に言ってもらえる人を応援出来た事が誇らしい。


【2022年6月10日】
この曲のこの小節、あと4回しか観れないんだ、黒燕尾姿もあと4回なんだとついに自分の中でカウントダウンが始まってしまった。
燕尾、大階段の上に見えた瞬間から涙が流れ続けてマスクの中は大変なことに。ホテルに戻ってからも目は真っ赤。
やっぱり黒燕尾は特別。今の瞬間のあやなちゃんを観ながら、今回の公演期間中の沢山の瞬間を思い出し、そしてこれまでに観てきた過去の燕尾まで過ぎって…こんなに素敵になって、と胸がいっぱいになる


【2022年6月11日】
前前楽
芝居最後せり上がる咲さんを見ながら涙が溢れてるあやなちゃんにもうこちらの涙腺は決壊してしまった。
Caravan終盤、上手前方の一帯をみた瞬間に堪えてるお顔になっててそのまま泣いてしまうかと思った。
パレードでの捌け際、ゆっくりと客席ひとりひとりを確認するような眼差しが印象的だった。
前楽
貸切公演だった。
「立ちなせぇ」、って七五郎さんへ声をかける夢介さんの声が温かくて優しくて。胸がいっぱいになった。
終演後、泣き続けグズグズしながら階段を降りていたら、振り返った目の前の方も泣いてた。優しく会釈してくれて…。温かいなと思っていたら、今度は後ろからグズグズ聞こえて。振り返ると別の方が同じように泣き続けてた。思わずさっきの方がしてくれたように会釈した。あったかい連鎖だった。私の知らないあの方々も綾さんの大切な大切なファンなのだ。


【2022年6月12日 東京大千穐楽】
宝塚千秋楽に続き、予報ハズレの晴天。
日比谷はほんとうに気持ちの良い青色の空だった。
朝早くに1人エレベーターに乗っていたら途中の階でドアが開き、星柄のTシャツを着た女性が、真っ白な装いの私に「おはようございます」と小さな声で挨拶してくださった。咄嗟に「おはようございます」とだけ返したけれどその華奢な後ろ姿に心の中でそっと唱えた。
「ありがとうございました」と「おめでとうございます」を。
今日は卒業式だ。笑顔で送りたい。
最後に見る顔は誰だって笑顔がいい。
目まぐるしくて、一日中ずっとふわふわしてた。
あやなちゃんも卒業だけど、自分たちファン同士も一旦のお別れをしなきゃいけなかったから、とにかく気忙しかった。
舞台の綾凰華は最後まで全力だった。
凄く晴れやかな顔をしていて、とても楽しそうだった。
「熊、ありがとな!」と不意にかけられたあすくんが優しく微笑んでた。
しんみりするのは昨日に全て置いてきて、今日は最後のお祭りなんだと思った。
『Sensational!』
いつも千秋楽はテンションが高い綾さん、最後の最後まで綾さんだった。
プロローグ銀橋歌い継ぎでは、縣くん、諏訪くんとそれぞれギュっと抱き合って
Caravanでは、ゆきのちゃんとそらくんそれぞれに、「ありがとう」って伝えてた。
中詰めでは、朝美さんにじゃれてて、
銀橋ソロでは最後、銀橋に触れてお別れしてた。
燕尾では、劇場全体を感じてて、
咲さんと背中を合わせた表情はまさに、感極まってた。
パレードで、にわさんにありがとうしてた。

咲さんがトップさんで良かった。
この日まで折々で綾さんの退団に触れてくれて、綾さんだけじゃなくて、ファンの心にまで寄り添ってくれるような、そんな懐の深い人だと思った。
コロナ禍での卒業見送りは辛いところは多かったけれど、でも、きっとそうだったからこそ綾凰華さんやその周りの方々のあたたかさをより感じられたところも沢山あったんじゃないかなと思う。思いたい。
「いってらっしゃい」と「ありがとう」を声に出して伝えたかったという思いは最後まであったけれど、声にしなくても、愛らしい笑顔がふわっと咲いて優しく小首を傾げてくれる姿に、きっと伝わった受け取ってくれた、と思えたので全てが昇華された。


【2022年6月13日】
宝塚歌劇団HPから綾凰華の名前が消えた。
でも、この4ヶ月半、あやなちゃんご本人の人生第2章にそっと持って行ってもらえるようありったけの勇気と愛を言葉に託して、全力で応援出来たと思えるからとても清々しい気分!
帰宅したら遠く離れた日比谷と同じ色の青空が広がってた。

「あなたの理想を通して、私は希望を見た」

今日からの新しいあやなちゃん。素晴らしい未来へ、いってらっしゃい。


【2022年7月1日】
今朝の夢にあやなちゃんがでてきた。
すごく楽しそうでキラキラしてた。
不思議な夢で、階段の下がキラキラしてて、そこに向かおうとするんですけど。少し怖くてしり込みしてたらニコニコの笑顔で手を引っ張って駆け下りてくれました。
夕方、あやなちゃんのInstagramアカウントが開設されて、web VOCEの記事がアップされた。
あやなちゃんが下界に降りてきた…。
これは、、予知夢…?


【2022.9.**】
劇団にいて入出があったころ贔屓は現実であり舞台でどんなに素敵でも、同じ空気を吸っている人間だった。それができなくなった時、贔屓は舞台や仮想空間でだけ会える4次元のものだったのかもしれないという感覚が大きくなった。それでもなお「離れていてもいつもそばに」と生徒さんはみんな言う。
退団公演でその言葉の真意、上っ面ではないあたたかい真心を感じることが出来た。
退団後は下界に降りてくる、だなんて漠然と思ってたけど、そうではなかった。
綾凰華さんは綾凰華さんのままだった。
夢を全く壊さないまま、美しいものを美しいまま、それでいてごく自然体で、強くて美しい中身の伴った人間として下界とは一線引いた世界で羽ばたき続けてる。
退団は世界の終わりだと思ったけれど、まだ道は続いていて新しい景色が広がってる。

こんな長い文を最後までお読みくださった方へ
綾さんのファンの方、素敵な人を好きになれて幸せだねって分かち合いたいです。
ご贔屓さまがいらっしゃる方へ
いつか必ず来る日のその先を幸せに生きるために、しっかり沢山笑って沢山泣いて楽しんで退団まで見送ってください。

ご贔屓様の描く理想にいつも希望を見ていた。
いくつになっても青春を突っ走る様な爽やかさと熱さを感じられる。それが贔屓を持つという事なのだと思う。

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