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私のジャンルに「神」がいます② 2023/3/14

『私のジャンルに「神」がいます』2巻の感想です。カバーを外したときの表紙が最高。

ちなみにpixivでも読めます。

1巻の感想はこちら。

第1話「斜陽ジャンルに舞い降りた神」

主人公はむぎ。ジャンルは「バトコア」。
年に1冊ペースで新刊を出す字書き。

むぎは1巻第6話に登場している超超過疎ジャンルの字書き。12年前のアニメの二次創作を行なっている。愛だ。

この話、超好きなんですよね……

個人的に字書きが1~2人。同CPのフォロワー0人を経験しているので、むぎに感情移入してしまう。

今回の「神」は綾城ではなく、みつば(友川の友人)という字書きである。
このみつばが「バトコア」に新規で入ってきた字書きなのだが、季節ネタ・パロネタ・流行りネタの短編をものすごい勢いで書くのだ。ほぼ毎日。たぶん花吐き病も書いてると思う。
遅筆かつバッドエンドばかり書いているむぎとは対極の存在。
(むぎがみつばをフォローできないところが良い。むぎのねっとりした性格の表れ。)

最初は字書きが増えたことに喜ぶむぎも、徐々にみつばとの数字の違いを見せつけられて落ち込んでいく。P支部ブクマ数43のみつばは確かに「神」だ。
むぎは、みつばのような文章を書こうとしても出来ない。

「ダメ…どうしてもKくんが死んじゃう!!」

素晴らしい。

この後も一悶着あるのだが、ラストは既刊と新刊を並べて満足そうにしているむぎがいるので嬉しくなる。

第2話「出戻り同人女の感情」

主人公は葵。ジャンルは「ハイブレ」。
同人から離れていた主婦。元字書き。

ここでもサラッと綾城の作品にはまっている描写がある。
葵がジャンルのCP傾向にささやかな解釈違いを起こしており、創作側に回るところがリアルで笑ってしまう。

第3話「大国(メジャージャンル)の小村(マイナーカプ)」

主人公は七瀬。ジャンルは「KTG」。綾城に憧れる字書き。

七瀬は人気CPにハマっており、
・投稿してもすぐ流れる
・上手い人がいて凹む
のでマイナーCPが羨ましいとのたまう。

そんな七瀬はある日、新たなCPに可能性を見出す。
しかし、メインで書いている字書きは0人!
七瀬はマイナーCPにハマってしまったのだ。

ざまあみろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そしてここで紹介したいのが、おけけパワー中島。
(彼女は1巻からずっと登場しているのだが、たまらない感情が押し寄せてくるのでどう言及していいか分からなかった。彼女がいなければ生まれなかった作品が沢山あるのだ。)
おけけパワー中島とは、綾城とやたら仲の良い字書きで、マイナーCPの人間だ。綾城に「KTG」を教えた張本人でもある。

七瀬はこのおけけパワー中島が苦手なのである。
大好きな綾城さんに頻繁にリプを飛ばし、プライベートの交流まで見せつけてくる。性格が底抜けに明るく、ノリが異様に軽い。

今回ばかりはマイナーCPのおけけパワー中島に同情する七瀬であったが、おけけパワー中島は持ち前の人脈でマイナーCPのアンソロを主催する。
執筆者23人。
当然、綾城も参加している。凄すぎ。

ただ、Twitterで「顔カプ」「大手に擦り寄り乙」と呟かれ、イベント会場で「普通のCPだったら買うのに勿体ない」と囁かれているので素直に羨ましいといえないところがリアルで良い。

ラストのおけけパワー中島のあとがきは必見。

第4話「あの頃の同人女」

主人公は好野。おそらくHNではなく、本名なところが良い。
ジャンルは「流スマ」。ポケベル時代の女子高生。

この時代、知らん!
オタクたちは雑誌に住所と本名を掲載して、文通相手を募集していたらしい。そりゃ同人イベントなんて脳汁が溢れるだろう。
好野は同人誌の購入をきっかけにノートに創作をはじめる。しかし、自分の創作を読んだバイト先の先輩たちの反応を見て挫折。

そして次のイベントに好きな字書き・蓮見が参加することを知った好野は新刊を購入しにいくのだが、イベ終了後にファミレスで話し込むシーンがとてもいい。初交流のドキドキを思い出す。
好野が自分の小説を燃やしたことを話すと蓮見は涙を流すのだが、このシーンもいい。
私も自CPの小説が燃えたと知ったら真顔になるだろう。確かに掲載は責任が伴うけれども、責任が伴うけれども!人命救助だと思って公開して!!

すっかり自信を喪失している好野に蓮見は熱弁する。

「同人誌に必要なのは技術じゃない…熱いハートです!!」
「同人誌は愛なんですよ!!」

そして好野は、新刊を出すことを決意する。

【同人誌の作り方】
①原稿を書く
②ワープロで打ち込む
③プリントした用紙を台紙に貼る
④転写シートでページ番号を振る

え?マジで言ってる?

締め切り前にワープロがなくなるピンチに見舞われた好野は、蓮見の手伝いもあってなんとか新刊を完成させる。

素晴らしい。
私は0冊が1冊になる素晴らしい瞬間に立ち会えたのだ。(現実とフィクションの区別がつかない人?)

番外編「カメラロール」

綾城はノルウェージャン・フォレスト・キャットを飼っているらしい。
おいおいおい。

第5話「おけけパワーの憂鬱」

きた!!
おけけパワー中島に焦点を当てた話。

第3話のアンソロ発行で不穏な空中リプライをされていたように、おけけパワー中島を苦手に思う人は七瀬だけでない。なんならアンチもいて、わざわざアカウントを作って「底辺作家」「擦り寄り」「神のオマケ」と攻撃してくる人もいる。

おけけパワー中島にも色々あるんだよ、七瀬。

おけけパワー中島は執筆に詰まった綾城にマロを送って背中を押したり、むぎの同人愛を引き出したり、根がいいやつなのだ。
ただちょっと敵を作りやすいだけで。(そこがおけけパワー中島の良さ)

七瀬は綾城を神格化している時点で、おけけパワー中島にはなれない。おけけパワー中島はあくまでも綾城と対等でいてくれる貴重な存在なのだ。

過去にメールフォームに感想を送ってくれた熱心な読者が、虚崎(※7年程前の綾城)だと発覚するシーン、虚崎があまりにも可憐な少女でびっくりしちゃった。


ってかおけけパワー中島と綾城がいつまでも敬語で会話してるのめちゃくちゃ良くない!?


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