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私のジャンルに「神」がいます① 2023/3/14

『私のジャンルに「神」がいます』
それは感情が爆発する作品。

商業以前は『同人女の感情』という作品名で連載されていたこの作品、面白すぎる。(商業は3巻まで発売中。以後タイトルを『同人女の感情』に戻し、同人誌として発行されるそうです。)

・創作をしている
・SNSをやっている
・好きな字書きがいる
これらのオタクに刺さること間違いなし!

ちなみにpixivからも読めます。

創作で自信を失ったときにあると心強い一冊。
正直、触発されて同人誌を作りはじめたくらいには影響を受けている。

登場人物の情報を整理したいので、1話ずつ感想を書かせてください。


第1話「天才字書きと秀才字書き」

主人公は七瀬。(七瀬がまたこの作品の味なんですよね……)
字書き。ジャンルは「KTG」(メジャージャンル/ソシャゲ)。
ある日、天才字書きこと綾城の作品に出会い衝撃を受けるところからストーリーがはじまる。

大筋は七瀬が綾城に興味を持ってもらうために秀才字書きになるという話なのだが、この情熱が凄い!
・原作を何度も読み返してキャラへの理解を深める
・心理学の本を読む
・幅広いジャンルの小説や漫画の感想ノートをつける
・タイピングや資料作成用のPCを購入する
普通に参考になった。ここまで火をつけるほどの綾城の作品とは。ごくり。

ラストは憧れの綾城から認知されていたことを知り、七瀬の感情が爆発して終わる。この嬉しさを想像するだけで自分のことのように多幸感を味わえる。1話から最高。

第2話「天才字書きのジャンル移動」

主人公は友川。ジャンルは「ハイブレ」。
七瀬と同じように綾城に陶酔し、作品の投稿するのだが、七瀬と違うところは「綾城のジャンル移動」という壁にぶち当たることだ。

友川は最強の二次創作で綾城を取り戻すことを誓う。
執念でいくつもの作品を投稿し、着実に数字を伸ばしていく友川。
しかし、無情にも綾城はアカウントを削除してしまう。
どうあがいても、絶望。

友川が複雑な心中を抱えて応援マロ(作中の匿名メッセージサービス)を送信するシーンの喪失感といったらない。 ※ちなみにこのマロは1巻に書き下ろしとして全文が掲載されている。大好き。字書きは感想も秀逸だ。

この話のラストは私の感情が爆発しました。

第3話「7年前の本が欲しい」

主人公はイクラ丼。ジャンルは「アスカレ」。読み専。

タイトルから絶望感が凄い!!
「アスカレ」というアニメは7年前に放送されたもので、現存する作品が圧倒的に少ない。pixivどころか携帯サイトの時代なのだ。

そしてそこで、虚崎(※7年前の綾城)に出会うのだ!!
一体、何人の人生を狂わせれば気が済む?

ちょっと引いちゃうくらいの熱量でネットストーカーをするシーンが好き。虚崎と関係のありそうなSNSアカウントを片っ端からリスインして相関図を洗い出すのだ。怖いよ。
またここの相関図の内容が生々しくて大好きだから細かいところまで是非読み込んで欲しい。

ラスト、イクラ丼の感情が爆発する。おい、羨ましすぎるだろ。

第4話「前人未到の0件ジャンル」

主人公はたまき。ジャンルは「銀トリ」(0件)。読み専。

ここでは綾城は出てこない。
一人のオタクとジャンルへの葛藤がメインの回だ。

たまきは、pixiv投稿が0件のジャンルに落ちてしまう。
過酷な現実に打ちひしがれるたまきなのだが、『自分が作品を投稿する』ことを決意する。
ここがいい!字書きが生まれる瞬間は何度も見たい!

この後たまきは、初投稿作品に反応がつかず、自信満々で投稿したにも関わらず「文章がダサい」「恥ずかしい」と自覚して作品を削除する。
辛すぎる。
恥ずかしがるたまきに共感しつつも、子供を見守るような気持ちにさせられる。

だが、情熱を取り戻したたまきは強かった!!
・削除した作品をもう一度見つめ直す
・「文章力」の本を読み漁る
・書き言葉のルールを学ぶ
・好きな小説の書き写し
これもかなり参考になる。

それから、
①萌えやアイディアを箇条書きにする
②800字以内で小説を書く
→3ヶ月で約100本の小説を完成させる。

100本!?
そして4ヶ月かかって1本の小説を完成させるのだ……

創作の良さをしみじみと感じる大好きな回だ。

第5話「初めての原稿地獄」

主人公は再び七瀬。ジャンルは「KTG」。綾城に憧れる字書き。

綾城の同人誌に感動した七瀬は同人誌を作りはじめる。

素晴らしい。
私は0冊が1冊になる素晴らしい瞬間に立ち会えたのだ。(現実とフィクションの区別がつかない人?)

七瀬、アンタも誰かの「神」字書きなんだよ。

第6話「素晴らしき過疎ジャンル」

主人公はふたたび友川。ジャンルは「ハイブレ」。

綾城も去ったジャンルは人口が減少していた。ううっ。
友川はイベントで大量に在庫を抱えて帰宅する。辛い。
そして「在庫を捨てる」とか言い出す。ダメ。

失意のなか、友川は別ジャンルのフォロワーの売り子をすることになるのだが、そこが超超過疎ジャンル!!けれど、そこには「いつか誰かがハマったときのために新刊を出し続け、既刊を持って参加する同人女」がいた。

友川は自信を取り戻し、在庫を愛せるようになるのだった。

この話は、個人的に同人誌を出している一歩先の話なので、尊敬の念が止まらない回になっている。いつか共感してみたい話だ。

第7話「天才字書きのアンチ」

主人公は柚木。ジャンルは「金スト」。字書き。

出ました。綾城のアンチ。
メインの登場キャラとしては、希少な存在です。

綾城が作品を投稿するたびに騒然とするTLに憎しみが生まれ、綾城の作品が徐々に目障りになっていく柚木。
ここでねこまかろんというフォロワーが「柚木さんの小説が1番好きです」という言葉を「綾城のF×Gが1番好き」と態度を変えるのだ。
マジで許せねえ、ねこまかろん。

ラストは憎しみがゆえに綾城に詳しくなった柚木が、やっぱり綾城はムカつくという結論を出しているところが最高にクール。それでこそ柚木だぜ。
ねこまかろんは許さないからな。

第8話「天才字書きが生まれた日」

主人公は虚崎。読み専。

初投稿からウケて、人間関係が上手くいかなくなるという「天才字書き」ゆえの悩みにフォーカスが当てられている。
書き下ろしなので本を購入しないと読めない。綾城の過去は貴重だ。七瀬が知ったら大喜びするだろうな。


最後、カバーをめくると……?

こういうところもこの作品が好きな理由だ。


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