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私のジャンルに「神」がいます③ 2023/3/16

『私のジャンルに「神」がいます』3巻の感想です。

ちなみにpixivでも読めます。

1巻と2巻の感想はこちら。

第1話「同人女、嵐の海を往く」

主人公は七瀬。ジャンルは「KTG」。綾城に憧れる字書き。
2巻第3話で大手ジャンルのマイナーCPに落ちた。

「七瀬さんのファンです♪
でもX×Yは読まないのでいらないです。
D×Eの更新待ってます!!」

このマロ、悪意がないのが凄い。
応援メッセージとは、相手を良い気分にさせたいという考えが根底にあるのではないのか。
でも実際にあるから何とも言えない。

七瀬、綾城の好きな字書きに昇格している。おめでとう。

第2話「いいねが欲しい同人女」

主人公はぽぴ郎。ジャンルは「エースタ」→「KTG」。字書き。
ちなみに友川の友人。友川は交流上手なのかも。

地獄回。

とうとう切り込んできましたね、と言いたい。
この回は「他人からの評価に自分を見失う同人女」の話なのだ。

ぽぴ郎のジャンルは人口が減少していた。
ブクマ数の伸びも悪くなるなかで、ぽぴ郎は前向きに同人活動をすることが難しくなっていく。

そんなとき「KTG」という大手ジャンルを知る。
「CくんとNくんは運命の出会いCP!」
勢いそのままに投稿した作品のブクマ数は518。しかも1日で。
ぽぴ郎は、これまでにない高評価に両手放しで喜んだ。
これが地獄の入り口になることも知らずに……

ぽぴ郎、ここからが凄い。

作品づくり
・おしゃれなタイトル&表紙を付ける
・最初の1段落で読者の心を掴む
・続きを読みたいと思わせる
 →冒頭に「驚き」や「謎」の要素を入れる
 →盛り上がる・萌えるシーンを冒頭に
・「キャラ&CPの魅力が伝わる」を第一に、読みやすい文体で

かなり戦略的だ。
しかし、大変参考になる。ここまで分かりやすくしないと人は読んでくれないのだと思う。読まれる文体にすること、自分の趣味を盛り込むこと、この2つの塩梅は人によってはかなり難しいんじゃないだろうか。
タイトルを「〇〇が〇〇する話」という風に状況説明にしてもブクマ数が伸びる気がするが、そこはぽぴ郎の作風とは合わないのだろう。
冒頭は本当に悩む。ここで「?」が少なければ取っ掛かりがなくなる。オチよりも最初の一文が思い浮かばないこともしばしば。

フォロワーを増やす
・P支部だけじゃなくTwitterにも短文を載せる
・Twitterの企画に参加する
 シリーズもの、連載を定期的にUPする
・原作感想&萌え語りも毎日発信する

お、おう。
”連載をする”というあたりの正しさに何とも言えない。今後も動向を見守りたい、と思わせなければフォロワーは増えないだろう。でもなんか、ずっと彼氏の気を引いていたいと躍起になる女の波動を感じる。

こうして他者評価に依存していくぽぴ郎の精神がいつまでも安定したままかと言えば、勿論そんなことはない。

「こんなのより私の小説の方が…」
「………私も大手さんと繋がれば…!!」

ああ〜。
あ、ああ〜。

ここで”綾城と繋がりたい作家”に擦り寄られるおけけパワー中島がチラつく。

ハッピーがんばるマン1号の作風は文章に気合いを入れている人間からしたらそれほど魅力的ではないのかもしれない。そして、ハッピーがんばるマン1号が他者への嫉妬で狂ってないとも言い切れないところがこの話の味わい深いところだと思う

ぽぴ郎の焦りは加速する。

・大手をフォローしまくって交流する
・拡散力のある人が好きなシチュの小説を書いてRTしてもらう
・絵描きと繋がる
・流行りネタには誰より早く便乗して一番手を狙う

さすがにここまでやってると一部のフォロワーには勘付かれてると思う。
でも、そんなフォロワーたちも大手ジャンルの前では取るに足らない存在だ。何故なら、ぽぴ郎にはただの指標でしかないのだから…..
相手を大切にしない交流をして何が楽しいんですかね。

ラストはぽぴ郎が同人活動の楽しさを思い出すハッピーエンドなのだが、このときの友川の「どうしたの?ブクマが付かなすぎて泣いてたの?」という言葉がナチュラルに酷くて笑ってしまう。

ぶ、ブクマがつかないくらいで泣いたりしないんだからっ。

第3話「同人女の日々」

むぎとみつばは相変わらず可愛い。
お互いに熱量が気持ち悪いことになっているが、止めるものは誰もいない。ある意味では覇権CPなのではないだろうか。

第4話「同人女、愛を告げる」

主人公は再び七瀬。ジャンルは「KTG」。綾城に憧れる字書き。

綾城との相性を占う七瀬がやばい!!
この回では、好きな絵描き・字書きがいるイベントに参加する同人女の入念な準備が描かれる。なんでネイルまでしちゃうんだろうね。

第5話「九条と向井」

主人公は九条。ジャンルは「バディキ」。字書き。

優等生×ギャル。
この2人がBLによって仲良くなる話なのだが、純粋に女子高生の日常回としてかなり良い!!
作風の違う九条と向井が、合作をするシーンに胸を打たれる。

このあと向井が評価されたり、「神」字書き主催のアンソロに参加することになったり、九条との関係が悪化するのだが、その中でさばみその「むかいさんの小説、尖ったセンスを感じる…テンプレ二次創作とは一線を画してるナ…」というコメントが光っている。
お前のセンスも一線を画してるナ…

きっと向井の文体は、おけけパワー中島に近いものがあるんじゃないだろうか。読みたい。

ライトな文体が読みたくて仕方がないときが、ある!!

向井が九条の新刊を注文するシーンが可愛くてたまらん。
本名だからバレるに決まってるじゃん。可愛い。

番外編「作業通話」

綾城の本棚すげえ……

第6話「ジャンルの切れ目が、縁の切れ目」

主人公は虚崎(※7年程前の綾城)。字書き。

おけけパワー中島がジャンル移動して、関係が途絶えてしまうんじゃないかと心配する虚崎。相変わらずおけけパワー中島が心の拠り所だ。
七瀬、見てるか!?虚崎、おけけパワー中島とだけは縁が切れてほしくないんだって!!


ってか最後に綾城が持ってるマグカップ、ねこまかろんのアイコンじゃね?(ねこまかろんを許さない)

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