人形浄瑠璃太夫による『ガーリィ如意輪菩提和讚』三味線詞章語り
《原文》
「がんばればいつか願いはかなう、幸せか不幸かは自分次第」というのは、その裏で不幸になっている人から目をそらして自分だけが平気で幸せになれる人間にしか当てはまらない。
勝つ者の陰には負ける者が、得る者の陰には失う者がいる。
何かを手に入れるということは、他の人間がそれを得る可能性を奪うということだ。
お金のため、恋のため、仕事のため、受験や就職のため、思想や信念のため、人は権利と幸福を奪い合って生きていく。
すべてのつぼみが花を咲かせられるわけではない。
すべてのさなぎが蝶になれるわけではない。
すべての命のすべての願いが同時にかなうことはない。
それを悲しく思っていながらも、心のどこかで自分だけは幸せになりたいと願ってしまう。
ーやっぱりこの世界は失敗作だよ、神様。
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