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【体験談】グッバイ故郷営業男【ダメンズ③】

夏休みの宿題男と決別し、晴れて成人となった私は心新たに大人の恋を追いかけていく。次の彼は…見た目はバリバリ営業マン!頭脳はふにゃふにゃメンヘラマン!?

衝撃の出会いだった。大学4年も夏に差し掛かる6月の初夏。私は彼に出会った。もう同世代はこりごりだった。ロクでもない男ばかりとの決別を繰り返していた私は大人の男に枯渇していた。1歳でも年上で良い。身長は私より小さくても良い。どうか、どうか同い年はやめてくれ。くじ引きを嘆願するかのような生活。

彼は私の内定先でインターン中に出会ったMさん。一目惚れだった。長身で声が低くて、目が細くて、仕事が出来て、器が広くて、包容力があって、余裕があった。しかしこの一目惚れ査定での結果は、容姿以外物の見事に外れていた。

いやいや、何を言ってるんだ。私は仕事をしに来てるんだぞ!これからもお世話になる職場だぞ!そんな下心で港区へ毎朝通勤するのはやめたまえ。ちょくちょく駅のトイレで身だしなみチェックする余裕があるなら、ビジネス書でも読め。と、叱りたい。

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ある日若社長は言った。「春から新入社員も入ることだし、みんなで社員旅行でも行こうか」ご褒美だ。私へのご褒美。え?彼の普段着とかあんな姿やこんな姿まで謁見できるということでしょうか。なんと有り難き幸せ。私はウキウキデート気分で歓迎会兼社員旅行へ参加した。

旅館ではMさんの浴衣姿を謁見した。エロくて、白くて、エロくて、脱いだらもっと細いんでしょう?!ってくらい細かった。みんなでの夕食時。若社長が新入社員の女子達に「この中で付き合うなら誰?」と質問した。私は、嘘はつくまい!と他の女子達がMさん以外を名指しした最後に「私はMさん!」と告白した。これってもう告白よね。先輩社員達がとても驚いていた。あの時、なぜ女子社員から一人もMさんの名前が出なかったのか?なぜ先輩社員達が驚いていたのか?少し冷静に考えられていたら、この後の悲惨な結末へは向かわなかったのかもしれない。

Mさんは照れてるかと思いきや、お酒を飲みながら『へぇ〜くまメロは俺なんだぁ〜」と呟いただけだった。はぁぁん、大人の余裕ですね格好いいですぅ。

旅行から帰ると、MさんからのLINEが異常に増えた。本来これは警戒しなければならない。これは地震前の警報だ。カウントダウンは始まっていた。だけど私はただただ舞い上がっていた。なんなら、これ付き合えるんじゃね?とまで思っていた。

もうここまで来ると話は早かった。Mさんから食事に誘われた。横浜で夜景の見えるレストランへ連れて行ってもらった。全部の彼が支払うんだ…とカルチャーショックを受けたまだ大人になり切れていない、くまメロさん。そしてついにMさんからあの言葉が繰り出される!「ホテル行く?」

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I was already in the hotel's bed.OMG...

ここだけの話、この時点で22歳だったくまメロはチェリーガールだった。そう、ぴゅあぴゅあちゃん。こんなに美人なのに。ダメンズを渡り歩いた割りには、私自身の貞操観念は非常にしっかり持てていたのです。だけども相手は大人!今までの同級生ダメンズと同じ扱いなんて失礼過ぎるのよ!私はMさんなら大丈夫だと身を任せた(割愛してしまったが、一応夜景の見えるレストランで付き合うことになっていた)

蛇足かもしれませんが、彼がこういう人だったという要素として一つだけベッド事情について宜しいでしょうか?Mさんは私が初めてだと知ったのに、あらりとあらゆる体位に付き合わされました。

初デート、ウキウキで帰宅。「楽しかったです!」なんてLINE送っちゃって。「くまメロのこと、両親に紹介したいな」なんて返信来ちゃって。大人の階段も登ったし、とにかく私は有頂天だった。Mさんとの挙式まで想像出来てた。次のインターンは水曜日。待ち遠しかった。

水曜日。会社にMさんの姿はなかった。あれ?若社長に聞くと「あ、月曜から出社してない」とのこと。社員寮で同室の先輩に聞くと「月曜から部屋から出てこない」とのこと。私とデートしたのが日曜日。会社いに行かなくなったのは月曜日。やはり私がMさんの期待に添えなかったのだろうか?と悶々と過ごした。LINEの返信は帰ってこない。おかしい。

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私は同室の先輩にMさんとのことを打ち明けることにした。よくよく考えると、私はMさんのことを何も知らなかった。今住んでいる住所も、交友関係も、共通の知人も先輩社員しかいない。このままでは彼女として失格だ。すると先輩は「え!あいつとそんなことになってたの?まじか〜いや、あいつさぁ、1年に何回か部屋から出てこなくなっちゃうんだよね。塞ぎ込むっていうか…精神的に弱いっぽい」

Mさんは年に数回、メンタルヘルスを起こすらしい。私が格好良いなと思っていた1年間のキャリア留学も、本当のところメンタルヘルスを起こしてどうにもならなかった彼を海外支部へ飛ばして、気分転換させるという名目だったらしい。

数日後、MさんからLINEが届いた。「今田舎の岡山に帰ってるんだ。くまメロにもこの景色見せてあげたいな〜」ダメだこりゃ。岡山から帰宅後、すぐに呼び出されて代々木へ向かった。新宿だと人の喧騒で具合が悪くなるらしい。私は当時熱を上げていたアイドルのライブ後に大荷物を抱えて代々木へ飛んで行った。彼は私の大荷物に見向きもせず、スタスタと歩いていた。ディナーの話も当然なかが弾まず、解散後に「別れよう。くまメロにはもっと良い人が合うと思う」とLINE。

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それから私はこの会社の内定を辞退することに決めた。理由はMさんではなく、単純にもっと良い内定先が見つかったから。Mさんは間も無く会社を辞めた。その後、彼がどうしているかは分からない。今は岡山に帰ってのんびりしているのかもしれない。私にはみんなが飲んで騒いでいる時に、端っこでひとりワインをすすってる姿が素敵に映っていたけれど、本当はただ都会に馴染めていなかっただけだったと思う。

インターン生にちょっかい出す暇があるなら、己を磨きたまえ。私は私の道を行く。

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