山暮らしDay3

　私はビールをこよなく愛している。映画鑑賞といえばビール、スポーツ観戦といえばビール、気の置けない友達との語らいといえばビール。要するに私の人生はビールと共にあると言っても過言ではない。
　しかし、今週から始まった山暮らしは、アルコール類の持ち込み厳禁ルールが敷かれている。喫煙はいいのになぜ飲酒がダメなのか、一応研修なので、頭が回らなくなるのがいけないのか、でも別に研修中に飲むわけでもないのに、夜の楽しみまで禁じるのはなぜか。頭の中には「なぜ」は100個ぐらい浮かんでいるが、スタッフに問いただしてはいない。ルールはルール、ダメなものはダメと言われるだろう。
　そんなわけで、私は図らずして「ソバーキュリアス」ライフに突入している。「ソバー」はシラフという意味なので、直訳すると「飲まない生活への興味」ということか。要するに、飲める人が「飲まない生活ってどんなかなと興味本意でやってみたら、意外によかったからもう飲むのはやめたよ」というライフスタイルのことで、アメリカ、イギリスあたりの流行に敏感な酒飲みたちが始めたことらしい。
　これまでも２週間ぐらいアルコールなし生活をしたことは何度もある。「睡眠の質が上がる」「体が軽くなる」「二日酔いで無駄な時間を費やすことに後悔する」などなどは実体験として知っている。だから今回もきっと同じように、健康的になっていく自分を感じるだろうと思っている。
　では、山暮らしが終わっても「ソバキュリアン」であり続けたいか？　今のところ答えはNOだ。
　山を降りたら飛行機の長旅が待っている。飛行機を待つ間にビールを飲むのは、私にとって至福の時だ。それをあきらめるつもりは、ない。
　今はそのときを思い描きながら、日々生きている。