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念願のスペイン語グループ授業に参加

 ブエノスアイレスに来てはや半年。遠い遠い昔、学生時代にスペイン語を学んだとはいえ、その後使う機会もなく全ての知識は忘却の彼方でした。
 アルゼンチンに来る前に集中研修を受け、過去の記憶を呼び起こしながら多少の準備をしたものの、スペインのスペイン語と南米のスペイン語は、語彙、表現だけでなく、動詞の活用も違います。さらに南米の中でも国によって様々な違いがあり、住むからにはアルゼンチンのスペイン語を身に付けねばと、来亜まもない時にブエノスアイレス大学のオンラインクラスに参加して、レベル3(CEFR B1の前半相当)を修了しました。
 クラスはとても役に立って楽しかったのですが、やはり一度は学校に通ってみたい、生のクラスメートを持ってみたいという欲求があり、ずっと対面クラスを探していました。もちろん業務優先なので、なかなかスケジュールが合うクラスがなく、半ば諦めていたところに「ブエノスアイレス大学で、映画を見て語り合うサロン形式の授業がありますよ」というお誘いがありました。
 映画は大好きですが、そもそも映画を理解できる力はありませんし、クラス設定はレベル5(CEFR B2)とのこと。B2はもはや上級に達するレベルなのでとても無理だと思ったのですが、私の業務に支障のない時間に開講されるのが魅力で、思い切って誘いに乗ってみることにしました。

 授業(3時間)のスタイルは以下のようになっています。大学のゼミのような雰囲気です。
ー授業に先立ち、映画の概要、主なスクリプト、理解確認のQの資料が先生から送られてくる
ー余裕がある人と私のように理解に不安がある人は、できる限りの予習をして授業に臨む
ー前半は資料を元に、語彙や表現を確認。文化的背景の補足が必要なものについて先生が説明する
ー後半は部分的に映画を視聴。見た後は、内容について話し合う

 客観的に言ってついていけるレベルではないのですが、開き直って参加していると、クラスメートが声をかけてくれます。
「こんにちは、私は少し、日本語を話します」と休み時間に話しかけてくれたのは、スイスから来た留学生男性。将来国際機関で働くことが夢で、母語のフランス語に加え、英語、ドイツ語が堪能で、4番目の言語としてスペイン語を学んでいると言います。日本には3回旅行したことがあり、独学で少しずつ日本語を学んだと話してくれました。
「僕の兄は日本人と結婚しているよ。名前はエリカ。どんな意味かな?」
私が自分の名前の由来を説明した後には、米国男性がこう言いました。彼はITエンジニアで、どこにいても働けるからと、米国とアルゼンチンを行ったり来たりの生活をしているそうです。
 他にもウクライナ侵攻を機にアルゼンチンに来た息子夫婦を追って移住してきたロシア女性や、長期バケーション中と笑うブラジル女性など、多様な国からのクラスメートに囲まれ、唯一の東洋人である私は、いい意味で皆の注目を集め、なんだかんだと気にかけてもらっています。
 やはり映画は難しすぎて理解できないことも多いのですが、クラスメートに会いたくて、授業に行くのが楽しみになっています。少なくとも生きた会話の最適な場になっていて、これぞ対面授業の醍醐味と言えるかもしれません。


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