他人より遠い存在の両親

他人より遠い存在の両親がいた
「あいをください」
私は繰り返しつぶやく
形だけある耳には届かない
そして願いは叶わないということを私は学ぶ

ガラス瓶に氷をつめこんで
持ち歩いていた
溶けてなくなると泣いて
また氷をつめこんだ
それをずっと私は大切にしていた

視力1.5の両目に映る全ては
私がつくった魔法の世界
残酷な物語を
読んで聞かせてくれる
やさしいおとうさんとおかあさん

天使の羽に包まれて
私は時々遠くの空へいく
戻ってくるはずじゃなかったのに

眠って眠って眠り続けたら
何かいいことがあるような気がして
私は眠ってばっかりいる子供だった

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