見出し画像

1994年 SideB-3「Oh My Little Girl/尾崎豊」

尾崎豊作詞・作曲 西本明編曲

・「この世の果て」(フジテレビ系 1994/1/10~3/28)主題歌

 フジテレビ系月曜9時枠1月クールドラマ主題歌。1992年4月に亡くなった尾崎豊が、1983年に発表したファーストアルバム「十七歳の地図」の収録曲。尾崎豊初のオリコン1位獲得曲で、自身の最大売り上げを記録したシングルでもある。

 アルバムの中では「I LOVE YOU」の対角線上に位置するバラードの小品というポジションだったが、ここに描かれているようなイノセンティズムが(偶像になる前の)尾崎が本来持っていた最もプリミティブな理想の女性像の反映だったと思うし、それはまたドラマの世界観ともきちんとリンクしていた。死後に発売されたこのシングルが彼のベストセールス曲になったことは(CDシングルバブルのこの時期にドラマ主題歌になったことが大きいとはいえ)尾崎豊の立体的な評価のためには非常にいいことだったと思う。

 「この世の果て」は、大多亮プロデュース&野島伸司脚本。野島作品としては「高校教師」「ひとつ屋根の下」と「家なき子」「人間・失格」の間に位置している作品で、非常に厭世的な物語だが、鈴木保奈美・桜井幸子の姉妹に三上博史・豊川悦司が絡むというキャスティングは野島的世界観を体現するのにはこれ以上ない理想的なもので、それなりの注目を集めた。まあ正直これだけとんでもないドラマが全回視聴率20%を超えていたのだから、当時の月9枠、あるいは大多&野島コンビへの信頼感・期待感は相当な物があったということだろう(そういえばかつて三上博史が、映画の「ベティ・ブルー」を見てプロデューサーにこういう恋愛ものがやりたいと直訴してできたのが「この世の果て」だ、とラジオで話していた。「ベティ・ブルー」の頃の三上はちょうど「私をスキーに連れてって」や「君が嘘をついた」で人気に火が付いていた頃だったから、そういう嗜好を持ってしまうのも無理はないし、仮に作り手の頭にそういうイメージがあったとすればこれくらいのとんでもなさは仕方なかったのかもしれない)。

 ちなみに、タイトルの由来はスキーター・デイヴィスの1963年のヒット曲「The End of the World(邦題・この世の果てまで)」。今でいうセカイ系に直結する自意識を大々的にフィーチャーした超モダン(かつロマンティック)な歌詞とメロディーの抜群の美しさが際立つ名曲で、海外でも日本でもさまざまな文学作品に多く引用されている名曲である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?