見出し画像

1994年 SideB-2「恋人たちのクリスマス(All I Want For Christmas Is You)/マライア・キャリー」

Mariah Carey & Walter Afanasieff作詞・作曲

・「29歳のクリスマス」(フジテレビ系 1994/10/20~12/22)主題歌

 フジテレビ系木曜10時枠10月クールドラマ主題歌。日本でのシングルの売り上げが100万枚を突破し、洋楽としては異例の大ヒットとなった(この時点でミリオン突破を果たしていた洋楽シングルはダニエル・ブーンの「ビューティフル・サンデー」だけで、「恋人たちのクリスマス」が2例目。また、この曲を収録したマライアのアルバム「メリー・クリスマス」は洋楽アルバムとして初めて200万枚を突破した)。

 ドラマ主題歌だったこともあり日本だけのヒット曲と思われがちだが、実際は本国アメリカでも「ホワイト・クリスマス」に匹敵するホリデイ・ソングとして人気を集めており、全世界的にも1000万枚以上の売り上げを誇る歴代有数のワールドワイドなクリスマスソングである。決して日本のローカルヒットではないということは覚えておいた方がいいと思う。

 「29歳のクリスマス」は、山口智子、松下由樹、柳葉敏郎出演のアラサー・ラブストーリー。いつもその時代の特徴的なライフスタイルを半歩先んじて提示しつづけ、「俺たちの旅」「金曜日の妻たちへ」「男女7人夏物語」など各時代を代表するヒットドラマを数多く作り出してきた脚本家・鎌田敏夫の90年代の代表作である。決してハッピーなだけの物語ではなくむしろほろ苦い結末を迎えることが多いのに、なぜか観る者に居心地のよさを与えてくれるのが鎌田作品の特徴で、このドラマでも30歳を目前にした働く女性の心模様が多くの視聴者の共感を呼んだ(鎌田はこの作品で向田邦子賞を受賞している)。

 とはいえ、このドラマもまた山口智子ありきで成立していたことは間違いがない。彼女はこのドラマで「ダブルキッチン」「スウィートホーム」の若妻イメージから一気に働くアラサー女子の共感アイコンとして降臨するに至り、一気にトップランクのドラマ女優となる。なぜ29歳なのかというのも当時ずいぶん話題になり、80年代はクリスマスケーキなんて言われてたのが5年伸びたんだとかいろいろ論議を呼んだが、結局のところ山口智子が当時29歳だったということが大きいと思う(10月20日生まれの山口智子は放送開始直後に30歳になった。ちなみに松下由樹はまだ26歳、柳葉敏郎は33歳を超えていた)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?