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ミニベロに荷物を積む 積載方法とバッグあれこれ (前編)

小径折り畳み車で旅をするようになってはや20年近くなる。
その間、代々の主力機(Birdy→KHS F20→Brompton)おのおのについて、積載方法にさまざまな試行錯誤を繰り返してきた。
そこでこの機に、これまでの旅で使ってきた各種バッグについて回顧してみようとおもう。

BD-1とパニア、そしてトピークMTXトランクバッグ

いちばん最初に小径折り畳みを買ったのは1999年。Riese & Müller BD-1(Birdy)のオリジナルのやつだ。その当時の主力機はフルサイズのMTBで、何度か海外ツーリングも経験していた。同時にそのころ、欧州にバックパック旅にも幾度か出かけていた。
BDの携帯性に瞠目したわたしは、これに適切な方法で荷物を積めば自転車旅とバックパック旅のおいしいところを組み合わせた、自転車旅よりもライトかつバックパック旅よりも機動性と自由度を強化した旅が可能になると予感したのだった。
しかし当時は装着できるキャリアも適当なものが無く(知らなかっただけかもしれないが)、荷物を積む具体的な方策に至れないまま、今一つ活用するに至らず知人に譲渡したのだった。
(それでも折り畳み車への興味は尽きず、ほどなくしてGIANT MR4を入手し、しばらくは主力機として活用した。これはまた構造上荷物の積みにくい自転車だったので旅向きではないと感じていた)

2003年にBirdyの新型たるカプレオが出たとき、これは先代の「踏んでも進まない」感じを克服しうると思ってふたたび買った。
と同時にそのころ発売された日東の車輪付きリアキャリアを装着した。なぜ車輪なんかついてるかといえば、折り畳み状態で転がすことができるのである。これは当時としては画期的であり、コロンブスが卵を立てたのを見た人の気分だった。キャリアとしても堅牢で、小径車にも従来のパニアが装着できた。それまでフルサイズの自転車で旅を重ねていたわたしだったが、小径車にもほぼ同条件の積載能力が付与され得るというのは画期的なことに感じた。それはそれまでのような海外ツーリングが小径折り畳み車でも可能になるということであり、また折り畳みならば飛行機輪行のハードルがぐんと下がり得るからである。

とりあえずは当時持っていたパニアバッグを装着して走っていた。オストリッチの定番たるS7だ。(のちに買ったオルトリーブのものも装着できた)。
日帰りサイクリングで荷も少ない際には片方だけ付けるのを常としていた。

2003年ごろ

しかしこれだと左右非対称となり好ましくない。しかし荷物が少ないのに両側つけるのもムダだしなあと思案していた。

そんな矢先にトピークのMTXトランクバッグを知った。
簡易パニア付きのリアバッグというべき構造だが、側面のバッグを展開するとかなりの容量がある。
ベルクロで荷台に固定するタイプだったので長く走ってると荷がずれるという欠点もあったが実用上は問題ない。

これはほんとうに重宝したもので、国内各地のサイクリングはもとより海外遠征でも頻用した。東南アジアの強烈な紫外線を浴びせすぎて黒い生地がすっかり褪色してしまったほどである。
容量はせいぜい20数㍑だが、当時は各種ガジェットを持ち歩くこともなく、荷も少なめだったので、薄着の東南アジアの旅では事足りた。側面バッグに衣類を、メインの箱にその他のものを収納し、輪行時には付属の肩ひもでヒョイと担いで歩けるのもたいへん便利だ。

2005年 ベトナム

買ったのはもう20年近く前だが、市場での評価も高いと見えて現在もデザインは変わらずに生産を続ける長寿ヒット商品と言える。その後にC国謎メーカー各社からも、後発品というかパクリというか、同構造のものが色々出てきているようだ。

KHS F20とトピークキャリア

2005年にはKHS F20を配備した。BDの全地形型的走破性も魅力だが、舗装路と坂道での性能を求めての、MR4に代わる新機種導入であった。そしてその走行性能に感服したわたしは以後これをBDとMR4に代わる主力機に据えたのである。
しかしこれは構造上、BDのようにフレームにリアキャリアをつけることができない。元からロードバイク的志向の製品であるので荷を積む便利はあまり考慮されていないのだ。しかしなおもこれで旅をしたいと考えたわたしは、シートポストに付けるリアキャリアを装着して積載性の解決を計った。これの側面に別売りの枠みたいなのを付けるとパニアも装着可能となる。

これに従来のトピークのバッグを付けてしばらく汎用していた。MR4やフルサイズのMTBといった従来の機材にも便利がよかった(BDはシートポストが太すぎるため装着不可)。

MR4に付けると重心が高くなってよくない
MTBだと小さく見える

リクセンカウル登場

そんな矢先、2008年ごろにリクセン&カウル社の装着システム Klikfix を知り、大いに注目した。さすがドイツ人考案という感じの堅牢かつ合理的な構造に加え、バックパックにこのシステムを装着した製品はとりわけ画期的であるとわたしは考えた。さっそく購入して日帰りサイクリングで汎用するに至った。デザインは当時出回っていたドイターのバックパックに酷似しており、容量は公称24㍑だ。日帰りには十分だが、中長期の旅にはいささか少ない。

装着方法は、KHS、BDともにもっぱらシートポストにつけたアダプタを利用して後ろに付けていた。
いずれも折り畳むときはこれの取り付けネジを緩めてサドルの直下までずらすという作業を要するのが面倒ではあった。

2009年、初めての台湾の旅ではこれをBDのリアに付けたうえに、さらに片方だけパニアを付けるという、以前の方式を併用することで容量を補った。テールヘビーもいいところだったが。


続くチェコの旅ではKHSで出動し、同バックパックを今度はフロントに付けた。加えてその後購入した同社のズタ袋様バッグ「マッチパック」をも導入した。公称24㍑(そんなにない感じがするが)。

これをリアに装着して前後ダブルリクセンカウルというのを試みた。これで旅したのが2009年のチェコである。

台湾と同じTシャツだが他に持ってないわけではない

マッチパックは当初は日頃の買い物等のライトユースのために購入したのだった。便利だったが旅バッグとしてはもう少し容量が欲しいし、いささか堅牢製も欠く。写真で見てもいかにも重心が高い。いささか不安定さと不自由を感じた
そこで次の旅では、同バックパックをフロントに付け、リアキャリアには既存のオストリッチのパニアを装着するという手法を考えた。これが2010年チェコの旅。

容量は60㍑近くあるので十分だったが、いま改めて見ると、おそらくはリアキャリアの許容荷重(9kg)を越えていたと思われる。これはシートポストとチューブにも好ましくない負荷がかかっていそうであまりよくなさそうだ。

パニアの復権

2011年はプラハで借りたレンタルバイクで旅をした。この時パニアバッグも借りたのだが、これがオルトリープのチェコ製ジェネリック(パクリとも言える)というべきものだった。その使い勝手にわたしは感動し、帰国してから本家オルトリープの製品を新たに購入したのだった。
2012年の台湾の旅ではBDのリアキャリアにこれを装着し、非常に余裕のある旅ができた。重心が低いのがいい。トピーク、リクセンカウルを経てパニアへの回帰、復権であった。

2015年にはBirdyのモノコックフレームの新型を導入した。12年を経てくたびれてきたカプレオの後継車である。
これは購入当初はキャリアを装着していなかったが、間もなく出かけた台湾の旅に動員した。この際は以前のオストリッチのパニアの背面にクリックフィックスのアダプタを取り付け(いわゆるリクセンカウル化)てシートポストに装着するという方式を試行してみた。とはいえひとつでは容量が足りず、人間が20㍑前後のバックパックを背負うという手段で補填した。
このやり方、後ろのバッグが重いと結構揺れて不安定になったりするのであまりおすすめできない。

このあとしばらく、バックパックと、長旅ではオルトリープの時代が続いた。そのうち色違いが出たので白いのも買い、黒いのは妻氏に貸与した。

そして同じく2015年、Birdyを新調したばかりなのにもかかわらず、何をとち狂ったかさらにブロンプトンを導入した。それに伴って積載システムのコペルニクス的転回が起きるのである。(後編につづく)

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