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失恋ソングがDMXの「X Gon' Give It to Ya」


ぜひ、以下の曲を聴いて文章を読んでほしい。

↓この曲




社会人3年目の秋だったと思う。

「方向性の違い」という、まるでバンドが解散するように、
あっけなく彼との別れ話は終わった。一瞬だった。
別れ話が終わった後はシクシクと少し泣いたのも覚えている。

が、皮肉にもその日は日曜日で、
次の日は月曜日の朝から取引先とデカい商談があった。
当たり前だが、ぐずって会社を休むわけにはいかず
急いで涙拭いて次の日に備えるために、
きちんとお風呂に入り、きちんと睡眠を優先にした。

別れ話の決行が夜遅い時間だったので、
友達に「聞いてよー別れたのー」の電話もできなかった。
早い切り替えで、明日のことを考えることができた女の子。
自分のことながら、たくましいと思う。
社会人としてハナマルあげたい。


次の日の朝、
何もなかったように「いつもの月曜日」を始める予定だったが、
やはり無理をしていた。
常に体に力を入れていないと、ふにゃふにゃになり、
涙が出てきてしまった。

そらそうだ。さっきも言ったが、大学を卒業してまだ数年の
わけえ女がそんなことに耐え切れるわけもなく。結構苦しかった。
彼との思い出はたくさんあったし、昨日までは恋人関係だったのだ。
「悲しい」で心がいっぱいだったと思う。
でも、仕事は休めないと理性はしっかり持っており、
感情で支配されて流れてくる涙をどうしたもんかと必死で考えた。

泣いている暇なんてない。朝は時間がない。
一刻も早く化粧をして、支度をして、
取引先に向かわなければならないのだ。

けど、このエンドレス涙どうすんだよ!


結果、スルメを奥歯に詰め込んで食いしばりながら、
その日をやり過ごすことになった。
力を抜いたら涙が出るのでああれば、ずっと力んでいれば良いのだ。

取引先に向かう途中、コンビニでスルメを買い、
社用車内で詰め込めるだけ奥歯にスルメを潜り込ませた。

スルメのおかげで涙は止まり、
おそらく溢れ出る感情もせき止められたところで
脳みその感情信号はエラーを起こした。
口の中が血の味を感じているころには、
感情が悲しみから怒りに変わっていた。

強い心で「涙が出てしまうのは一瞬の発作だった」と受け止め、
毎日の出社ルーティンとして車内選曲に勤しんだ。

DMXの「X Gon' Give It to Ya」を選ぶ。
これだ。
わたしはリピート再生をONにして、社用車を
ブォォォォォンと走らせた。

「俺はムショ暮らしも経験してんだぜ、

どうするつもりだよ?
シャバに戻ってからはストリートを騒がせた
19年もこうしてきたんだ

俺と喧嘩したいってのか?

この涙と戦おうってのか?」


https://w.atwiki.jp/gachmuch/pages/96.html

↑X Gon' Give It to Ya の歌詞和訳サイトより。
ゴツくて笑う。ムショ出(笑)


DMXが車内で吠え続ける中、
目を血走らせて、スルメを奥歯ですりつぶす。
首都高速、中央道の新宿から幡ヶ谷方面の車線変更もスムーズにこなし、
朝9時からクソデカ商談を済ませた社会人3年目そこらの女性社員。
アッパレじゃ。上出来、よくやった。
こうしてわたしは、涙の対策を実行し、
失恋の悲しみを怒りに変えていき、
のちの奇行エピソードとしてここの記すことになる。
怒りは怒りでも、恨みではない。
ぶっ⚪︎すという感情が(恨みのない単純な燃え上がる怒り、fu○k🖕)、その時の最高の薬だった。


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今でもDMXの「X Gon' Give It to Ya」を聴くたびに
失恋ソングだ(笑)とひとりで笑ってしまう。
最高に面白い社会人3年目の女のエピソードを作り上げたなと
自負している。最高の応援歌だった。

当時の彼となぜ別れたかという事より、DMXの思い出が濃ゆい。
なんで別れたのかは方向性の違いとしか覚えていない。
それ以外は忘れてしまった。前向きでいい事だと思っている。

あざす、DMX。
もちろん、スルメにも感謝しているよ。


今日は終わりー!



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