[小説] 答え
話したいことがあるんだ
声をかけるとルパートは足を止め、わずかに首を傾げて正面から従弟を見た。
月の色をした髪、”ロットヴァイル・ブルー”と称される神秘的な蒼を宿す瞳。美貌を誇る一族の中でも随一と言われる男の視線を真っすぐに受け、マクシミリアンは思わず固まった。
「ー僕に?」
傍らの幼なじみに一瞬目を向けてから、ルパートが問いかける。
少年は慌てて頷いた。
「いつでもいいんだ。時間があるときで…」
「いいよ。今聞く」
多忙で、突発的なスケジュール変更を好まないはずのルパートが何でもないことのように応じ、マクシミリアンを自室に招き入れた。
正式に後見をしてくれると聞いたときから、いや、きっと、初めてこの家に来たときから自分の心は決まっていたのだ。
一度大きく息を吸い、少年は自分の意思を伝える。
美しい蒼の瞳がわずかに見開かれ、その色合いを深めながら、やわらかく細められていく。先に相談していたジョーカーも、同じように笑っている。
窓の外、雲の切れ間から光が差した。
あぁ、この答えは間違いじゃない。
なぜか泣きたくなるような温かさの中、少年はもう一度、力強く頷いた。
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