2️⃣不幸な大人のためのミュージカル「ラヴ」 1994年 観劇記
さて、27年前を思い起こしながら、まとめてみます。
1️⃣は、こちらから⤵️
元々はロングランを達成したストレートプレイで、それをミュージカル化したのが、この舞台です。
台本 ジェフリー・スウィート
作曲 ハワード・マーレン
作詞 スーザン・バーケンヘッド
ストーリー
舞台は橋の上。背景にはニューヨークの町並み。
ベンチ、街頭、屑籠。
そこで〝総合文化大〟の学友であった二人の男が、偶然の再会を果たす。
一人は浮浪者に身をやつしたハリー(西城秀樹さん)。人生に悩み、遺書を書いている。
一方のミルト(市村正親さん)は、お洒落なスーツを着こなすエリートサラリーマンだ。
二人は不幸自慢を始めるが、そこでのキーワードは「愛」であった。
ミルトはハリーに言う「人生に希望をもたらすのは愛だ」と。
実はミルト、妻がありながら不倫中‼️
なんとか離婚できないかと悩んでいた。
ミルトは、妻エレン(鳳蘭さん)をハリーに紹介すると、まんまとハリーに押し付け、自分は恋人の元へと去って行く。
そして4ヶ月後
同じ橋の上に、恋人に飽きてミルトが帰って来た。
エレンも「ハリーほど不愉快な人間は二人といない」と、ハリーの殺人計画を練る始末。
ミルトとエレンは復縁し、またもやハリーは独りになってしまう。
結局、三人の状態は元通り。
左から 市村正親さん、鳳蘭さん、西城秀樹さん
ミュージカル嫌いが嫌うミュージカル❕
ミュージカル嫌いな人は、ミュージカルについて
「突然歌いだしたり、突然踊り出すのが不自然」と、いう。
しかし、実にこのミュージカルは、この〝不自然さ〟を徹底的に誇示していた。
なんの前触れもなく、様々な様式の歌を突然歌いだすし、フレッドアステアなみのステップを突然踊り出す。
市村ミルトは、側転までしてダイナミックなダンスを披露したのを記憶している。
まさに「ミュージカル嫌いが嫌うミュージカル」と、言えるのではないだろうか。
しかし、その馬鹿馬鹿しさが、実力派のお三方にかかると抱腹絶倒のコメディミュージカルとなる。
また、自殺願望、不倫、倦怠期、殺人計画など、陰鬱な要素がありながら、テンポの良い演出にボードビルショーばりの展開を用いたことが、喜劇に転じる成功の一因となっていた。
主題を27年たって考えてみた❗(個人的な見解です)
初演をみた27年前の感想は、
「なんてお洒落で面白いミュージカル!
歌も躍りも音楽も最高‼️」
まだまだ人生経験も浅い若人だった私です。
27年たち、社会人となり母親となり、それなりの経験を積んだ今、このミュージカルについて、「愛」について考えてみたい。
もちろん、感じかたは人それぞれ。
メリアの考えとして、気楽にお読みいただきたい。
「愛」と「幸せ」の関係
「愛」という感情を抱くのは素晴らしいことだ。
しかし、三人は「愛」を手に入れたにも関わらず、幸せにはなれず、また違う「愛」を得ようとする。題名の「love」が、「luv」になっているのは、歪んだ「愛」を意味するらしい。
「愛」を手に入れれば、「結婚」すれば、幸せになれるという幻想を抱く人は多い。
しかし、幸せに条件付けをしている限り、いつまでたっても幸せにはなれない。
ミルトのいう「人生に希望をもたらすのは愛だ」⏪️これには賛成。
例えば、初孫誕生で元気になる老人。
恋をして、急に綺麗になったり。
愛は、希望の源になり得る。
しかし、他人からの愛を期待し、愛されることで幸せになると考えるのは、危険だ。
自分の幸せの鍵を他人に渡すようなもの。
もしも相手の愛が冷めたら、一気に不幸に転じてしまうのだから。
だが、もしも自分から愛を放ち、幸せを感じていれば、最良なタイミングで最良なパートナーが現れるだろう。
ここでいう「愛を放つ」とは、何も熱烈に誰かを愛するというわけではない(もちろんそれも良いが)。
ペットを可愛がる。
道端の花を愛でる。
可愛い赤ちゃんをみて笑みをこぼす。
このような見返りを求めない暖かい感情・喜びが、幸福感につながる。
更に付け加えれば、いわゆる社会の成功者やお金持ちになっても、必ずしも幸せにはなれない。
成功や富で得られるのは、達成感、充足感である。
不幸自慢
愛や幸せを求めているにも関わらず、三人は自分こそ苦労し虐げられていると不幸比べをする。
これも、現代社会でよくある現象だ。
「自分はこんなに可愛そうな存在だ」
「こんなに大変だった」
「自分は虐げられている」
そんなことをいうことで、幸せになれないことへの免罪符を得ようとする。はたまた、他者から攻撃されないよう牽制しているのかもしれない。
そして、もしも近しい関係の人に言うとなると、これらの言葉は、自分が不幸になることで、相手を戒め復讐する手立てにもなる。
「あなたのせいで、自分はこんなに不幸だ」と。
往々にして逆恨みなのだが。
そして、この不幸自慢は、実は幸せをますます遠ざけてしまう。
だって、自分から「私は幸せが似合わない人間で、苦労が好きだ」と、宣言しているようなものだから。
もしも、幸せや幸運を求めるなら、身近にある小さな幸運に気づく練習から始めると良い。
ご飯食べられて嬉しい。
良い天気で最高。
今日も無事に働けてよかった。
幸せのハードルを下げることで、多くの幸せに気づくことができる。
そして、幸せを感じるほどに、幸運体質になっていく‼️
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
後半、なかなか深い内容になってしまいましたが、個人的な見解です💦読み飛ばしてください。
次回は、ライトに😁
初演観劇時の思い出や、再演舞台の情報などを語ります。
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