二十歳の春、よく晴れた朝。

目を閉じてふいにおもいだすのは、どうしてかいつも逗子の海。

何百回とみた田舎の港でも、東京のチャペルのむこうでも、熱海でも横浜でも江ノ島でもなく、ぜったいに、逗子海岸。

登校前に砂浜で遊ぶ男子高校生を、とてもまぶしいと思った、春の終わり。
あの一度しかみたことがないのに。



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