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【詩】12歳、冬の陽射しが眩しかったあの日

教室の窓から差し込む
冬の日差しが眩しかったあの日
ストーブからの微かな石油の匂い
みんなの楽しそうなざわめき
いつもと変わらないお昼休み

親友と信じていた二人
私の右手を押さえて
取り出したコンパスの針
ゆっくりとゆっくりと
私の手の甲を針で刺す
流れる赤い液体
手の甲より
心が痛かった

昨日まで楽しかった
学校からの帰り道
好きな子を教え合い
漫画を交換して
取り止めのない長話し
お腹抱えて笑い合ったのに

「なんで?」と聞くと
「嫌いだから」と2人は言った

二つの胸の膨らみを
両手で押さえて
一人で歩こうと決めたんだ
誰も要らない
誰も信じない
一人が好きだと言い聞かせた
冬の陽射しが眩しかったあの日

女の子全員が無視をした
ノートは破かれ
教科書はゴミ箱の中
靴には毎日カミソリが入っていて
背中の張り紙には
「化け物」と書かれてた

気の毒そうな顔で見る男子達
『辛かったら言えよ』と言ってきた
『いいよ、自分の身は自分で守るから』
絶対に負けないから
いつか見返してやるから
涙は一粒も見せないから

二つの胸の膨らみを
両手で押さえて
一人で歩こうと決めたんだ
誰も要らない
誰も信じない
一人が好きだと言い聞かせた
冬の陽射しが眩しかったあの日

どこを見ているのかわからない人
何を考えているかわからない冷たい人
まじめ過ぎて面白くない人
これが全部私だとあの子達は言った

笑顔も消えて
夢も希望もどこかに飛んでいった
それでも私は私でいたかった
自分を信じて前に進むしかない
登校途中の公園
ブランコ漕ぎながら
『前をしっかり見ろ!』と
空に叫んだ

二つの胸の膨らみを
両手で押さえて
一人で歩こうと決めたんだ
誰も要らない
誰も信じない
一人が好きだと言い聞かせた
冬の陽射しが眩しかったあの日


小学校6年生の冬から中学3年生の卒業の日まで過酷ないじめにあっていました。
詩に書かれている内容は実際にあったことで、氷山の一角です。

この詩を聴いて「可哀相」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
私は、当時の自分は意志が強く勇敢だったと、今でも誇りに思っています。
この詩は、あの時の私を讃える詩です。

いじめの後遺症はありましたが、少しずつ心は癒されていきました。
(3年ぐらいかかったかな)

ただ、この時の『いじめ』は、私の性格も考え方も変えた、
未来への重要な原点になります。

私の人生は波瀾万丈で、その後押し寄せてくる荒波に立ち向かう時、
いつも私は「あの過酷ないじめに耐えられたから大丈夫」と心の中で唱えながら
進んできました。それでも、度重なる試練に疲れ果てて、心折れてしまったことはありますが...

若い時の辛くて悲しくて苦しい経験は、将来心の盾になります。
知恵と勇気と自信を与えてくれます。

『いじめ』という醜い行為がこの世から少しでも減るよう祈りを込めて。

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